第四章分隊長教育
第四章分隊長教育
入浴、夕食を済ませると荻野を講義室Aに呼ぶ。
「荻野、君は今JSFのスパイとして訓練しているが将来的には狼騎兵連隊に入隊してもらうことになる。で、他にも今後入隊予定の者がいる。彼等で分隊を組みその分隊長は俺だが俺が連隊や軍集団の指揮をとるときに分隊長となるのが荻野、君だ。そのために今後分隊長教育をしていく。まず、前のスクリーンを見てくれ。」
スクリーンには赤い鎧の兵士が映される。
「能力を持つものは銃弾が効かないので白兵戦闘に特化した部隊がこの狼騎兵連隊だ。基本的な武器は槍、刀、苦無だ。後は各人の能力を活かして戦うことになる。これが狼騎兵の概要だが質問は?」
「ない。」
「よし、次行くぞ。その最小の部隊単位が分隊だ。連隊全体で150個余りの分隊を有する。編成は分隊長が火の能力、そのしたに七つの能力それぞれ一名配備させる。実戦では分隊ごとに索敵や伝令任務につかせるため非常に大切な単位だ。求められるのは情報分析能力、判断力、統率力だ。更に広範囲で進軍することが多いため各分隊で敵と交戦することもある。判断を誤れば連隊から落伍することもある。そうすれば日本国内ならいいが海外だとそのまま全滅する。その為には連隊本部との連絡や陣形全体の把握等も分隊長には求められる。基本的なことは今教えた通りだ。質問は?」
「ないぜ。」
「よし、では狼騎兵連隊の基本陣形について説明する。スクリーンを見てくれ。」
スクリーンに大きな陣形図が表れる。
「鏃型に兵を展開させ無線によって各部隊の連絡を取る。広範囲の索敵能力や突撃に秀でた陣形だが側面や背後に進出されると脆い。だがそれは狼騎兵の練度の高さと機動力で補っている。能力で上手く敵の機械化戦力を潰し敵の陣形を掻き回す事が基本となる戦法だ。この陣形では全分隊どうしの意志疎通が疎かになると意図も簡単に戦線全体が崩壊する。次に陣形の配置だ。」
指し棒でスクリーンを指す。
「俺と副官等の指揮分隊は中央のやや前方に位置する。そしてその両脇に通信分隊が一個ずつ、前方に本部分隊が一個、後方に電波妨害時のための伝令分隊を一個おく。そして陣形の外側に位置する分隊は各方面の索敵を任務とする。他に随所に伝令分隊を配置、残りの分隊は戦闘部隊だ。尚、伝令分隊も電波良好な時には戦闘部隊扱いとなる。他に中にトラック部隊などの補給隊を入れるときもある。」
荻野が話を遮る。
「俺らの分隊はどの種類の部隊なんだ?」
「訓練の様子を見て決めるから今のところ未定だ。」
荻野は納得したようだ。その後も演習問題を解いたりして二二〇〇に座学を終了しミーティングルームで各部隊の幹部を集めて会議をし明日の予定を確認して就寝の時間を迎える。そのごも
一ヶ月間実際に演習に参加したりベテランの下士官のもとに積極的に通い学ぶ荻野は5月中旬に分隊長適合試験にギリギリ及第点で合格した。科目ごとに見ていくと指揮実習、机上演習、戦術学は合格点を大きく越えたが国際戦略学、戦史はギリギリ、通信実習はやや及第点に届かなかったがその他の意欲などから合格した。 合格発表の夜に俺は荻野をミーティングルームに呼び出した。
「明日、お前の分隊の分隊員が入隊する。だがここでひとついっておく。お前を含む彼等はここでとりあえず諜報員教育を受ける。適合者は少ないためにそのようなこともある。言ってなかったが狼騎兵連隊入隊条件は特殊部隊資格を獲得していることだ。そのためにその訓練も受けてもらう。因みに全ての連隊員は諜報員資格及び特殊部隊資格を持っている。」
荻野は頷いていた。新隊員の両親には昨日のうちに了承を得ている。
次回新隊員入隊!どんな人が入ってくるかはお楽しみに!
さて、残りのメンバーを楽しみに待ってください。荻野は他のメンバーの入隊で更に成長できるのか?お楽しみに!