プロローグ 憧れの龍医師
龍専門医が主人公の戦場医療ものです。
戦争描写、生き物の怪我や死亡の描写があります。
プロローグと1話は同時投稿です。
「先生!こいつ俺を庇って!」
「大丈夫、声をかけ続けて。必ず命を繋いでみせます」
この世には不思議な生き物、龍が生活に深く根付いている。人を乗せて空を舞い国を守る龍騎士を筆頭に、人や物を運ぶ荷龍車など。小型種を番犬やペットがわりに飼う家庭もある。
私アンジュは龍が好きで好きで好きで好きで、その身体の全てが知りたくて、少しでも長く龍たちと関わっていたくて、憧れの龍医師としてこの春からセントラル病院に配属となった。
「アンジュちゃん、俺んとこの子最近腹の調子が悪くってさ」
「うーん、冬は冷えますからね。お腹を温めるお薬を出しますのでご飯に混ぜ込んで食べさせてくださいね」
ーーーーー地表型四足龍は灰色のゴツゴツとした鱗、象のようなどっしりとした脚、太く逞しく尻尾が愛らしい。
「アンジュ先生、うちの子は口が気になるみたいで」
「歯の生え変わりですね、新しい歯は鋭利なので歯磨きの際気をつけてください」
ーーーーー超小型飛龍のつぶらな瞳、青く輝く色鮮やかな翼膜、しなやかに伸びる尻尾が美しい。
天職である。ずっと龍を見ていられる。最高の職場。我が国は美しい国。生涯これを続けるのだと、固く誓った。はずだった。
その始まりは国境の村が一つ焼かれたことだった。のどかな農村は見る影もなく炎に蹂躙され、立ち昇る煙は開戦の狼煙となった。隣国からの侵攻。美しい龍たちは戦に駆り出され、傷つき、命を落とす。耐え難かった。そうして私は、愛騎にまたがり、国境の空を飛ぶ医者になると決めたのだ。
そして今日、前線医療部隊へと配属された。
「今日より配属となりました。アンジュ・アルバインです。皆様のお力となれるよう尽力いたします」
「アルバイン先生、早速ですが患者はたくさんいますよ。さぁ、どの子から診る?」
「……もちろん重症患者から」
血濡れた龍が担架に乗ってやってくる。私の戦場はここにあった。




