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地球人SHOW  作者: 銀河猿


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6/6

第5話 支給品回収

気づけば、携帯端末が小さく震えていた。

《残り時間:06:06:00:00》

《生存人数:100》

生存確認アプリの数字が、きっちりゼロを刻む。

あの宇宙人が言っていた「六時間ごとの支給品」ってやつだろう。

一日くらいなら耐えられると思い、これまでの支給品は見送ってきた。

だが、何が起こるかは分からない。

(……行くしかないか)

支給品を取りに行く道すがら、周囲の環境を改めて確認する。

拠点周辺は深い森林地帯で、大木と用途不明の建造物が点在していた。

拠点候補になりそうな場所もいくつか見つけたが、どれも落ち着かない。

結局、最初に見つけたあの倉庫が一番マシだった。

それにしても、この場所は地球とあまりにも似すぎている。

湿った空気、土の匂い、植物の種類。

(……再現しすぎだろ)

唯一違うのは、夜が来ないことだった。

太陽はずっと真上に張り付いたまま、動く気配がない。

時間の感覚が、少しずつ狂っていく。

寝たのか、起きていたのか。

もう、自分でも分からなかった。

身体だけが、時間に置いていかれた気がした。

マップアプリを開く。

黒一色だった画面に、いつの間にかいくつかの点が表示されていた。

青く点滅するマーク。

支給品の出現地点だろう。

最も近い場所を選び、歩き出した。

森林を抜け、開けた場所に出る。

誰かと遭遇するかと思ったが、人の気配はなかった。

そして――

無造作に置かれた金属ケースが目に入る。

「……あれか」

だが、俺は一人じゃなかった。

すでに二人の男が先に来ていた。

年は二十代後半くらい。一人はリュックを背負い、もう一人は落ち着かない様子で周囲を警戒している。

「……どうも」

声をかけると、一瞬だけ空気が張り詰め、すぐに緩んだ。

「……ああ」

「あなたも、支給品ですか」

短い会話。

名前も、素性も聞かない。

ここでは、それが正解なんだろう。

金属ケースは三つに分かれていた。

中身は水、乾パンのような固形食料、簡易的な医療キット。

量は多くないが、取り合いになるほど少なくもない。

誰も何も言わず、一つずつ持っていく。

譲り合いでも、奪い合いでもなく。

ただ、淡々と。

「……じゃあ」

「お気をつけて」

それだけ言って戻ろうとしたとき、リュックを背負っていた男が声をかけてきた。

「そういえば、連れ去られる前のニュース、見ました?」

「……いえ」

「私、ニュースを見ている最中に連れてこられたんですが……」

「最近話題になってた殺人犯、失踪扱いになってたんですよ」

隣にいた男が、わずかに震えた。

その瞬間、職場で耳にした噂が頭をよぎる。

《海外で未確認生物?》

《不可解な失踪事件》

(……今の状況と、同じだ)

つまり、俺たちは――

地球では「消えた人間」になっている。

「……殺人犯も、ここに?」

「そういうことです」

「十分、気をつけてください」

男はそう言い、もう一人を連れて立ち去った。

(危険人物も混ざってる……ってわけか)

拠点に戻り、支給品を並べる。

水一本。

固形食料二つ。

簡易医療キット。

(残り六日……全然足りない)

そう思いながら、生存確認アプリを開いた。

《残り時間:06:05:17:45》

《生存人数:98》

「……え?」

確かに、さっきまでは100だった。

見間違いじゃない。

もう、誰かが脱落している。

今日一日、俺が知らないどこかで。

(……何も起きなかった、わけじゃない)

静かすぎる。

だからこそ、不気味だった。

天井を見上げ、深く息を吐く。

今日は、生き延びた。

ただ、それだけ。

だが、明日も同じとは限らない。

そう確信しながら、俺は意識的に目を閉じた。

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