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地球人SHOW  作者: 銀河猿


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第12話 快晴地帯 ― 水上の無法地帯

無事、快晴地帯に辿り着いた俺たちは、

その光景を目にして言葉を失った。

「……湖?」

思わず、声が漏れる。

視界の端から端まで、水。

エリア全体が巨大な湖のようになっており、陸地と呼べる部分は岸のわずかな範囲しかなかった。

岸には、さまざまな船が並んでいる。

モーターボート、大型船、手漕ぎのボート。

まるで誰かが意図的に用意したかのように、種類も数も揃っていた。

「操縦、できますか?」

矢尻さんが、小さな声で聞いてくる。

「正直、無理ですね……矢尻さんは?」

「私も、免許とか持ってません……」

下手にモーターボートを選べば、

操作を誤った瞬間に転覆する可能性がある。

大型船も確認したが、自動操縦らしき設備はあるものの、

肝心の鍵がなく、使えそうになかった。

結局、俺たちはオールで漕ぐ三人乗りのボートを選ぶ。

一番原始的で、遅くて、頼りない選択だった。

俺はオールを漕ぎ、湖の中央へ向かう。

風は穏やかで、気温もちょうどいい。

雲ひとつない青空が、水面に反射して眩しかった。

「……ここ、悪くないですね」

矢尻さんの声には、少しだけ安堵が滲んでいた。

拠点は作れないが、

生活するだけなら申し分ない環境――

そう思ってしまいそうになる。

――それでも。

支給品ボックスで出会った、あの三人。

快晴地帯の話をしたときの、微妙に歯切れの悪い反応。

あれが、ずっと頭から離れなかった。

(……何かある)

《残り時間:05:12:00:00》

《生存人数:96》

その瞬間、湖の中央付近で、

空気が歪むように、光が集まり始める。

「……支給品ボックス?」

水上での出現。

逃げ場の少なさを考え、俺たちは反射的に距離を取った。

数分後。

右側の水面が、大きく波立つ。

「……何か来ます!」

モーターボート。

男が二人乗り、エンジン音を響かせながら、こちらへ一直線に迫ってくる。

さらに――

左側から、低く重いエンジン音。

現れたのは、

クルーズ船のような大型船だった。

甲板には、十人ほどの女性が立ち並んでいる。

その視線は、楽しげですらあった。

――その瞬間。

船尾付近から、

黒い筒状のものが、ゆっくりとせり出す。

(……大砲?)

次の瞬間、

凄まじい轟音。

湖面が爆ぜ、衝撃が空気を叩いた。

「っ――!」

ボートが大きく揺れ、

思わず体勢を崩す。

砲弾は、モーターボートの進路上に着弾していた。

水しぶきが舞い、

男たちの船は急停止する。

爆音の余韻が消えたあと、湖には不気味な静寂が落ちた。

水面に広がる波紋だけが、先ほどまでの暴力を物語っている。

クルーズ船の甲板に立つ女たちは、誰一人慌てる様子もなく、

まるで警告を放っただけだと言わんばかりにこちらを見下ろしていた。

あの一発は見せしめだ。

この湖で、力を誇示できるのは誰なのか――

それを知らしめるための一撃。

――理解した。

あの三人が、このエリアを避けた理由。

ここは快適な場所じゃない。

力を持つ者が、水上を支配する場所。

武器と船を持つ者だけが、生き残れるエリア。

オールを握る手に、嫌な汗が滲む。

逃げ場はない。

隠れる場所もない。

快晴地帯。

それは、穏やかな顔をした――

無法地帯だった。

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