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物語序章 第一版 32章

国防省の設立と統合軍の創設


明賢は国家の防衛と技術発展を一体化させるため、国防省を創設した。

国防省の下には陸軍・海軍・空軍・海兵隊・宇宙軍の五大軍種が置かれ、中央参謀本部が全軍を統括する。各軍は単独での行動ではなく、常に情報・補給・通信を共有し、統合運用体制のもとで行動する。



陸軍 ― 主力と守護の象徴


陸軍は国内防衛・機動展開・国土警備を主務とする。

戦闘部隊輸送では鉄道と道路を最大限活用し、長距離の展開にも即応可能。

補給は動的計画制を採用し、前線への燃料・食料・弾薬の供給が途絶えないように中央からデジタル監視された。



海軍 ― 帝国の盾


海軍は横須賀・呉・佐世保・舞鶴を主力基地とし、補給・造船・情報通信を統合した艦隊運用を行う。

艦砲・航海・艦隊統合作戦などを海軍士官学校で教育し、海上交通路の確保と港湾防衛を担う。

海軍はまた、後述する海兵隊の輸送母体としても機能する。



海兵隊 ― 上陸戦の矛


海兵隊は上陸作戦・港湾制圧・都市戦を専門とする。

上陸舟艇は旅団単位で50〜60隻、輸送艦を含む艦隊と連携して展開。

工兵・偵察・通信・衛生班が常時同行し、橋梁構築や前進補給基地の設営まで自立して行えるよう訓練された。

民間開拓地との連携訓練も行い、軍民一体型治安維持部隊としての性格を強めている。



空軍 ― 観測と支援の要


空軍は航空輸送・偵察・空路警戒を担当。

輸送機・哨戒機・VTOL無人機を運用し、緊急医療物資や弾薬を即座に前線へ届ける。

中央管制センターは空軍本部の直轄で、全軍の航空・通信・気象情報を統制する。



宇宙軍 ― 未来の眼


宇宙軍は将来、衛星が打ち上がると衛星通信・偵察・早期警戒を担う。

衛星通信端末と地上局による監視網が整備され、全軍の通信と補給の安全を確保。

衛星画像を解析し、戦場や海域の情報を中央参謀本部にリアルタイム送信する。



教育・研究・補給体制


帝国大学の軍学部を中心に陸海空各士官学校が設置され、

基礎理論(物理・化学・工学)から上陸訓練・都市戦・艦砲射撃・通信戦術まで段階的に教育が行われる。

各軍基地には研究棟・野戦病院・通信センターを併設し、

科学・医療・兵站が一体化した近代軍事体制が完成しつつあった。


陸軍 ― 帝国を支える大地の軍勢


使命と理念


陸軍は「国土の守護と民の安寧」を掲げる帝国最大の兵力組織であり、国内外の治安維持・戦争遂行・災害対応を担っていた。

その理念は単なる武力ではなく、「科学と秩序による防衛」。

明賢が定めた教義にはこう記されている。


「剣より鋼、鋼より理。理を持つ軍は敗れぬ。」


武の時代から知の時代への転換を象徴する存在だった。



組織構造


陸軍は大陸遠征・国内防衛・戦略予備の三軍区に分かれ、それぞれが完全自立型の補給・医療・整備機能を持つ。

•第一陸軍(東部方面軍):関東・東北を管轄し、首都防衛と災害救助を担う。

•第二陸軍(西部方面軍):関西・九州を拠点とし、西方警戒と産業地帯防衛を主務とする。

•第三陸軍(北方方面軍):北海道・樺太を守備し、寒冷地戦術や対異民族戦に特化する。


その上位には陸軍総司令部が置かれ、国防省の参謀本部と常時連携していた。



部隊構成


標準的な陸軍旅団はおよそ4,000名規模。

内部は以下のように細分化されている。

•歩兵連隊 ×3(各900名)

小銃・機関銃・迫撃砲を装備し、主戦力となる。

•砲兵大隊 ×1

野砲や榴弾砲を運用し、敵陣制圧と防衛支援を担当。

•工兵中隊 ×1

塹壕・橋梁構築・爆破・除染などを行う。

•通信中隊 ×1

無線機と有線通信網を維持し、前線の情報を即座に司令部へ。

•衛生中隊 ×1

負傷者の救護と後送、感染症の検査・防疫を担当。

•補給中隊 ×2

食料・燃料・弾薬の管理を行い、データは常時中央システムへ送信された。


これらの部隊は独立行動可能な自給自足戦力として訓練され、

短期間での展開・撤収を繰り返す戦術的柔軟性を重視していた。



装備と技術


明賢は戦の本質を「補給と情報」と見抜き、陸軍装備を以下の3原則で設計した。

1.統一規格(JIS)による互換性

すべての銃器・砲弾・車両部品を規格統一し、現場での修理・交換を容易にした。

2.電力化・通信化

無線通信機・暗号端末を小隊単位で装備。戦場での即時通信が可能。

3.軽装甲・高機動化

早期の自動車化を目指し、試作装輪車・機関銃車を運用。

これにより都市戦・山岳戦でも迅速に対応できる。


兵士の携行品も近代化され、耐水布の軍服、携行食、救急包帯、大隊長の手持ち無線端末が標準装備となった。



訓練と教育


陸軍兵士は徴兵ではなく志願制を原則とした。

訓練は三段階――基礎体力・兵科別技能・統合作戦――で構成され、

教育施設「陸軍士官学校」と「教導連隊」で同時進行的に行われた。


授業内容には数学・物理・戦術・倫理学・医療学・化学基礎が含まれ、


「頭脳なき力は暴力であり、理なき剣は国を滅ぼす」

という明賢の言葉が壁に掲げられていた。


士官候補生は、卒業時に帝国大学軍学部と単位互換を受け、研究職や技術部門にも進める仕組みだった。



医療・後方支援


衛生部隊には帝国大学医学部出身の軍医が配置され、

戦場では携行式滅菌装置・医療箱を用い、負傷兵の死亡率を大幅に減らした。

後方には移動式野戦病院が設置され、

補給部門と通信で結ばれ、負傷情報をリアルタイムで中央医療局に送信していた。


この体制は後に「防衛医療システム」と呼ばれるほど、近代的な仕組みであった。



評価と意義


陸軍は単なる戦う集団ではなく、国家技術の総合実験場でもあった。

兵器開発・化学研究・工学実験・地図測量など、科学の基礎がすべてここで培われた。

結果として、陸軍出身の技術者や研究員が帝国の産業発展を牽引していくことになる。

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