物語序章 第一版 247章
榴弾砲用砲弾体系の整備
1式装輪・装軌自走150mm榴弾砲の完成により、
日本陸軍は「撃てる砲」を手に入れた。
次に求められたのは、
どのような弾を、どの距離へ、どの目的で届けるか
という砲兵運用の中核であった。
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通常榴弾(高性能榴弾)
基礎となる弾薬は、信頼性の高い通常榴弾である。
•射程:約30km
•構造が単純で大量生産に向く
•不発率が低く信頼性が高い
前線支援、制圧射撃、継続火力の主力であり、
弾薬生産量の大半を占める。
射程は十分であったが、
敵の司令部・後方集積地・砲兵陣地に対しては、
さらに遠距離からの打撃が求められた。
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噴進榴弾(ロケット補助榴弾)
この要求に応えるため開発されたのが噴進榴弾である。
•発射後、一定距離飛翔してからロケットが点火
•弾道後半で推力を得ることで射程を延長
•最大射程:約45km
砲身への負担を増やさずに射程を伸ばせるため、
既存の150mm砲をそのまま使用可能という利点を持つ。
これにより、
•後方補給拠点
•砲兵集結地
を安全圏外から攻撃できるようになった。
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精密誘導砲弾(限定生産)
明賢ドクトリンでは、
「精密打撃は万能ではない」と位置付けられている。
そのため精密砲弾は少数のみ生産された。
座標誘導榴弾
•事前に入力された座標へ飛翔
•高価だが初弾命中率が極めて高い
主に、
•敵司令部
•通信施設
•重要人物の所在地点
に対して使用される。
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噴進誘導榴弾
•噴進榴弾に精密誘導キットを搭載
•長射程と精度を両立
弾数は極めて限られるが、
戦局を左右する一点を叩くための切り札として扱われた。
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特殊弾頭榴弾
燃料気化弾
•空中で霧状の燃料を散布
•直後に点火し高温爆発を起こす
爆風と高熱に加え、
•酸素を燃焼させることで局所的な酸欠状態を発生
•洞窟、建物、地下施設に対して極めて有効
堅固な防御陣地や市街地戦において使用された。
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フレシェット弾
•内部に無数の金属製針を内蔵
•目標上空で炸裂し広範囲に散布
塹壕内や森林地帯に潜む敵に対して有効であり、
遮蔽物を利用した歩兵戦術への直接的対抗策である。
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曳火榴弾
•目標上空で空中炸裂
•火線と破片を下方へばらまく構造
塹壕や掩体壕に隠れた敵に対し、
•上方からの攻撃
•陣地内部への破片侵入
を可能にする。
塹壕戦が発達した戦場において、
極めて実用性の高い弾薬と評価された。
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17世紀という時代
この時代には、
•陸戦条約も
•国際人道法も
•兵器の使用制限の概念も
存在しない。
日本は、
勝つために必要な弾薬を、合理的に選択した
に過ぎない。
重要なのは残虐性ではなく、
•効果
•生産性
•運用の容易さ
であった。
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榴弾砲は砲だけでは成立しない。
弾薬体系こそが砲兵の本体である。
•通常榴弾による継続火力
•噴進榴弾による縦深打撃
•精密弾による要点破壊
•特殊弾による戦術的優位
これらが揃ったことで、日本陸軍の砲兵は
単なる支援兵科ではなく、
戦場の形を決める存在
となった。




