表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
明賢の物語(日本建国物語)試作版 第一版  作者: 大和草


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

236/248

物語序章 第一版 236章

軽戦闘車両開発


履帯式装甲戦闘車両の技術蓄積と実証


―― 企画発足記録


17世紀当時、世界において機関銃すら存在しない中、日本はすでに自動火器・装甲車両・電動随伴車両を実用化していた。

しかし、明賢はこの技術的優位が永続的ではないことを理解していた。


塹壕戦の出現は、火器の進歩と共に必然である。

一度塹壕が発明され実戦で形成されれば、

•歩兵は消耗戦に陥り

•装輪式装甲車両は塹壕に阻まれ

•勝敗は「勇気」ではなく「工業力と時間」に支配される


これは前世において、第一次世界大戦が証明していた事実であった。



なぜ「戦車」を今すぐ使わないのか


明賢は、履帯式装甲戦闘車両――すなわち戦車が持つ意味を誰よりも理解していた。


それは単なる兵器ではない。

•塹壕を無視する存在

•地形を否定する存在

•防御思想そのものを崩壊させる存在


一度戦場に姿を現せば、

現在の世界の戦争観は根底から書き換えられる。


しかし同時に、それは


「見られた瞬間に、200年分の技術的時間を与える」

ことを意味していた。


設計思想、装甲構造、履帯、サスペンション、火砲の据え方――

たとえ完全な再現は不可能でも、「方向性」が露見するだけで十分すぎる。


そのため、戦車は

今は使わない。

だが、必ず使える状態にしておく。


これが本企画の根幹思想である。



技術取得の源泉


明賢は自身の能力を用い、前世の記憶だけでなく、

•M1A2 エイブラムス

•レオパルト 2A8

•10式戦車

•ルクレール

•T-80 / T-90

•チャレンジャー3


といった、21世紀の主力戦車・軽戦車の設計思想・試験データ・失敗例までも含めた

膨大な機密情報群を抽出した。


重要なのは「コピー」ではない。

•なぜその形になったのか

•何が成功し、何が失敗したのか

•どこが時代制約で妥協されたのか


これらを理解することで、

17世紀現在の工業力で再構成可能な最適解を導き出すことができた。



企画目的


履帯式装甲戦闘車両を即時実戦投入することは目的ではない。


本企画の目的は以下に集約される。

1.履帯走行技術の確立

•塹壕・不整地・障害物の走破

2.装甲構造思想の蓄積

•複合装甲

•モジュラー化

•被弾時の生存性

3.火砲と車体の統合研究

•進撃しながらの陣地破壊能力

4.量産を前提としない試験体系の構築

•秘密裏に製造し大量生産のノウハウの蓄積

5.将来の“電撃突破”に備える理論構築



想定される影響


この技術が実戦に投入された場合、

そのインパクトは前世の第一次世界大戦を遥かに上回る。

•瞬時に塹壕線が無力化される

•防御陣地の心理的崩壊

•歩兵の損耗を最小限に抑えた突破

•主砲による進撃中の火力投射


それは「新兵器」ではなく、

戦争のルールそのものの更新となる。


履帯式装甲戦闘車両


―― 統合戦闘システム構築計画


本計画において、新たに発明される技術はほとんど存在しない。

存在するのは、分散していた完成技術を「陸上戦闘」という一点に収束させる作業のみである。



技術的前提条件


1. 履帯駆動技術


履帯駆動そのものは、突発的な発明ではない。

•1600年代初頭より約60年にわたり

•採掘、土木、築城、港湾、建設


といった重機・牽引機械として運用され続けてきた。


すでに以下は確立済みである。

•高荷重下での耐久履帯

•泥濘地・雪地・不整地での走破性

•部品交換を前提とした整備思想


つまり、

「戦場で壊れない履帯」ではなく

「壊れる前提で運用される履帯」

という現代的な思想が、すでに存在していた。



2. 動力・車体技術(陸軍工廠)


エンジン、変速機、車体構造は、

陸軍工廠が長年にわたり積み上げてきた、

•野戦砲牽引車

•自走砲

•装輪・装軌混合車両


で実証された信頼性最優先の技術体系をそのまま使用する。


ここでは性能の限界を攻めない。

•俊敏性

•冷却性

•整備性

•過酷環境耐性


これらが最優先される。


戦車は速くある必要はない。

止まらないことが最優先である。



3. 電子制御・情報処理(海軍・空軍)


電子制御技術は、すでに

•艦艇の射撃指揮

•航空機の姿勢制御

•長距離通信


という分野で鍛え抜かれている。


戦車に求められるのは、

•振動耐性

•小型化

•冗長化


であり、新理論ではなく再設計である。



4. 戦術統合システム


戦車は単独兵器ではない。

•海軍の艦隊指揮系統

•空軍の航空支援

•陸軍の砲兵運用


これらと同一思想・同一言語で運用される必要がある。


そのため、戦術統合システムは、

•海

•空

•陸


で共有される統合戦闘体系の一部として設計される。


戦車は「陸上の艦艇」であり、

「地上を走る砲戦プラットフォーム」と定義される。



戦闘システム構成


射撃統制装置(FCS)


射撃統制は新規開発ではない。

•海軍艦艇に搭載され

•実戦・演習で実証済みの

•射撃統制装置


を陸戦用に改造・小型化して搭載する。


対応内容:

•揺動補正

•レーザー距離測定

•弾道計算

•走行中射撃への適応


結果として、

移動しながら命中させる能力が初めて陸戦に持ち込まれる。



火砲・砲弾技術


火砲と弾薬は、

•海軍艦砲

•陸軍野砲


で数十年にわたり改良されてきた。


すでに完成しているのは:

•高初速砲身製造技術

•徹甲榴弾

•榴弾・対構造物弾

•信管制御


戦車砲とは、

これらを短砲身・高耐振動構造に再構成したものに過ぎない。



統合の本質


問題は技術ではない。


問題は、

これらを「ひとつの戦闘システム」としてまとめ上げる思想である。

•動力

•履帯

•装甲

•火砲

•射撃統制

•通信

•指揮


これらを別個に扱った瞬間、戦車はただの重機になる。


統合したとき初めて、


「進撃しながら破壊し、

止まらず、塹壕を否定する存在」


となる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ