表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
明賢の物語(日本建国物語)試作版 第一版  作者: 大和草


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

235/248

物語序章 第一版 235章

2号装甲兵員輸送車 ―― 鉄の腹の中の歩兵


1660年代後半。

陸軍改革の後半段階において、

明賢が最も重視したものは意外な点だった。


兵を“強くする”ことではなく、“生きたまま前線に届ける”こと


それまで使われていた1号装甲車は優秀だった。

しかしそれはあくまで――

後方から前線へ近づくための車両である。


砲弾が落ち、

銃弾が横切り、

破片が雨のように降る場所。


そこには入れなかった。



開発思想 ―― 歩兵を箱に入れるな


設計段階で、

技術者たちは一つの原則を掲げた。


「これは車ではない。歩兵の延長だ」


2号装甲兵員輸送車は、

戦車ではない。

装甲車の改良型である。



車体構成


基本諸元

•全長:8m

•全幅:3m

•重量:35t


決して小さくはないが、

戦車より遥かに軽く、

市街地・森林・丘陵を想定した寸法である。



機動力 ―― 速さは防御


8輪のコンバットタイヤ。

•高耐荷重

•ランフラット構造

•被弾後も約40kmの走行が可能


ディーゼルエンジン1基、

出力550kW。


最高速度 105km/h。


「装甲は最後の盾、速度は最初の盾」


という思想が徹底されていた。


行動可能距離は1000km。

補給線が多少乱れても、

部隊は前進を止めない。



装甲 ―― 生き残るための形


モジュラー式複合装甲

•鋼材

•セラミック

•繊維複合材


被弾・破損した部分だけを

前線基地で交換可能。


戦場で「修理不能」という概念を消した。



床面対地雷装甲


この時代、

世界はまだ「地雷」を知らない。


だが明賢は言った。


「いずれ敵は地雷の有効性に気づく」


車体底面は、

•V字構造

•補強装甲板


仮に爆発を受けても、

衝撃は横へ逃げ、

兵員室へは届きにくい。



乗員配置

•操縦手

•車長

•射手

•完全武装歩兵8名


1式防弾衣、

1式自動小銃、

分隊支援火器。


全てを装備したまま、

即戦闘可能な状態で降車できる。



武装 ―― 見えない砲塔


車体上部には

RWSリモート・ウェポン・システムを搭載。


選択武装

•40mm擲弾発射器

•重機関銃


射手は車内から操作する。

•昼夜対応照準

•安定化制御

•自動追尾


「撃つために、頭を出すな」


この一文が、

数えきれない命を救った。



役割 ―― 通常の輸送では行けない場所へ


2号装甲兵員輸送車が向かうのは、

•敵砲兵射程内

•市街戦の入口

•塹壕線直前

•突破口の縁


「普通なら歩兵を降ろせない場所」である。


扉が開くと同時に、

•分隊が展開

•車両は即座に射撃支援

•必要なら再び兵を収容


前進と後退を

一つの装置で完結させた。



初投入時、

敵は戸惑った。


砲撃しても沈黙しない。

銃撃しても歩兵が出てくる。

燃えても部隊が崩れない。


「兵が鉄の腹から湧いてくる」


そう報告された。


2号装甲兵員輸送車 ―― 分解される戦場


2号装甲兵員輸送車が前線に配備されてしばらくした頃、

現場の指揮官たちから同じ要望が上がり始めていた。


「この足回りで、別の役割もこなせないか?」


設計局はその声を待っていたかのように、

一つの事実を公表する。



共通車体構想


2号装甲兵員輸送車は、

完成車両ではなかった。


それは――

完全に独立した“ベースシャーシ”であった。

•動力系

•走行系

•電力系

•通信系

•防御構造


これらは全てシャーシ側に集約され、

上部構造――すなわち 任務区画 は、


丸ごと取り外し可能


という、当時の世界では理解不能な設計だった。



交換作業


前線基地。


クレーンが動き、

ボルトが外され、

ケーブルが切り替えられる。


兵員室が外されると、

そこには無骨な鋼鉄の背骨が現れる。


数時間後、

別のモジュールが載せられる。


同じ車体

同じ操縦

だが、まったく別の役割



主要モジュール群


40mm 歩兵戦闘車モジュール


最も攻撃的な構成。

•無人砲塔

•40mm機関砲

•同軸機関銃

•対装甲兵器搭載可能


もはや単なる輸送車ではない。


歩兵と共に戦う戦闘車両


随伴し、

制圧し、

突破口を開く。


戦車ほど重くなく、

装甲車より遥かに凶悪。



救急輸送モジュール


内部は白く、静かだった。

•ストレッチャー固定装置

•衝撃吸収床

•医療用電源

•応急手術スペース


砲弾が飛ぶ中でも、

この車両は前へ出る。


「亡くなる前に必ず助けに行く」


という思想の具現。



司令部モジュール


外見はアンテナが生えているだけで地味だが、

中身は戦場の頭脳。

•高性能演算装置

•通信中継機

•地図投影モニター

•各部隊リンク端末


塹壕の後ろでも、

市街の交差点でも、

即席の戦術司令部が完成する。



迫撃砲モジュール


天井が開く。

•迫撃砲

•自動装填装置

•弾薬ラック


撃って、

閉じて、

移動する。


「撃った場所に留まるな」


という現代戦の原則を、

この時代に先取りしていた。



装甲兵站輸送モジュール


派手さはない。


だが最も重要だった。

•弾薬

•食料

•水

•医療物資


前線のすぐ後ろまで、

装甲で守られた補給が届く。


補給が止まらない軍は、負けない



工兵モジュール


内部には工具と機械。

•障害物除去装置

•架橋器材

•爆破装備

•地形改変器具


戦場を進める場所に変える存在。



戦場の変化


このモジュール化によって、

陸軍は気づく。


「部隊編成を固定する必要がない」


状況に応じて、

•攻撃型

•支援型

•救護型

•指揮型


を前線で組み替えることができた。



思想の完成


明賢は報告書に目を通し、

短くこう記した。


「これは車ではない。

 軍そのものだ」


2号装甲兵員輸送車は、

•輸送

•戦闘

•指揮

•救助

•補給

•工兵


すべてを同じ足回りでこなす

陸戦プラットフォームとなった。


1式歩兵機動車 ―― 影の主役


戦場は、常に最前線だけで動いているわけではない。

むしろ勝敗を分けるのは、その後ろ――

補給路、巡回線、連絡線だった。


その隙間を埋めるために生まれたのが、

1式歩兵機動車である。



設計思想


この車両に、過剰な要求は課されなかった。

•戦車のような重装甲は不要

•兵員輸送車ほどの搭載量も不要

•だが「確実に、早く、人を運ぶ」こと


設計局は割り切った。


「撃たれたら逃げる。

 撃たれる前に動く。」



車体と機構


全長5m、全幅2.2m。

人が操りやすく、

狭い道路や未整地でも取り回せる寸法。

•重量:5t

•4輪駆動

•ディーゼルエンジン:150kW


この出力は、

「速く走るため」ではなく、

どんな地形でも速度を落とさないために使われた。


舗装路では時速105km。

未舗装路でも、速度差は小さい。



装甲 ―― 最低限の盾


装甲は薄い。

•小銃弾

•破片

•跳弾


それらを防げる程度。


砲弾も、重機関銃も、

この車両は耐えることは出来ない。


だが設計者は言った。


「それでいい。

 これは戦う車ではない」



車内


乗員4名。

•運転手

•兵士3名


車内は狭いが、無駄がない。

•通信機

•地図モニター

•個人装備固定具

•簡易整備工具


「降りてすぐ動ける」

その一点に最適化されていた。



運用実態


コンボイ護衛


後方輸送部隊。


重装甲車が前後を固め、

その間をこの車両が走る。

•不審物の確認

•ゲリラ対策

•連絡伝達


異変があれば即座に離脱し、

重装甲車に判断を委ねる。



支配地域の巡回


広大な支配地域。


すべてを重装備で回るのは非効率だった。


1式歩兵機動車は、

•村

•港

•街道

•施設


を日々巡回する。


住民は、この車両を見て安心した。


「軍がいる」

「治安が保たれている」


その象徴だった。



前線基地間の移動


前線基地は、

必ずしも大きくはない。


その間を結ぶのは、

このような軽快な車両だった。

•伝令

•小規模部隊

•物資

•技術者


必要なものを、

必要な数だけ、素早く運ぶ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ