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明賢の物語(日本建国物語)試作版 第一版  作者: 大和草


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231/248

物語序章 第一版 231章

1660年 陸軍の恒久的戦力保持改革


1. 背景


スペインとの大規模戦争が終結し、日本に対して

差し迫った外敵脅威は一時的に消滅した。

•国境線は確定

•内乱の芽もほぼ摘み取られた

•産業・財政・人口はいずれも安定期に入る


この時点で日本陸軍は、

組織・訓練・装備・兵站の全てにおいて他国を大きく凌駕しており、

技術的優位はおよそ100年分の先行があった。


しかし同時に、

•明賢自身が老いを自覚し始めたこと

•「個人の天才に依存した軍事体制」の危険性

•平時における軍の腐敗・形骸化の兆候


が、静かに問題として浮上していた。


この改革は、

明賢が直接関与する最後の陸軍制改革となる。



2. 改革の基本思想


この改革の核心は、次の一点に集約される。


「戦争のための軍」から「平和の中で維持される軍」へ


つまり、

•緊急動員型の臨時軍制を捨て

•国家制度として恒久的に存在する陸軍を確立する


ことであった。



3. 改革の主要柱


① 恒久常備軍制の確立

•戦時・平時を問わず維持される常備陸軍を正式制度化

•各地方に「常備師団」を固定配置

•農繁期・閑散期による兵力変動を廃止


これにより陸軍は

国家行政機構の一部として扱われるようになる。



② 装備の段階的・計画的更新

•数十年単位での装備更新計画(長期軍備計画)を制定

•一気に刷新せず、段階的に旧式装備を退役

•装備更新と同時に補給・整備体系も標準化


結果として、

•世代差による装備混在を抑制

•戦時の整備混乱を回避

•産業側も安定した受注を得る


という三方良しの体制が成立する。



③ 指揮系統の非個人化

•明賢直属だった権限を、次第に制度と政府に分配

•作戦・訓練・補給・人事を明確に分離

•個人の裁量ではなく規則と文書で軍が動く体制へ


これにより、


「明賢がいなくなっても同じ軍が動く」


ことが制度的に保証される。



④ 教育・訓練の恒久化

•士官学校・下士官養成所を恒久機関として再編

•経験の伝承を教範化

•実戦経験を体系化し、教材として保存


陸軍はここで初めて

自己再生能力を持つ組織となった。



⑤ 動員力の温存(予備役制度)

•常備軍とは別に、練度を保った予備役を保持

•有事には即時拡張可能な構造

•平時は経済活動に復帰させ、国家負担を抑制


「平時に肥大化しすぎない軍」を実現するための要である。



4. 改革の規模と期間

•改革は一挙には行われない

•数十年単位で段階的に実施

•明賢は方向性を示し、実装は後継世代に委ねる


このため後世では、


「1660年改革は一つの時代ではなく、一つの歴史の始まりであった」


と評される。


装備更新:1式自動小銃の制定


1. 更新の背景


陸軍では日本陸軍設立以来長らく

ボルトアクションライフルが正式装備として配備されていた。


この時点(17世紀中期)においても、

•世界各国の主流:フリントロック銃

•日本陸軍:金属薬莢式・施条銃身


という圧倒的技術差が存在しており、

既存装備であっても依然として他国を凌駕していた。


しかし、

•製鉄・精密加工・化学工業の成熟

•弾薬の大量生産と品質安定

•部品互換性・整備体系の確立

•特殊部隊における自動小銃の実戦的運用実績


これらが揃ったことで、


「技術的に可能」ではなく

「国家規模で安全に運用できる」段階


に到達したと判断された。



2. 採用方針


新装備は完全な新規開発ではなく、

•特殊部隊で先行配備されていた自動小銃

•実戦データ・故障記録・整備記録


を基に、

制式量産兵器として再設計されることになった。


その結果制定されたのが、


1式自動小銃


である。



3. 1式自動小銃:基本仕様


名称

一式自動小銃(Type-1 Automatic Rifle)


作動方式

ガス作動・閉鎖機構付き自動小銃

(単射・連射切替可能)


装弾方式

•着脱式箱型弾倉

•装弾数:30発


弾薬

•新型中型弾薬(規格化弾薬)

•装薬量は従来弾とほぼ同等

•弾頭を小型・高速化することで

•反動低減

•初速向上

•貫通力の安定化

を実現



4. モジュラー設計思想


1式自動小銃の最大の特徴は

完全なモジュラー化思想である。


① 上面・ハンドガードのモジュール化

•上部に統一規格の装着基部

•以下の装備を任意装着可能

•光学照準器

•夜間・薄暮用光学機器

•観測・測距装置


これにより部隊・任務ごとの

火器構成の差別化が可能となった。



② 個人適応調整

•ストック長の調整

•グリップ位置の変更

•重心位置の変更


兵士一人ひとりの

•体格

•利き手

•戦闘姿勢


に合わせた調整が可能であり、

兵器が兵士に合わせるという思想が初めて正式採用された。



5. 戦術的影響


1式自動小銃の配備により、陸軍戦術は根本的に変化する。


従来

•集団斉射

•装填の間に隊形を維持

•指揮官主導の火力運用


更新後

•分隊単位での連続火力

•個人判断による射撃

•機動と火力の同時運用


特に、


「歩兵が自ら戦場の主導権を握る」


という概念が初めて現実のものとなった。



6. 採用と展開

•初期配備:近衛部隊・主力常備師団

•旧ボルトアクションは予備役・後方部隊へ

•数十年かけて段階的更新


このため1式自動小銃は、


1660年改革の象徴的装備となる


1式分隊支援火器の制定


1660年の陸軍改革において、

1式自動小銃の採用と同時に議論されたのが、


「分隊が自立して戦える火力」


であった。


従来の戦場では、

強力な火力は中隊・大隊単位に集約され、

分隊はあくまで命令を待つ存在だった。


しかし自動小銃の普及により、

分隊単位で戦場を制圧する思想が現実のものとなり、

それを完成させるための火器が必要とされた。


その答えが――

1式分隊支援火器である。



1式分隊支援火器:基本思想


この火器は「重機関銃」ではない。

かといって「小銃」でもない。


分隊に与えられる、

継続火力の中核


として設計された。


最大の特徴は、

•1式自動小銃と完全に共通化された弾薬

•分隊内での弾薬融通が可能

•補給体系の単純化


であった。



基本仕様


名称

一式分隊支援火器


使用弾薬

•1式自動小銃と共通規格

•小口径・高初速弾


給弾方式

•ベルトリンク式

•200発箱型弾倉


発射能力

•長時間の継続連射が可能

•制圧射撃に特化した射撃速度


重量

•個人携行可能な限界を意識した設計

•1人運用を前提



銃身交換機構


この火器の実用性を決定づけたのが、

即応銃身交換機構であった。

•加熱した銃身は工具不要で取り外し可能

•予備銃身を携行

•数秒で再射撃可能


これにより、


「撃ち続けること」が戦術として成立


した。


17世紀の戦場において、

これは異様な光景であった。



モジュラー設計の継承


1式自動小銃で確立された

モジュラー思想は、支援火器にも反映された。

•グリップ位置の変更

•ストック形状の変更

•照準器の交換

•二脚・三脚の選択


体格・利き手・射撃姿勢に応じて調整され、

誰が持っても最大性能を引き出せる設計となっている。



戦術運用


① 突撃支援


分隊が前進する際、

•1式分隊支援火器は後方に位置

•敵陣に向け連続射撃

•敵の頭を上げさせない


これにより、


突撃は「勇気」ではなく

計算された前進となった。



② 制圧射撃


敵の位置が完全に把握できていなくとも、

•弾幕を張る

•動きを封じる

•味方の機動を成立させる


という役割を果たす。



③ 見かけ上の戦力誇張


1式分隊支援火器の連続火力は、

•敵に対し

•実際よりも数倍の兵力がいると錯覚させる


効果を持った。


これは心理的効果として極めて大きく、


敵部隊が接触前に後退する事例

すら報告される。



分隊という戦闘単位の完成


1式自動小銃と

1式分隊支援火器の組み合わせにより、

•分隊は

•攻撃

•防御

•制圧

•後退

を自己完結で行えるようになった。


もはや分隊は

単なる兵の集まりではなく、


最小にして完成された戦闘単位


となったのである。

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