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明賢の物語(日本建国物語)試作版 第一版  作者: 大和草


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219/248

物語序章 第一版 219章

巡洋艦という解


時代が進むにつれ、

日本海軍の艦隊編成思想は明確になっていった。


原子力戦艦――

圧倒的な威容と火力を誇る存在。


しかしそれは、

常に前面に立たせるには重すぎる剣でもあった。


建造コスト、運用負荷、

そして政治的・外交的な重み。


この時代において、

戦艦は「見せる力」であり、

「切る力」ではなかった。



主戦力の再定義


そこで再定義されたのが、

巡洋艦という艦種である。


・戦艦ほど巨大ではない

・駆逐艦よりもはるかに強力

・空母を守り、艦隊を率い、単独行動も可能


まさに

艦隊の背骨。


日本海軍は巡洋艦を、

単なる中型艦とは考えなかった。


「巡洋艦こそが、艦隊運用の基本単位である」


そう位置づけられたのである。



二つの巡洋艦


この思想のもと、

二種類の巡洋艦が計画される。


あたご型重巡洋艦


・強力な対水上火力

・高い防御力

・空母機動艦隊の中核随伴艦


空母の盾であり、

必要とあらば剣にもなる存在。


空母の横に並び立ち、

敵艦隊に対して圧力をかける。



てんりゅう型軽巡洋艦


・高速

・指揮能力重視

・駆逐艦隊や護衛艦隊の旗艦


軽巡という名称ではあるが、

その中身は指揮艦そのものだった。


駆逐艦の速度に完全に追従し、

艦隊を束ね、戦場を整理する。



旗艦としての巡洋艦


両型に共通する思想がある。


それは――

単艦で艦隊旗艦になれること。


そのため巡洋艦には、


・高性能CIC

・多重通信設備

・陸海空共通リンク

・独立した指揮区画

・冗長化された電源とコンピューター


が標準装備される。


戦艦が不在でも、

空母が後方に下がっても、

艦隊は止まらない。



速度への執念


もう一つの重要な要素は、速度だった。


この時代の艦隊戦は、

帆船が主力なため速度が命である。


空母、駆逐艦、潜水艦――

すべてが機動力を前提としている。


巡洋艦だけが遅れては意味がない。


そのため、


・高出力機関

・統合電気推進

・流体抵抗を極限まで抑えた船体


が徹底的に追求された。


巡洋艦は、

重くても速くなければならなかった。


あたご型重巡洋艦 ― 艦隊の拳


日本海軍が巡洋艦を「主戦力」と再定義したとき、

最初に形となったのがあたご型重巡洋艦であった。


戦艦ほど誇示的ではなく、

駆逐艦ほど軽くもない。


だが、ひとたび戦場に出れば、

確実に敵の注意を引きつけ、叩き潰す力を持つ。


それが、あたご型の役割である。



船体と推進 ― 速力への執念


全長210m、全幅23m。

排水量17000t。


17世紀の海を走る艦としては異様な存在だった。


船体は徹底して水線抵抗を抑える設計がなされ、

艦首は鋭く、艦尾は流れるように絞り込まれている。


推進方式は統合電気推進。


2基のガスタービンエンジンが発電し、

70000kwという膨大な電力を生み出す。


それは直接スクリューを回さない。

一度すべて電力へと変換され、

精密制御された電動モーターによって推進力へ変えられる。


この方式により、


・低速域での静粛性

・高速域での爆発的加速

・機関配置の自由度


が確保された。


最大速力は60km/h。


これは空母に完全に追従し、

場合によっては先頭に立つ速さである。



主武装 ― 200mm連装砲


あたご型の象徴は、

艦の前後に配置された連装200mm砲4基8門である。


この砲は単なる大口径砲ではない。


・高初速

・精密な射撃管制

・データリンクによる外部照準


を前提として設計されていた。


目標は必ずしも視認されない。

索敵は空母機、無人機、潜水艦、衛星から送られてくる。


あたごはそれを受け取り、

見えない敵を撃つ。


対艦戦闘では敵巡洋艦を、

対地では港湾や陣地を、

支援砲撃では上陸部隊の前面を粉砕する。



多層防空 ― 生き残るための装備


近接防御も徹底されている。


・120mm速射砲

・40mm機関砲

・20mm多銃身機関砲


これらはすべて射撃管制システムと連動し、

自動追尾・自動射撃が可能。


さらにVLS40セル。


対空ミサイル、対艦ミサイル、対地攻撃用弾頭など、

任務に応じて柔軟に搭載される。


あたご型は単艦で、


「簡易防空圏」


を形成できる能力を持っていた。



電子装備 ― 見て、聞いて、考える艦


艦橋の奥深く、

分厚い隔壁に守られたCIC。


そこには、


・フェイズドアレイレーダー

・対水上レーダー

・アクティブソーナー

・衛星通信アンテナ

・位置誘導アンテナ


からの情報が集約される。


艦内のコンピューターは常に状況を更新し、

敵味方の位置、速度、予測進路を表示する。


あたご型は単なる「撃つ艦」ではない。


考える艦であり、

状況によっては艦隊全体の指揮を引き受ける。


CICには艦隊指揮機能が付与されており、

駆逐艦隊や補助艦を束ねることが可能だった。



防御思想 ― 破壊されにくい艦


装甲は一枚ではない。


・セラミック

・燃料タンク

・鋼板

・バラストタンク

・VLSセル


これらを意図的に挟み込む複合装甲構造。


一部が貫通されても、

エネルギーは分散され、

致命傷になりにくい。


区画は細かく分けられ、

損傷時には自動で閉鎖される。


あたご型は、


「一撃で沈まないこと」


を何よりも重視して設計されていた。



あたご型の立ち位置


戦艦が外交の象徴なら、

あたご型は現実の戦場の象徴だった。


空母の横に立ち、

敵を睨み、

必要とあらば真っ先に火を吹く。


常に前線にいることを宿命づけられた艦。


それが、

あたご型重巡洋艦である。

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