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明賢の物語(日本建国物語)試作版 第一版  作者: 大和草


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216/248

物語序章 第一版 216章

原子力戦艦構想の始動


空母機動艦隊と原子力潜水艦の整備が進む中で、

ある問題 が浮かび上がっていた。


それは――

「見せられる戦力がない」 という問題である。


空母は圧倒的すぎた。

その存在は、この時代の常識を三百年先取りしている。

•電磁カタパルト

•ジェット艦載機

•早期警戒管制

•データリンク戦


これらを他国に見せることは、

数百年分の技術的アドバンテージを捨てる行為だった。


明賢は理解していた。


「覇権国家には“恐れられる力”と“理解される力”の両方が要る」


そこで選ばれたのが、

戦艦 である。



なぜ戦艦なのか


戦艦は、世界が理解できる。

•大きな艦体

•巨大な砲

•分厚い装甲

•明確な威圧感


どの国の使節も、

港に停泊する戦艦を見れば直感的に理解できる。


「あれと戦ってはいけない」


そしてもうひとつ。


空母は“秘匿された力”だが、

戦艦は正面から立つ力である。


外交の場においては、

姿が重要だった。



原子力戦艦の目的


新たに建造される戦艦には、

明確な役割が与えられた。


① 艦砲射撃による対地攻撃

•要塞

•港湾施設

•沿岸拠点


航空機を使わずとも、

確実に破壊できる力。


② 空母機動艦隊の直衛

•強力な対空砲火

•高出力レーダー

•空母に迫る敵を砲で叩き落とす盾


③ 拡張性のある巨大プラットフォーム

•将来の新型砲

•電子装備

•新兵器


時代が進めば、

姿を変えながら戦い続けられる艦。


④ 日本の「外交代表」

•他国の港へ入港

•観閲式への参加

•威圧と安心の両立


「日本は、これほどの力を持っている」

「だが、無闇には使わない」


それを示す存在。



原子力という選択


戦艦は常に前線に立つ。

•長期間の展開

•高出力レーダー

•大量の電力を必要とする火器


通常発電では限界があった。


原子力であれば、

•燃料補給なしで数十年

•出力は事実上無尽蔵

•高速航行と長期滞在の両立


そして何より、

巨大艦体との相性が良かった。


原子炉を守る装甲、

広い内部空間、

冗長な安全設計。


戦艦は原子力の「見せる器」としても最適だった。



海軍首脳会議。


造船技師、

砲術士官、

原子力技術者。


全員が一堂に会した。


最後に明賢が言った。


「空母は影だ。

潜水艦は刃だ。

だが――

世界の前に立つのは、盾がいい」


その瞬間、

原子力戦艦の建造は正式決定された。


長門型原子力戦艦


― 日本海軍が世界に示した「理解できる覇権」 ―



建造の意味


長門型原子力戦艦は、

空母機動艦隊という“影の力”を覆い隠す盾として生まれた。


他国の使節が港に入り、

最初に目にするのはこの艦である。


飛行機ではない。

潜水艦でもない。


巨大な砲と分厚い装甲を備えた、誰の目にも分かる力。


「これ以上、分かりやすい抑止力はない」


それが明賢の意思だった。



諸元

•全長:320m

•全幅:32m

•排水量:45,000t


外見は細長く、低く、

重心は徹底的に下げられている。


巨大でありながら、

動く要塞ではなく“走る砲台” として設計された。



動力・推進

•原子炉:3基搭載

•推進方式:統合電気推進

•総出力:90,000kW

•最大速力:50km/h


原子炉で発電し、

その電力でモーターを回す方式。


これにより、

•低速時の静粛性

•高速時の加速力

•電子装備への安定供給


すべてを両立した。


「この艦は“走る発電所”でもある」


と造船技師は評した。



主武装


主砲

•3連装350mm砲 × 4基(計12門)


砲身は長く、

装薬量も大きい。


射程・貫通力ともに、

この時代の沿岸要塞を一方的に破壊できる性能。


副砲

•3連装150mm砲 × 2基(6門)


対水上・対軽装甲目標用。


対空火力

•120mm速射砲(単装)× 20門

•40mm連装機関砲 × 40門

•20mm6連装機関砲 × 6基


空母直衛を想定し、

異常なまでの対空密度を誇る。


「空母に近づくものは、空で消える」



ミサイル兵装

•VLS:40セル


用途は柔軟に設定可能。

•対空

•対艦

•対地

•次世代兵器


あくまで主役は砲だが、

時代の変化を受け止める余地が残されている。



航空・補助機能

•後部発着甲板


回転翼機や無人機の運用が可能。

•索敵

•連絡

•救難

•観測


戦艦でありながら、

単独行動能力も高い。



電子装備


艦橋内部は、

もはや「船」ではなかった。

•対空フェイズドアレイレーダー

•対水上レーダー

•衛星通信アンテナ

•位置誘導アンテナ

•電子妨害装置

•射撃管制用FCS

•全周囲監視カメラ


CIC(戦闘情報センター)は、

小型司令部並みの規模を持つ。



指揮能力

•旗艦運用可能

•高性能演算コンピューター搭載

•CICに指揮機能を完全統合

•陸・海・空 共通リンクシステム


この艦は撃つだけではない。


戦場を“見る・考える・命じる”


そのすべてを単艦でこなす。



防御・生存性


装甲

•セラミック

•鋼板

•バラストタンク


を組み合わせた多重複合装甲。


区画

•極端に細かい区画分け

•センサー連動自動閉鎖

•浮力維持設計


電源

•多系統電力網

•非常用発電機完備


「沈めるには、艦そのものを消し飛ばすしかない」


と言われるほどの耐久性を持つ。



拡張性


長門型は完成形ではない。

•より大型の主砲

•電磁砲

•新型ミサイル

•指向性エネルギー兵器


それらを載せるための、

•余剰電力

•余剰重量

•余剰スペース


が最初から確保されている。


一番艦 長門


長崎造船所。

入り江を塞ぐように設けられた巨大なドックの中で、

それは静かに完成の日を迎えていた。


名は――長門。



就役


進水の日、

海に集まった者たちは言葉を失った。


それは、この時代の「船」ではなかった。


ガレオン船が誇る帆柱は存在せず、

代わりにそそり立つ艦橋が空を切り裂くように伸びている。

帆はない。

煙突も煙を出さない。

だが確かに、生きている。


鋼鉄で組み上げられた船体は、

木造船の何倍もの質量を持ちながら、

水中に沈むこともなく、堂々と浮かんでいた。


誰かが小さく呟いた。


「……これは城だ」



第1水上艦隊 旗艦


就役後、長門は第1水上艦隊の旗艦となる。


巡洋艦、駆逐艦、補給艦。

それらが長門を中心に配置されると、

艦隊の動きは明らかに変わった。


指示は早く、

反応は正確で、

混乱は起きない。


艦橋深部のCICでは、

艦隊全体の位置、速度、方位が常に把握されていた。


「艦隊が、ひとつの意思を持ったようだ」


古参の将官が、そう漏らした。



お召艦として


長門は同時に、お召艦としての任を与えられる。


天皇陛下が乗艦される部屋でさえも過剰な装飾は施されていない。

だが、船体そのものが威厳だった。


鋼鉄の甲板を踏みしめる音、

静かに回り続ける原子炉の鼓動、

一切の煙を出さずに進む艦影。


「この船に乗るだけで、

すでに国威を示している」


そう評されるようになる。



海外観艦式


やがて、長門は海外の観艦式へと向かう。


港に並ぶのは、

帆を張ったガレオン。


その中へ、

異質な存在が滑り込む。


巨大。

無音。

無煙。


水を切る音すら最小限で、

ただ鋼の壁が港に現れる。


外国の士官たちは、

双眼鏡を下ろしたまま動けずにいた。


「帆がない……では、どうやって進んでいる?」


誰も答えられなかった。



国の顔


以後、長門は――

•観艦式

•親善航海

•示威行動


あらゆる場で前面に立つ。


空母は姿を見せず、

潜水艦は海中に潜む。


見せる役割は、すべて長門が担った。


「あれが日本だ」


そう語られるようになる。



同型艦と、その先


長門型は、同型艦8隻の建造が予定される。


それぞれが、

この異様な戦艦を基準に設計され、

少しずつ改良を加えられていく。


だが、それと同時に――

別の計画も動き始めていた。


超大型戦艦の試作。


実戦配備を前提としない。

技術を限界まで押し広げるための艦。


長門は、

その礎となる存在だった。

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