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明賢の物語(日本建国物語)試作版 第一版  作者: 大和草


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207/248

物語序章 第一版 207章

第二次南極観測隊の編成


第1次で得られた知見を元に、

第2次観測隊は最初から目的が違った。

•長期滞在を前提とした人員構成

•越冬を想定した装備

•常設化を見据えた基地設計


探索ではなく、

定住への第一歩として計画される。



原子力船のノウハウ蓄積


宗谷は証明した。

•原子炉は極寒でも安定する

•電気推進は砕氷航行に適する

•燃料補給なしで長期航海が可能


これにより、

空母、潜水艦、砕氷船、観測船――

艦艇の設計思想そのものが書き換えられた。



極寒地用機械の改良


最大の問題点は明確だった。


部品がが耐えない。

•ゴムの硬化

•潤滑油の凍結

•金属脆化の加速


これを受け、

新素材研究が加速する。


超低温対応ゴム。

低温でも粘度を保つ油。

熱膨張収縮を計算した機械設計。


南極は、

地球上最大の実験室となった。



南極基地ユニット。


閉鎖環境。

極限温度。

補給が困難。


それは、

宇宙基地とほぼ同じ条件だった。

•空気循環

•水の再利用

•人間の心理変化


南極は、

宇宙への予行演習となる。


後に宇宙服、宇宙ステーション、

月面基地計画へと繋がる研究の多くは、

この時点で芽を出していた。



静かな結論


第1次南極観測隊は、

南極点に到達した。


だが、

それ以上の成果を持ち帰った。


「人類は、

極限環境でも

計画と技術があれば

前進できる」


明賢は、

提出された報告書の山を前に、

静かに頷いた。


計画は、

確実に前へ進んでいる。


極寒耐性素材の開発


第1次南極観測隊の報告から、

間を置かず研究は動き出した。


最大の課題は明確だった。


「寒さに、材料が負ける」


そこで帝国大学工学部、

軍需工廠、重工メーカー、繊維研究所が合同で

極寒耐性素材開発計画を立ち上げる。



機械用素材

•超低温でも硬化しない新配合ゴム

•低温域で粘度が安定する潤滑油

•熱収縮を前提に設計された金属結合部

•金属の低温による脆化に対応するための新金属


これらはまず、

南極用重機・雪上車に即座に反映された。


試験は北海道、樺太、シベリア北部、

そして人工寒冷試験室で繰り返される。


マイナス50度。

マイナス65度。

マイナス80度。


壊れるたびに設計を直し、

記録を積み上げる。


南極は遠い。

だが研究室の中に、

南極が再現され始めていた。



耐寒装具の開発


人間もまた、

素材で守られなければならない。


通常の防寒服では、

南極の内陸では命が持たない。


そこで開発されたのが、

多層式耐寒装具である。

•外層:風雪・氷粒を弾く耐水層

•中層:断熱と柔軟性を両立する新素材

•内層:体温を保持し湿気を逃がす調整層


これに加え、

手袋・ブーツ・フェイスガードも専用品となる。


被験者は、

人工寒冷室で数時間の耐久試験を受けた。


動作。

呼吸。

指先の感覚。


すべてが記録され、

改良されていく。


目標は一つ。


マイナス80度で、作業ができること。



技術開発と並行して、

第二次南極観測隊が正式に編成された。


第1次とは、

目的が根本的に違う。

•探索ではない

•到達ではない


滞在である。



計画内容

•沿岸基地・内陸基地への長期滞在

•越冬を想定した生活・研究体制

•原子力船による定期補給

•人員交代を前提とした常駐計画


これ以降、

南極には必ず日本人がいる。


南極は「訪れる場所」から、

「一つの研究所」へと変わった。



訓練


隊員たちは、

通常の軍事訓練とは別の訓練を受ける。

•極寒下での機械整備

•閉鎖環境での生活訓練

•医療トラブルへの即応

•長期間孤立した際の心理耐性


特に重視されたのは、

精神面だった。


寒さよりも、

孤独と単調さの方が人を壊す。


その事実は、

第1次観測隊の報告で既に明らかだった。



宗谷のドック入り


一方、

観測船宗谷は横須賀へ戻ると、

そのままドックへ入れられた。


表から見れば、

無傷に見えた。


だが内部は違う。



損傷検査

•船体の微細な亀裂

•砕氷時の衝撃による歪み

•電気推進系の負荷履歴

•原子炉周辺の熱応力


すべてが徹底的に調べられる。


宗谷は、

「船」であると同時に

実験データの塊だった。



改良工事


検査結果を元に、

宗谷は改修に入る。

•船体構造の補強

•推進系の応答性向上

•極寒対応装備の本格実装

•原子炉遮音・遮蔽の改良


宗谷は、

第2次南極観測隊を迎えるため、

次の姿へ進化していく。



静かな変化


この時点で、

世界はまだ気づいていない。


南極に人が常駐し始めるという意味を。

原子力船が実用段階に入ったという事実を。

極限環境用技術が、

宇宙へ直結していることを。


だが、

明賢は理解していた。


「南極は終点ではない

ここは通過点だ」


計画は、

次の段階へ入ろうとしていた。

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