物語序章 第一版 158章
申し訳ないです写真の乗せ方がわからないので地図が載せられていません
本番までには入れられるようにします
新たな区分け
起点 ― 1630年代、明賢の決意
江戸城の朝靄を切るように、明賢は再び地図を広げた。開拓で手に入れた資源、そして前世から持ってきた技術と人材を、いかにして“国内の暮らし”と“国家の基盤”に変えるか——その答えが、この巨大な色分け図にあった。
「都市を単に大きくするのではない。機能ごとに層を作り、循環させるのだ。」
彼の声に、側にいる計画官たちが俯いた。地図上には色が踊る。色は用途を示し、計画は動き始める。
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色の意味と初動(1629年)
地図の色がひとつずつ現実になっていく。まずは用途の再確認だ。
•ピンク(港・空港):海と空の玄関口。東京湾岸と千葉沿岸に大規模な港湾と将来の空港予定地を確保し、外洋航路の受け皿とする。海運・補給の要として最優先で整備が始まる。
•薄緑(居住区画):密度高く整備される居住区。20階建て集合住宅を基本ユニットとし、区画ごとに学校や公園、商業施設を配した「セル型都市」を設計。
•オレンジ(農地):都市近接農地。周辺農村と連携して都市の食を支える帯を作る。屋内栽培や工場農業も試験的に導入される。
•濃紫(機械工場):重機・車両・造船部品などを製造する地域。港に近接し、原材料の受け入れと製品出荷を容易にする。
•青(造船関連工場/港湾系重工):造船所、海軍工廠、艦艇整備ドック群。海運・海防の中核。
•紫寄りの濃い色(化学工場):石油化学、合成材料、肥料、塗料。厳格な安全・隔離を前提に湾岸域と工業団地の奥に配置。
•薄ピンク(官公庁街・センター近傍):江戸城周辺の行政中枢。官庁・研究機関・大使館が並ぶ。
•水色(宇宙開発関連施設):地上の工場群と、通信・観測の地上局。ハワイや琉球と連携する打上げ・管制のための製造・試験拠点群。
•灰(倉庫):物流の要。港と工場、居住区を結ぶ中継拠点として街の周縁に配置。
これらを、江戸城を中心に同心円的に、用途ごとに帯状かつ扇状に配することで、産業と居住、防衛が互いに最短でつながる設計が決定された。
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居住区の物語 ― 「区画の市民たち」
薄緑の区画では、すぐにモデル区が作られた。20階建ての集合住宅が整然と並び、各家庭には完全な上下水道配管が設置される。各区画には学校、診療所、食料市場が配置された。
•朝は子どもが集団で校門をくぐる。
•夕方、工場帰りの労働者が高架軌道を眺めながら帰宅する。各家庭にある風呂は、温水供給が始まったことで、家族の憩いの場となった。
•大型商業施設以外でも区画の広場では週一で市場が開かれ、近郊の農地から新鮮な野菜や果物が届く。
居住区はただ詰め込むだけではない。小児医療や保育、初等教育まで、区画の単位で完結する社会インフラが組み込まれる。これにより各区画は、小さな自治体のように自立して回り始めた。
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港と造船の物語 ― 「海と国の命脈」
港は国家の生命線だ。明賢は港湾を単なる荷揚げ場にしなかった。そこには造船・修繕・給油・補給が一体化した複合施設群が築かれた。
•早朝、造船所のクレーンは鉄塊を掴み、工員たちの掛け声が響く。
•新造船が静かに滑り出し、軍用・商用を問わず様々な船が整備される。
•港の倉庫(灰)は一体の物流ハブとなり、工場からの輸出入を効率化する。
港はまた外交の窓口でもあった。外国使節が来たとき、ここで商品と文化が交わり、技術の宣伝も行われた(ただし核となる推進技術や精密工作は厳重に秘匿された)。
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機械・化学工場 ― 「鋼と蒸気の影」
濃紫の機械工場地帯では、大型のプレスや旋盤が並び、重機や船舶部品、鉄道車両が生まれる。紫寄りの化学工場は、合成ゴムや燃料、塗料を生み出し、都市の産業を化学的に支える。
安全と環境対策は初めから念入りに組み込まれた。匂いや廃棄物対策のための浄化槽、隔離帯、作業員の宿舎群が工場地の縁に作られる。工場で働く人々は労働組合と呼ばれる世話組織を通じて健康と雇用の保障を受けた。
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農地と食糧供給の物語
都市周縁のオレンジ帯は、単なる田畑ではない。ここには都市向けの高効率農地が広がり、保存技術と輸送の合理化で都市の食を安定供給する。
•温室技術の試験区、機械化された収穫ライン、加工場が点在し、各区画へ日々新鮮な食材が送られた。
•農地はまた都市の緑地としての役割も担い、洪水緩和と気候緩和に寄与する。
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官公庁街と文化の中心
江戸城の近傍、薄ピンクの官公庁街は学術と行政の心臓部。帝国大学、研究所、大使館、文化財の収蔵庫が並ぶ。
ここでは日本語の標準化、計量単位の配布、技術書の編纂が行われ、研究発表が行われた。文化資産の収集・保存もここで指揮され、各国からの書物や標本は厳重に保管された。
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宇宙開発の物語 ― 「空へ、さらに遠くへ」
水色の区域では、衛星・ロケットの製造ラインが静かに回り始める。地上試験場、真空試験室、通信アンテナ群が置かれ、ハワイや琉球と連携する打上げ体制の一部を担った。
ここで作られた最先端機器は、最初は軍事・行政用途に供される。やがて民間用にも下ろされ、通信・測位・気象観測の基盤となっていく。
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倉庫と物流の駅
灰色の倉庫群は、港・工場・居住区をつなぐ動脈だ。物資はここで一時保管され、輸送船や輸送車両に積み替えられる。物流の効率化は、都市の安定を支える鍵であり、倉庫は都市計画の縁の下の力持ちとなった。
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「まだ語られぬ道の物語」
こうして色分けされた各区域は、1630年代から段階的に形を取っていった。各色はそれぞれの役割を持ち、相互に補完する都市の層を作る。居住は薄緑で整い、港はピンクでうねり、機械と化学が濃紫で歯車を回す。宇宙の夢は水色の工場群で現実味を帯びた。
1630年代 東京再開発「道の章」
― 放射する未来、環状に巡る文明 ―
第1節:都市の血管を描く
1628年。江戸城の天守閣から広がる旧世代の都市を見下ろし、明賢は地図に大きな円と線を引いた。
「まずは放射と環状。この街は“円”と“筋”で回す。」
彼が描いたのは、都市全体を支える大動脈だった。
•放射道路:江戸城中央から外へ向かって伸びる「都市の骨格」
•環状道路:街を層状に区切り、放射道路を束ねる「都市の輪」
この二つによって、巨大都市に大量の人と物が滞りなく流れる仕組みができあがる。
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第2節:放射道路 ― 空へ伸びる高架鉄道と並走する巨道
放射道路は、城下から四方八方へ延びる巨大な国道だ。
1本ごとに片側4車線+路肩2.5mを備え、中央には広大な分離帯を置いて耐震性と繁忙時の退避を確保した。
だが、この道路の真価はもう一つの仕掛けにあった。
高架を貫く「鉄道」
全ての放射道路の真上には、巨大な高架橋が敷設され、その上を都市高速鉄道が走る。
•旅客輸送と工場や港への人員輸送
•区画をまたぐ高速移動
•軍の緊急輸送ラインとしての役割
高架高速鉄道は道路をまたぎながら都市外縁へと延び、さらに外の工業地帯や農地帯へも到達する。
その姿はまるで「空を走る矢」。
放射道路と鉄道が並走することで、一つの道に二つの速度が生まれた。
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第3節:環状道路 ― 巨都市の心拍リズムを刻む大輪
放射道路が「血管」なら、環状道路は「心臓の輪」。
都市を同心円状に区切り、放射道路を束ね、交通を循環させる。
地下に息づく「環状地下鉄」
すべての環状道路の真下には、巨大な円形の空洞が掘られ、そこに環状地下鉄が敷かれた。
•センターの官公庁街を回る「内環」
•居住区をつなぐ「中環」
•工場帯や農地帯の外周を回る「外環」
地上は車の大動脈、地下は鉄の輪。
この二重構造により、都市は24時間止まらない流れを持つことになった。
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第4節:放射 × 環状が作る「結節点」
放射道路と環状道路が交わる場所には、必ず駅が置かれる。
高架鉄道と地下鉄が上下で交わり、地上では車両と歩行者が流れ込む。
これらの駅は、単なる交通拠点ではなかった。
•居住区セルへ分かれる入口
•商店・市場が立ち並ぶ交易点
•工場や倉庫への従業員の集散地
•軍の警備拠点と情報集約点
都市はこれらの「交点」を核として成長していく。
そこから枝分かれする一般道(セル道路)は後に語られるべき細かな網である。
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第5節:建設の物語 ― 150万人の作業員と3交代制
放射・環状道路の建設には、のべ150万人の作業員が投入され、昼夜の3交代で工事が進んだ。
•地上では道路の基礎を固め
•中層では高架鉄道の橋桁を吊り上げ
•地下では円形のシールドで地下鉄トンネルを掘り進める
「この街は、まだ呼吸を始めたばかりだ。」
現場監督たちは、夜の灯が等間隔に続く工事区画を見つめながらそう語った。
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第6節:機能する都市へ ― 1630年代末の姿
十数年がかりの整備によって、東京中心部(環状6号線内)はついに以下の姿へと変貌する。
•放射道路
高架鉄道と共に都市を貫く高速軸
•環状道路
地下鉄と共に都市を巡る循環軸
•交差点駅群
あらゆる区画の玄関口になる
•区画
居住・工業・農地・港湾が用途に応じて機能的に接続される
道路は単なる通行路ではなく、
居住区・工場・港・官庁・宇宙施設をつなぐ国家の中枢神経となった。




