物語序章 第一版 153章
宇宙ステーション運用開始
補給船がドッキングしてから数時間後。
第1クルーはようやく全ての初期作業を終え、ステーションの“本格運用”が始まった。
ステーションからの初通信
通信室の大型パネルが起動し、
ハワイ・琉球・フロリダの3つの地上局が表示された。
船長:「こちらきぼうステーション第1クルー。
ステーションは無事稼働状態に入りました。
モジュール接続部・環境制御・電力・通信、すべて正常です。」
地上局:「きぼうより地上局確認。
最初の通信を受信した。宇宙常駐施設は正式に稼働に入った。
5名ともよくやった。」
クルーたちは安堵し、互いに固く握手を交わした。
大量の物資の収納
補給船から運び込んだ物資は、ステーション内部の所定の倉庫モジュールに分類されていく。
食料
一部は冷凍室へ、残りは真空保存庫へ。
新型パッケージは前世の知識によって改良され、
半年保存しても味が著しく落ちない。
飲料水
大型タンクに注入し、
ステーションの水循環システムと接続。
これで半年分の飲用・料理・洗浄がまかなえる。
予備酸素・フィルター
環境制御モジュールへ格納。
酸素濃度・湿度の自動調整も開始。
科学機材・修理工具
実験室モジュールと外部作業ロッカーへ。
宇宙服の部品や予備バッテリーも点検された。
各モジュールの動作確認
5人は一斉に点検を開始した。
① 生活モジュール
•空気循環 OK
•温度24℃で安定
•二酸化炭素スクラバー正常
•給水・排水ライン異常なし
•寝台展開OK
② 実験モジュール
•無重力試験装置 起動
•遠隔観測用センサー 正常応答
•放射線計測装置 校正完了
③ 外部機器・ソーラーパネル
•パネル展開角の自動制御正常
•外壁カメラ、レンズクリーニング済
•燃焼噴射口、リアクションホイール(姿勢制御)チェックOK
ステーションは「安定稼働」の状態に入り、
第1クルーは予定通り一週間、生活と点検を続けた。
そして1週間後 ― 第2クルーの出発
1657年春。
第1クルーが運用を開始してちょうど1週間。
ハワイ島の発射場では 第2クルー10名 が準備を整えていた。
今回は10人乗り有人船が定員いっぱい。
さらに追加の物資も中型補給船で同時発射される。
地上局:「第1クルー各員、こちら地上局。
第2クルーが本日出発する。
ドッキング予定まで約7時間。
受け入れ準備を始めてくれ。」
船長:「了解。
ステーションを全面運用モードへ移行する。
きぼう、第2弾を迎える準備に入る。」
ステーション中に微かな作動音が響き、
新たな仲間を迎えるためのシステムが起動した。
第2クルー 打ち上げ
1658年春。
ハワイ島・新設された中型発射パッドには、
10名の宇宙飛行士を乗せた有人宇宙船がそびえ立っていた。
地上局:「第2クルー、ロケットシステム最終チェック完了。」
宇宙飛行士たちは搭乗し、
生命維持装置・通信装置・座席固定を確認。
カウントダウン開始。
10……
白い蒸気が発射台全体に吹き出す。
5……
振動が機体に伝わる。
1……
点火。
巨大な火柱と轟音が島全体を揺らし、ロケットは上昇を開始した。
雲を抜け、海と島が下へ遠ざかる。
宇宙飛行士:「エンジン安定。高度上昇良好。これより軌道投入へ移行する。」
切り離し→姿勢制御→周回軌道への微調整。
すべてが訓練通りに進み、ついにきぼうステーションの軌道高度へ。
きぼうステーションと合流
きぼうステーション外部カメラが接近する点を捉えた。
船長(第1クルー):「こちらきぼう。第2クルーの姿勢安定を確認。誘導信号送る。」
自動誘導装置が働き、
有人宇宙船はステーションのドッキングポートへ静かに滑り込んだ。
ガシャン——
機体同士が確実に噛み合い、ロック音が響く。
ハッチ開放。
無重力の中、10名が一人ずつ内部へ移動してくる。
船長:「ようこそきぼうへ。ここからが本番だ。」
握手、抱擁、笑い声。
総勢15名となったきぼうステーションは、
ようやく本格運用に向けて動き出した。
第2クルーの“順応週間”
1日目:環境順応
•無重力での姿勢制御訓練
•宇宙酔い対策
•緊急脱出訓練
•ステーション全モジュールの案内
•生活リズムの調整(昼夜サイクル合わせ)
第2クルーは職務に入る前に、
まずステーションで問題なく生活できる身体づくりを行った。
2日目:設備運用訓練
•空調・水循環・酸素濃度調整の習熟
•宇宙服の点検と外部作業訓練
•実験装置の初期校正
3日目:共同作業開始
•食料管理の引き継ぎ
•廃棄物処理・再利用システムの操作
•第1クルーとの合同シミュレーション
天宮ステーションは“15名体制モード”に移行し、
稼働率が急上昇した。
4~6日目:科学実験スタート
•無重力結晶育成
•遠隔観測機の地球観測補正
•宇宙放射線の人体影響計測
•新開発ロボットアームの動作試験
第2クルーは主に「観測と実験」を担当し、
第1クルーは「施設管理と作業補助」に移った。
7日目:常態運用へ移行
第1クルーと第2クルーが合同会議。
船長:「これで天宮は予定の3割まで稼働を開始した。
次の第3・第4クルーの到着で、本格的に“宇宙都市”としての機能を持つだろう。」
第2クルーの順応は完了し、
天宮ステーションは安定した15名運用へ突入した。
第3クルーの打ち上げ
第2クルー到着から1週間後。
再びハワイ島の中型発射場には、10名の宇宙飛行士が搭乗した有人宇宙船が立ち上がっていた。
宇宙軍は、
「6ヶ月ごとに交代する大規模運用」のために、
毎週1チームずつ宇宙へ送り込むラッシュ期間に突入していた。
地上局:「エンジンチェック完了。カウントダウンに入ります。」
10……
5……
1……
点火、発射。
白い煙が広がり、火柱を噴きながらロケットは空へと舞い上がった。
高度上昇も軌道投入も完璧で、
数時間後には天宮ステーションへ接近。
きぼうステーションと第3クルーの合流
外部カメラに宇宙船が映り、
誘導信号によってドッキングポートへと吸い込まれるように接続された。
ハッチが開く。
第1・第2クルーのメンバーが無重力で並び、
新たな仲間を出迎えた。
船長:「これで総勢25名。
きぼうステーションはようやく“本来の形”へ近づいたな。」
握手しながらクルーたちは笑顔を交わした。
人数増加による任務負担の軽減
第3クルーが到着したことで、
ステーションの任務は次のように再編された。
新しい任務配分
•実験班(15名)
•無重力実験・材料実験・高分子実験など
•外作業班(5名)
•ソーラーパネル保守、通信アンテナ調整
•管理班(5名)
•生命維持装置、水循環、空調、清掃、ステーション整備
日本の宇宙ステーションは巨大で、
人数が少ないと仕事量が多くなる傾向があった。
しかし総勢25名になったことで――
「一人が担当する作業の量が確実に減り、余裕が生まれた。」
宇宙飛行士たちは皆、この変化を実感した。
第2クルーの科学者:「これなら本来の研究に集中できますね。」
第1クルー整備士:「やっと過酷な徹夜整備が減るな……!」
まさにステーションが「普通の研究所」として機能し始めた瞬間だった。
第3クルー合流後のステーションの様子
•食堂では3つのテーブルに分かれ同時に食事が可能
•実験スケジュールが余裕を持って組めるようになる
•毎日の運動時間(無重力筋力維持訓練)が確保
•睡眠サイクルの乱れが改善
•整備班が余裕を持って保守点検ができる
きぼうステーションは
“忙しさで手一杯の試験基地”から
“安定運用の巨大研究施設”へと進化しつつあった。
第4クルー、ついに打ち上がる
第3クルーの到着からちょうど1週間後。
ハワイ島の発射場では再び、中型再利用ロケットが組み上げられていた。
今回送られるのは 最終の第4クルー10名。
これできぼうステーションの総勢は 35名 となり、
完全運用が可能になる。
地上局:「最終チェック完了。全システム正常。」
10…
5…
1…
点火 —— 発射。
巨大な炎を噴き、ロケットは空へ向かって加速していく。
宇宙軍の再利用型ブースターは安定性抜群で、
予定どおり宇宙空間へ。
数時間後にはきぼうステーションの近傍へ到達した。
第4クルー、きぼうステーションに到着
ステーションのドッキングポートに磁気ロックがかかり、
ハッチが開く。
第1〜第3クルーたちが勢揃いして彼らを出迎えた。
船長:「これで我々は35名。
今日から“本番のきぼうステーション”が始まる。」
拍手が起こり、重量のない空間でクルー同士が抱き合う。
日本の宇宙開発史上、
最も大規模な有人運用体制がここに整った。




