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物語序章 第一版 147章

第百三十一章 月面滞在調査


住居モジュールへの入室準備


大型観測装置の展開を終えた3人は、

ローバーを停止させ住居モジュール前に立った。


真空の月面に静かに佇むモジュールは、

事前に無人探査機が外装チェックと初期展開を終えているが、

肝心の電力はまだ最低限の予備電源のみだ。


船長:


「太陽光パネルをフル展開する。」


3人はモジュール側面に取り付けられた

折り畳み式の広大な太陽電池パネルのロックを外し、

ゆっくりと展開していく。


月の強烈な太陽光を受けたパネルが

薄い蒼色の輝きを反射して広がり、

自立電源モードへ移行する。


C:


「主電力ライン、充電開始。出力安定中。」


B:


「よし……いよいよ内部に入るぞ。」



ハッチを開き、内部へ


船長は住居モジュールの外気ハッチへ向かい、

パネル操作を開始した。


—「シール確認」

—「内圧ゼロ確認」

—「機械ロック解除」


そして、

外気ハッチがゆっくりと横にスライドした。


船内はまだ完全な暗闇で、

わずかな非常灯だけがぼんやり輪郭を照らしている。


3人は1人ずつ中へ入った。

最後の1人が入室すると、

ハッチが自動的に閉じられた。



加圧室の加圧開始


船長は加圧コンソールに手を伸ばし、

手順に従ってボタンを押した。


—「加圧開始」


空気の流れは聞こえないが、

宇宙服内部の気圧計が変化を示す。


B:


「加圧速度良好。酸素濃度、正常。」


C:


「0.6気圧……0.7……0.8……目標値達成。」


船長:


「耐圧隔壁を開く。」



住居モジュール内部へ


耐圧隔壁のロックが解除され、

ハッチが静かに開いた。


そこには、

初期展開されたばかりの月面住居モジュール内部空間 が広がっていた。


未使用の白い壁。

折り畳まれた机や収納ラック。

ベッドモジュール。

小型の空調設備。

そして生命維持装置。


薄暗い非常灯の光の中に、

近未来的でありながらも人の生活の匂いを想起させる設備が並んでいる。



主電源の起動


船長が中央の電源パネルに近づき、

保護カバーを開けて主電源スイッチを押し込む。


—「ブゥン……」

—「ピッ、ピピッ……」


天井の主照明が順番に点灯し、

住居モジュール全体が柔らかい白色光に満たされた。


C:


「主電源安定。電力供給問題なし。」


B:


「……これでここが初の“月面基地”になったわけだ。」


3人とも、一瞬言葉を失った。



宇宙服を脱ぐ


内部気圧と温度が安定したことを確認し、

3人は宇宙服を脱ぐ準備に入った。


船長:


「スーツ脱装開始。」


各自がヘルメットのロックを開け、

ゆっくりと外す。


—カシャン……


月面に着陸した人類が、

初めてヘルメット越しではない空気を吸い込む。


B:


「空気良好。人工だが……地球を思い出すな。」


宇宙服上半身部を外し、

ブーツ、グローブを脱ぎ、

最後にアンダースーツまで整える。


住居モジュールの内部はまるで

地上施設と変わらない快適な温度と湿度だった。


モジュール内部点検開始


3人は宇宙服を脱ぎ終えると、

すぐに 長期滞在のための内部点検 を開始した。


船長:


「ここから6日間が本番だ。設備を全て確認する。」


生命維持装置(ECLSS)


Aが操作パネルを立ち上げる。


— 酸素循環:正常

— CO₂除去装置:正常

— 温度・湿度:外部連動制御、安定

— 水リサイクル装置:稼働率95%、問題なし


A

「生命維持、全項目グリーン。」


電力システム


太陽光パネルからの入力値は最大出力に達し、

蓄電池モジュールも十分な残量が確保されていた。


B

「電力も十分だ。6日どころか3週間は滞在できるな。」


通信設備


Cがアンテナ制御盤でチェックを始める。


地球―月間の高利得アンテナ、

ローバー経由の中継回線、

そして帰還船との近距離通信。


全て正常。


C

「通信系統、リンク安定。地球への送信準備よし。」



地球への通信開始


3人は中央の通信モジュールへ移動した。


船長が送信スイッチを押す。


「こちら月面第1滞在班。滞在モジュールへの入室および内部点検を完了。

すべて正常。これより6日間の月面科学ミッションを開始する。」


ハワイの地上管制センターから即座に応答が返る。


『こちら地球。データ受信。滞在成功を祝う。

月面基地の運用開始おめでとう。』


3人は顔を見合わせ、静かに頷いた。



最初の宇宙食


ひと段落したところで、船長が笑いながら言った。


「さて……人類初の“月面での食事”と行くか。」


収納ロッカーから銀色のボックスを取り出し、

パッケージされた宇宙食を並べる。


そこには

カレー風味ペースト、味噌煮込み風、ポテトチキン、コーンスープ、果物ジェルなど

圧倒的に豊富な種類 が用意されていた。


C

「本当にこれ全部研究されてたんだな。宇宙食は種類が少なく不味いって聞いたが……」


船長

「明賢のデータがあったおかげで、最初から“まともな味”を目指せた。

試作の段階で地上の食堂より人気だったくらいだ。」


包装を開き、

チューブ状の容器を押し出すと、

ふわりと香りが広がる。


B

「……うまい。」


C

「食感はそこまでだが味は普通に地球の食べ物だよこれ。」


食品の風味を損なわず栄養バランスも整えられた月面仕様の食事は、

極限環境で働く彼らにとって大きな救いだった。



月面第1日目 夜


食事を終え、

3人は各自の寝台モジュールで休息態勢に入る。


外は永遠に続く静寂と真空。

住居モジュールの壁一枚の外は、

人間を一瞬で殺す環境だ。


だがその中で灯る人工の明かりと暖かい空気は、

人類が文明の力で作り上げた“小さな地球”そのものだった。


船長

「6日間。この小さな基地で、人類の新しい歴史を積み重ねる。」

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