物語序章 第一版 140章
ハワイ近海で1号機の宇宙飛行士3名が無事に回収され、
コントロールセンターには大歓声が響き渡っていた。
明賢は、喜びに包まれたスタッフを見渡しながらも、
すぐに表情を引き締めた。
「……よし。計画通り、次に移る。
2号機、打ち上げ準備に入れ。
歴史に“一度の偶然”と思わせてはならん」
この言葉に、宇宙軍参謀たちは一斉に動き出す。
2号機のスタッフはすでに打ち上げ棟で待機していた。
宇宙飛行士2号クルーも3名。
2号機の任務は
「世界初の宇宙遊泳」 である。
司令室ではカウントダウンタイマーが再び点灯した。
宇宙遊泳
2号機打ち上げ準備
1号機の帰還からわずか数時間後。
ハワイの発射基地はすでに次のロケットの姿勢チェックを終え、
燃料充填も完了していた。
2号クルーは宇宙服姿で発射台のエレベーターをゆっくりと登っていく。
副司令:
「1号に続き、世界は今、我々の動きを固唾を飲んで見守っている。
ここで連続成功させれば、日本の宇宙計画は“本物”だと示せる」
リーダー・四条:
「1号の後を追うだけです。俺たちも宇宙へ向かう!」
搭乗ハッチが閉じられ、
再び静寂が訪れる。
⸻
カウントダウン開始
明賢が管制室でマイクを握る。
「諸君。1号は世界を驚かせた。
だが2号は“宇宙活動”を確立させる。
歴史を再び塗り替えよう」
そして――
管制官が声を張った。
「カウントダウン開始!
10……9……8…… 」
発射台下のポンプが動き出し、
巨大な冷却水が噴き上がる。
ロケットの外殻を白い霧が覆った。
「3……2……1……点火!」
巨大な炎の柱が噴き出す。
管制:
「ローンチ! ローンチ!
2号機、上昇を開始!」
⸻
2号機上昇
ロケットは白い尾を引きながら青空へ向かい、
数十秒後には音も届かぬ高度へと達していた。
朝霧:
「加速度正常……! 震動も許容範囲!
ロケット第1段切り離しまであと20秒!」
玲美(2号クルー):
「高度2万……3万……外気温低下、正常!」
切り離し。
ドンッという衝撃と共に
第1段が外れ、
2段目エンジンが即座に点火する。
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軌道投入
数分後。
管制:
「大気圏外に到達、2号機、軌道投入へ移行!」
四条:
「こちら2号、宇宙空間への到達確認。
重力が……抜けた!」
和泉:
「1号機に続いて、我々も無事に宇宙へ!」
島津(3人目):
「1日で2度、宇宙に人が行った国なんて他にないぞ!」
明賢は満足げに頷いた。
⸻
世界初の宇宙遊泳へ
2号機のエアロック室で、宇宙服の最終チェックが行われる。
四条:
「……よし。
世界で初めて船外に出るのは、俺だな」
和泉:
「誰よりも、慎重に。でも、胸を張って」
島津:
「帰ってきたら、絶対に自慢していいからな!」
ハッチが開き、
漆黒の宇宙と地球の青い縁取りが広がる――
世界初の宇宙遊泳:開始直前
宇宙船2号機は地球上空約350kmを周回していた。
船内では3名の宇宙飛行士が、固唾を飲みながら準備を見守る。
四条はエアロック内で宇宙服の最終点検を受ける。
和泉:
「酸素濃度正常、スーツ圧力良好。通信チェック……聞こえる?」
四条:
「こちら朝霧、バッチリ聞こえる。
……行くぞ。人類史上、初めて宇宙空間に出る」
地球は窓の外で静かに輝き、
遠く太陽の光が船体を銀色に染めていた。
⸻
地上への生中継、開始
ハワイの管制センター――
巨大スクリーンに2号機の船内カメラ映像が映し出される。
この中継は 完全極秘。
羽合宇宙センターからしか見ていない。
明賢は画面を見つめながら言う。
「……この瞬間、世界が変わる。
記録は全て残しておけ。決して失敗させるな」
宇宙船内部でも、
もう一人の飛行士・島津がカメラを握っていた。
島津:
「記録カメラ1番、起動。
四条さん、あなたが“世界最初の船外活動者”ですよ」
四条:
「分かってるよ。だからこそ落ち着かないんだ……」
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エアロック開放
宇宙船2号の外側カメラのレンズが、
ゆっくりとハッチへと向けられる。
地上の画面に「宇宙遊泳――開始」の文字。
管制:
「減圧完了。エアロック外扉……開放!」
無音の世界で、
巨大なハッチがゆっくりと外へ押し出される。
広がる宇宙空間。
青い地球の縁が弧を描き、下方には白い雲の帯。
四条:
「……すごい。息が止まりそうだ。
これが、本当の宇宙……!」
地上にその声がリアルタイムで届く。
管制室は静まり返り、誰もが画面から目を離さない。
世界初の宇宙遊泳
四条は安全ラインを腰に固定し、
ゆっくりと船外へ体を出す。
船内からのカメラが、その姿を鮮明に映し出す。
和泉:
「外部姿勢、安定! スーツの温度正常!
四条、生命ユニット作動確認!」
四条:
「了解。……よし、出る!」
完全に宇宙船から離れ、
四条は“宙”に浮いた。
地球の青い球体が、
彼の後ろで静かに回転している。
島津が船内から叫ぶ。
「撮れてる! 撮れてるぞ!!
四条さん、完全に浮いてる! これ以上ない映像だ!!」
機体外部のカメラも、
彼の姿をあらゆる角度から撮影していた。
⸻
地上の衝撃と興奮
中継を見ていたハワイ管制では、
誰もが固唾を飲んでその姿を見続けた。
明賢:
「……これが、宇宙に立つ日本人だ。
後世の歴史書には必ず載るだろうな」
通信士:
「四条飛行士の生体反応、正常値を維持しています」
映像担当:
「地上への映像、完全に安定しています!」
管制室は緊張の中に興奮が満ちていた。
⸻
宇宙遊泳、クライマックス
四条はゆっくりと体を回転させ、
地球を背景に手を振った。
四条:
「こちら四条。
日本国、並びに地球の皆さん。
私は今、宇宙空間を漂っています。
……人類は、ここまで来ました」
その映像は記録され、
後世まで残る“宇宙初メッセージ”となる。
⸻
船内へ帰還
遊泳時間は約12分。
管制:
「四条、帰還許可。エアロックに戻れ」
四条:
「了解。帰還する」
安全ラインを手繰りながらエアロックへ戻る。
慎重に四条は中に入った。
エアロック閉鎖。
加圧、完了。
四条:
「……帰還。任務完了だ」
管制室に拍手と歓声が巻き起こる。
明賢は静かに頷きながら言った。
「これで、日本は“宇宙へ到達した国”から
“宇宙空間を活動領域に持つ国”へ昇格した。
歴史の転換点だ」
2号機:宇宙遊泳成功後の周回飛行
船外活動を終えた2号機は、
依然として地球上空を時速2万7千kmで周回していた。
四条たち3名は、
船内で最終通信ログをまとめ、
地球を背景に写真撮影を続けた。
和泉:
「四条さんの宇宙遊泳映像……何度見ても鳥肌が立ちますね」
島津:
「でも、気を抜かないで。
これからは“安全に帰還する”というもう一つの使命があります」
四条:
「分かってる。帰還してこそ、初めて成功だ」
宇宙遊泳という大きな山場を越えても、
3人は浮かれずに役割をこなしていた。
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再突入準備
再突入の90分前、
ハワイ管制センターへ2号機から通信が入る。
四条:
「こちら2号機。
周回飛行、予定通り完了。
これより再突入の準備に入る」
管制:
「了解。
軌道補正プログラム送信済み。
指示通りに姿勢制御を進めよ」
和泉は、
宇宙船の耐熱シールド温度を確認した。
和泉:
「耐熱値、正常。スラスター反応異常なし。
再突入角度、予定軌道に入りました」
島津:
「船内の記録装置も作動完了。
全データ保存しています」
島津:
「では……帰還する。
歴史上初の宇宙遊泳ミッション、完遂して地表に戻る」




