物語序章 第一版 124章
スペイン最後の決断
スペイン帝国、残すは“最後の選択”のみ
降伏か、滅亡か。
欧州はすでに決着がついたと見ていた。
スペイン国王は、
重大な決断を迫られていた。
日本、ついにスペインへ最後通牒を突きつける
1645年・夏
スペイン本土での暴動、混乱、内紛、飢餓。
それは日本側にも逐一伝わっていた。
明賢は総司令部で静かに口を開いた。
「スペインに時間はもう残されていない。
“最後通牒”を送る。」
最後通牒の内容は短く、冷徹で、重かった。
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日本の最後通牒(抜粋)
交渉ができないのであれば、
我々は上陸をせざるを得なくなる。
上陸すれば、スペイン王国は地図から消えるだろう。
交渉をすれば、スペインは残る。
我々は交渉を求める。
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スペイン王家にこれが届いた瞬間、
宮廷は凍りついた。
ハプスブルク派は激昂し机を叩いた。
「脅しに屈するな!日本など恐れるに足らぬ!」
しかし誰もその言葉を信用しなかった。
日本軍は“本当に地図から消す”力を持っている――
それをスペインはすでに思い知らされていたからだ。
スペイン王家はついに決断する。
「……交渉を行う。
スペインを残さなければならぬ。」
こうして、二度目の密使が正式に編成された。
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2度目のスペイン使節団、ついに出航
もはや混乱しきった国を背負って
使節団は、スペイン王家の命運を背負って港に集まった。
•最精鋭の外交官
•老齢の枢機卿
•そして王家直属の使者
出航準備を進めていたところ、使節の一人が海を見て呟いた。
「…本当に、行かねばならないのか。」
「我々が失敗すれば、スペインは滅ぶ。」
「いや、もう滅びているのかもしれん…。」
その背後で、スペイン市民たちは疲れ切った顔で祈るように見送っていた。
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スペインの沿岸に――
日本海軍が“我が物顔”で展開
使節団が船で港を離れると、目の前に広がった光景に誰もが息を呑んだ。
スペイン沿岸には日本海軍の大型艦が優雅に並んでいた。
•10km以上離れているのに見える巨大な艦影
•無音で迫る異常な速度
•海鳥のように滑る灰色の船影
•甲板の上の巨大な砲塔
外交官の一人は震えた声で言った。
「…これが、我々が敵に回した国なのか。」
スペイン艦隊の姿は、もうどこにもなかった。
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使節団、沖合へ
日本海軍による“保護下”へ入る
使節団の船が沖へ出ると、
日本海軍の護衛艦が滑るように近づいてきた。
拡声器で合図が送られる。
「スペイン王国使節と確認。護衛を開始する。」
外交官たちは唾を飲み込んだ。
日本海軍の通信士が、正確なスペイン語で告げた。
「日本国は、使節団の安全を完全に保証する。
どうぞ我々にお任せを。」
その声音は冷静で、揺るぎなかった。
スペイン使節団の小さな帆船は、
最新鋭の日本海軍艦艇四隻に守られながら
ゆっくりと東へ進み始めた。
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遥か彼方へ――
行き先は“日本”
スペインの使節団は悟った。
「これが我々の最後の旅になるのかもしれない…」
だが同時に、
これがスペインを救う最後の手段 であることも分かっていた。
嵐のような戦乱の時代に、
一隻の船は静かに世界の東へと向かっていった。
講和条件案 ― “スペイン王国が生き残るための最後の線”
部屋は静まり返った。
明賢の声だけが、書類を置く音と共に響く。
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第一条:スペイン海外領土の全面譲渡
北米・南米のスペイン領は、すべて日本国に譲渡する。
その地域の住民は戦後、日本の輸送艦によってスペイン本国へ送り返される。
「これらの地域は、もはやスペインが維持できない。
混乱は我々が収める。」
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第二条:スペイン領の島嶼部も日本へ移管
カリブ、太平洋、大西洋の 指定した島々を日本へ譲渡。
軍港としての利用も含む。
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第三条:日西同盟の締結
明賢は紙を軽く叩きながら告げた。
「“臣従”ではない。“友邦”として結ばせる。
スペインは生き残る。だが牙は抜く。」
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第四条:日本の戦後支援艦隊を受け入れること
日本からの補給艦・工兵団・医療隊をスペイン本土に受け入れること。
これらの艦隊はすでに東京湾に待機していた。
「降伏と同時に、飢餓と混乱を抑えに動く。」
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第五条:日本への永久不侵条項
二度と日本に対して攻撃を行わないこと。
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第六条:日本の監査団を受け入れること
スペインに戦争準備や軍拡が再び起こらないよう、
行政・軍事・経済の監査 を日本が定期的に行う。
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第七条:金品・賠償は一切求めない
理由はただ一つ。
「スペインを過度に弱らせたくない。
暴動や内戦を起こされては世界がまた乱れる。」
戦争は終わらせるだけでは意味がない。
“終わらせた先の秩序” を作らなければならない。
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スペイン戦後支援艦隊 — すでに出航準備完了
港では、巨大な船団が静かに待っていた。
•補給艦
•病院船
•工兵輸送船
•港湾建設機材の積載船
•食料庫を満載した貨物船
•日本海軍の護衛艦隊
すべてが、講和条約が結ばれれば 即時にスペインに向けて出航できる状態 にあった。
工兵の隊長が腕を組んでつぶやいた。
「条約さえ結べば、三ヶ月でスペインの餓死者は止まる。」
「半年で治安が安定する。
一年で港を完全に直してやれる。」
明賢は静かに頷いた。
「戦争はもう十分だ。
人が死ぬ必要はない。」
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そして――
使節団を乗せたスペイン船が、日本の外洋防衛線に近づいたという報告が届く。
明賢は立ち上がった。
「会談の準備を整えよ。
スペインを“滅ぼす”か、“残す”かはここから決まる。」
スペイン使節団、日本へ到着
1645年初夏の朝、日本近海は薄い霧に包まれていた。
遠方に現れた帆船――スペインの使節団を乗せた船は、
護衛の日本海軍の艦艇から
外洋警備中の海上保安庁の艦艇に護衛が引き継がれ、ゆっくりと護衛下へ入った。
先導する艦艇の艦長が通信を入れる。
「スペイン使節団、確保。これより鹿児島外交施設へ誘導する。」
湾へ入る頃には、すでに海兵隊と儀仗兵が厳粛な整列で迎えの体制を整えていた。
到着した使節団の表情には疲労と緊張が色濃く刻まれている。
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薩摩・講和会議 ― 条件提示
大広間で、
明賢の前にスペイン使節団が整列し、ついに講和が始まった。
明賢は淡々と、そして容赦なく 講和条件 を突きつけた。
提示された条件
1.北米・南米のスペイン領すべての譲渡
2.スペイン海外領島嶼の一部譲渡
3.日西同盟の締結
4.日本の戦後支援艦隊の受け入れ
5.日本への永続的非侵条約
6.日本の監査団受け入れ
7.金品・賠償の要求なし
使節団は青ざめ、震える指で書類に目を落とした。
しかし、現実にはこれ以外の選択肢はなかった。
祖国は飢え、港は破壊され、軍は壊滅寸前。
拒否すれば滅亡するだけである。
使節団代表は深く頭を垂れた。
「……スペイン王家は、この条件をすべて受け入れます。」
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日西条約 締結
調印式は静かに、だが厳粛に行われた。
歴史が変わる瞬間だった。
机の上に置かれた署名帳に、
スペイン代表と明賢がそれぞれ署名し、
朱印が押されると、室内の全員が安堵の息を漏らした。
これにより、日西戦争は正式に終結した。
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スペイン使節団の帰国
条約締結後、日本海軍の護衛艦隊が編成され、
使節団の乗る船を安全にスペインまで送り届けることになった。
副司令が告げる。
「我が艦隊がスペイン海域まで護衛します。
以後はスペイン本土で、平和の道を歩んでいただきたい。」
スペイン使節団の目には涙が浮かんでいた。




