表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
122/169

物語序章 第一版 122章

スペインの内乱


スペイン国内、静かなる崩壊 ― 白紙和平派 vs 強硬開戦派


スペイン国内は、

もはや“国家”という形を保つのが奇跡と言えるほど混乱していた。


白紙和平派の粛清が始まる


前線から帰された捕虜たちの証言、

日本軍の圧倒的戦力、

南アフリカ・南米の惨状――


それらを聞いた一部の官僚や貴族、軍幹部たちは

「もう戦えない」「和平しかない」と考え始めていた。


しかし、彼らが声を上げた瞬間。


「和平を口にする者は、臆病者であり反逆者だ!」


強硬派が動いた。


夜の闇に紛れて邸宅が襲撃され、

“白紙和平派”と見なされた者は連れ去られ、

ある者は行方不明、

ある者は翌朝広場の木に逆さ吊りにされていた。


民衆の間で噂が広がる。


「和平を言うと殺される」

「でも、このまま続ければ国が滅ぶ」


国中に“沈黙と恐怖”が満ちた。



一方、強硬派も闇討ちに遭う


しかし、“強硬派が全てを掌握した”わけではなかった。


追い詰められた白紙和平派とその支持者は

密かに反撃に転じる。


「この無謀な戦争を止めねば、スペインが死ぬ。」


夜の宮殿の廊下、影の薄い貴族の邸宅、

深夜の路地裏――

強硬派の若い将校や過激派の貴族が

次々と暗殺された。


ハプスブルク本家に近い幹部までもが

刺殺される事件が発生し、

宮廷は完全な疑心暗鬼へと陥る。



ハプスブルク本家は和平を拒絶し、スペイン王家は和平を望む


宮殿内は二つの派閥に真っ二つに割れていた。


ハプスブルク家(強硬派)

•日本との和平は絶対に認めない

•国威が損なわれる

•海外領土をこれ以上奪われれば“ハプスブルク一族の威信”が崩れる

•和平派は裏切り者、と粛清を続ける


スペイン王家(和平派)

•継戦は不可能

•財政は底をつき、兵士は崩壊、海外領は失われた

•国を守るには日本と停戦しかない

•何とか日本へ和平使節を送ろうとする


そして両者は、

同じ宮殿に住んでいるにもかかわらず

互いに刺客を送り合う状況にまで悪化した。


王宮内部ですら、

日夜暗殺者が忍び込み、

高官の寝室で悲鳴が上がることも珍しくない。



国民の生活は崩壊へ向かう


戦争継続のために重税が課され、

物資はすべて軍に吸い上げられた。

•パンの値段は10倍

•小麦は闇市場でしか買えない

•農民は徴兵で畑を失い、今年の収穫は絶望的

•都市では子どもが飢えて倒れる姿が毎日見られる


「戦争をやめてほしい……」


しかし国民の声は届かなかった。

なぜなら、街にはハプスブルク家が配置した兵士が巡回し、

和平を口にした者はその場で連行されるのだ。



スペイン、崩壊の足音


戦費は膨れ上がる一方。


海外領土の喪失により収入は激減し、

財務省は大赤字。


金庫は空になり、

貨幣の質は落ち、

市場で価値が下がり続けた。


「戦争を続ければ滅びる」

王家と和平派はそう考えていた。


「戦争をやめればハプスブルクの威信が滅びる」

強硬派はそう叫んだ。


そしてその争いの結果――


国が先に壊れ始めた。


誰も止められないほどに。


スペイン王家、最後の希望が潰える


― 密使の船、ハプスブルク派により拿捕


スペイン王家はついに決断した。

このままでは国が滅びる。

ハプスブルク家の暴走を止め、

日本との和平交渉を成立させねばならない。


王家直属の忠臣たちが密かに集められ、

密使団が夜陰に紛れて港へ向かった。


しかし――


出航直前、ハプスブルク派が現れた


王家の影に潜むスパイが通報したのだ。


夜の港には、ハプスブルク家の旗を掲げた兵士が

無数の松明とともに現れ、

密使たちの船を取り囲んだ。


「臨検である! 甲板に出ろ!」


密使たちは抵抗できず、

船はそのまま拿捕された。


見せしめの処刑


密使を運んでいた若い船員たちは

「裏切り者」として広場で公開鞭打ちにされ、

王家の名を叫んだ者はその場で斬首された。


密使本人たちは地下牢に幽閉され、

“和平派を根絶するためのリスト”を吐かせるため拷問が始まった。


王家の和平計画は、

ハプスブルク家によって完全に潰された。



日本側、特殊作戦群が伝える“スペイン崩壊の現実”


スペイン本土に潜伏中の海兵隊特殊作戦群は

定時連絡の中である報告を送ってきた。


国民の飢餓は臨界点に達しつつある

•パンは一斤で当時の月給の半分

•子どもが飢えで倒れ、路上に放置される

•孤児院や教会は満杯

•農民は徴兵で畑を失い、食糧供給網が崩壊

•兵士の間でも飢餓と脱走が増加


「市街では餓死者を運ぶ荷馬車が一日に何度も通ります」


飢餓の波は兵士にも及び、

南アフリカ、南米戦線から送られた捕虜は

「日本軍の食事が今までの人生で一番豪華だった」と証言するほどだった。


都市部では貧困暴動が断続的に発生


ハプスブルク派は兵士を投入し、

市民に発砲することで鎮圧を試みていた。


しかしそのことで、

さらに市民の怒りと憎悪は増幅した。



日本、本気で“スペイン戦後復興計画”を始動


明賢は、特殊作戦群の報告を受けて判断した。


「スペインはもう限界だ。

和平交渉さえ成立すれば、

我々はすぐ復興支援に入る。」


即時支援ができる体制を整える


大規模補給艦隊を編成

•食料、医薬品、温衣類を満載した補給艦

•被災地用の仮設住宅資材

•製水タンク


港湾に物資を集積

日本本土の港は、

すでにスペイン復興用物資で埋まりつつあった。


戦後統治と治安維持の準備

陸軍の一部部隊を“占領地治安維持”として再編。

だが目的は支配ではなく復興支援である。


「スペイン国民を救うことが、

後のヨーロッパ秩序を形づくる。」


明賢はそう考えていた。



日本は最後の詰めへ向かう


スペインの国家は壊れ始めている。

•海軍壊滅

•海外領土喪失

•陸軍は包囲・孤立

•本土は飢餓と暴動

•王家とハプスブルク家の内戦状態


明賢は確信していた。


「スペインは、あと一押しで和平に動く。

その瞬間を逃してはならない。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ