物語序章 第一版 122章
スペインの内乱
スペイン国内、静かなる崩壊 ― 白紙和平派 vs 強硬開戦派
スペイン国内は、
もはや“国家”という形を保つのが奇跡と言えるほど混乱していた。
白紙和平派の粛清が始まる
前線から帰された捕虜たちの証言、
日本軍の圧倒的戦力、
南アフリカ・南米の惨状――
それらを聞いた一部の官僚や貴族、軍幹部たちは
「もう戦えない」「和平しかない」と考え始めていた。
しかし、彼らが声を上げた瞬間。
「和平を口にする者は、臆病者であり反逆者だ!」
強硬派が動いた。
夜の闇に紛れて邸宅が襲撃され、
“白紙和平派”と見なされた者は連れ去られ、
ある者は行方不明、
ある者は翌朝広場の木に逆さ吊りにされていた。
民衆の間で噂が広がる。
「和平を言うと殺される」
「でも、このまま続ければ国が滅ぶ」
国中に“沈黙と恐怖”が満ちた。
⸻
一方、強硬派も闇討ちに遭う
しかし、“強硬派が全てを掌握した”わけではなかった。
追い詰められた白紙和平派とその支持者は
密かに反撃に転じる。
「この無謀な戦争を止めねば、スペインが死ぬ。」
夜の宮殿の廊下、影の薄い貴族の邸宅、
深夜の路地裏――
強硬派の若い将校や過激派の貴族が
次々と暗殺された。
ハプスブルク本家に近い幹部までもが
刺殺される事件が発生し、
宮廷は完全な疑心暗鬼へと陥る。
⸻
ハプスブルク本家は和平を拒絶し、スペイン王家は和平を望む
宮殿内は二つの派閥に真っ二つに割れていた。
ハプスブルク家(強硬派)
•日本との和平は絶対に認めない
•国威が損なわれる
•海外領土をこれ以上奪われれば“ハプスブルク一族の威信”が崩れる
•和平派は裏切り者、と粛清を続ける
スペイン王家(和平派)
•継戦は不可能
•財政は底をつき、兵士は崩壊、海外領は失われた
•国を守るには日本と停戦しかない
•何とか日本へ和平使節を送ろうとする
そして両者は、
同じ宮殿に住んでいるにもかかわらず
互いに刺客を送り合う状況にまで悪化した。
王宮内部ですら、
日夜暗殺者が忍び込み、
高官の寝室で悲鳴が上がることも珍しくない。
⸻
国民の生活は崩壊へ向かう
戦争継続のために重税が課され、
物資はすべて軍に吸い上げられた。
•パンの値段は10倍
•小麦は闇市場でしか買えない
•農民は徴兵で畑を失い、今年の収穫は絶望的
•都市では子どもが飢えて倒れる姿が毎日見られる
「戦争をやめてほしい……」
しかし国民の声は届かなかった。
なぜなら、街にはハプスブルク家が配置した兵士が巡回し、
和平を口にした者はその場で連行されるのだ。
⸻
スペイン、崩壊の足音
戦費は膨れ上がる一方。
海外領土の喪失により収入は激減し、
財務省は大赤字。
金庫は空になり、
貨幣の質は落ち、
市場で価値が下がり続けた。
「戦争を続ければ滅びる」
王家と和平派はそう考えていた。
「戦争をやめればハプスブルクの威信が滅びる」
強硬派はそう叫んだ。
そしてその争いの結果――
国が先に壊れ始めた。
誰も止められないほどに。
スペイン王家、最後の希望が潰える
― 密使の船、ハプスブルク派により拿捕
スペイン王家はついに決断した。
このままでは国が滅びる。
ハプスブルク家の暴走を止め、
日本との和平交渉を成立させねばならない。
王家直属の忠臣たちが密かに集められ、
密使団が夜陰に紛れて港へ向かった。
しかし――
出航直前、ハプスブルク派が現れた
王家の影に潜むスパイが通報したのだ。
夜の港には、ハプスブルク家の旗を掲げた兵士が
無数の松明とともに現れ、
密使たちの船を取り囲んだ。
「臨検である! 甲板に出ろ!」
密使たちは抵抗できず、
船はそのまま拿捕された。
見せしめの処刑
密使を運んでいた若い船員たちは
「裏切り者」として広場で公開鞭打ちにされ、
王家の名を叫んだ者はその場で斬首された。
密使本人たちは地下牢に幽閉され、
“和平派を根絶するためのリスト”を吐かせるため拷問が始まった。
王家の和平計画は、
ハプスブルク家によって完全に潰された。
⸻
日本側、特殊作戦群が伝える“スペイン崩壊の現実”
スペイン本土に潜伏中の海兵隊特殊作戦群は
定時連絡の中である報告を送ってきた。
国民の飢餓は臨界点に達しつつある
•パンは一斤で当時の月給の半分
•子どもが飢えで倒れ、路上に放置される
•孤児院や教会は満杯
•農民は徴兵で畑を失い、食糧供給網が崩壊
•兵士の間でも飢餓と脱走が増加
「市街では餓死者を運ぶ荷馬車が一日に何度も通ります」
飢餓の波は兵士にも及び、
南アフリカ、南米戦線から送られた捕虜は
「日本軍の食事が今までの人生で一番豪華だった」と証言するほどだった。
都市部では貧困暴動が断続的に発生
ハプスブルク派は兵士を投入し、
市民に発砲することで鎮圧を試みていた。
しかしそのことで、
さらに市民の怒りと憎悪は増幅した。
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日本、本気で“スペイン戦後復興計画”を始動
明賢は、特殊作戦群の報告を受けて判断した。
「スペインはもう限界だ。
和平交渉さえ成立すれば、
我々はすぐ復興支援に入る。」
即時支援ができる体制を整える
大規模補給艦隊を編成
•食料、医薬品、温衣類を満載した補給艦
•被災地用の仮設住宅資材
•製水タンク
港湾に物資を集積
日本本土の港は、
すでにスペイン復興用物資で埋まりつつあった。
戦後統治と治安維持の準備
陸軍の一部部隊を“占領地治安維持”として再編。
だが目的は支配ではなく復興支援である。
「スペイン国民を救うことが、
後のヨーロッパ秩序を形づくる。」
明賢はそう考えていた。
⸻
日本は最後の詰めへ向かう
スペインの国家は壊れ始めている。
•海軍壊滅
•海外領土喪失
•陸軍は包囲・孤立
•本土は飢餓と暴動
•王家とハプスブルク家の内戦状態
明賢は確信していた。
「スペインは、あと一押しで和平に動く。
その瞬間を逃してはならない。」




