物語序章 第一版 121章
時代は動き出す
ポルトガル ―― “もはやスペインは助からない”
同じ頃、リスボン。
ポルトガル議会ではついに結論が出始めていた。
「……スペインは崩壊する。
ならば、我々は道を別ち、独自に日本と講和せねば。」
この言葉が議場を凍らせた。
これ以上スペインと共に戦えば、
すべての海外領を失い、本土まで焼かれかねない。
では日本と講和すれば?
“スペインを裏切った”としてスペイン軍に攻撃される可能性。
だが――
「もう、スペインにはそんな力は残っておらぬ。」
議会に集まった貴族と軍人たちは悟った。
•海軍壊滅
•植民地崩壊
•上層部分裂
•捕虜の証言による士気崩壊
スペインに未来はない。
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ポルトガルは極秘に動く
議会は密かに決断した。
「日本に密使を送り、
ポルトガル単独の和平交渉を開始せよ。」
•キリスト教布教の停止要求を呑む
•日本が求める植民地を譲渡する
•日本軍の攻撃停止を願う
•戦後の“ポルトガルの独立保障”を求める
これらを条件として、
日本と内密に接触しようとした。
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スペイン宮廷内の空気は“崩壊寸前”
王家は和平を望む。
ハプスブルク家は戦争を望む。
両者の対立は日に日に激しくなり、ついには暗殺を疑う者まで現れた。
日本軍は一人も本土に上陸していないのに、
スペインは内部から崩れていく。
まさに日本の狙い通りだった。
日本、スペイン本土への“無音の刃”
スペイン王家・宮廷・軍上層部の対立が深まる中、
日本はさらなる揺さぶりをかける決断をした。
「本土の中枢に、“日本の刃は世界中のどこにでも届く”と知らせよ。」
海兵隊特殊作戦群が密かに動き始めた。
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深夜のスペイン本土、影の上陸
月のない夜。
スペイン本土の大西洋沿岸の無人浜に、
黒く塗られた小型ボートが音もなく接近した。
ウェットスーツに身を包んだ隊員たちは夜霧の中へ溶け込む。
数時間後、彼らはスペイン軍上級幹部の邸宅へと辿り着いた。
邸宅は堅牢な門と衛兵に守られていた。
しかし――
•潜伏して監視ルートを把握
•消音器付き銃で犬を麻酔
•監視兵を暗殺
•窓枠を特殊工具で静かに切断
監視は一切警鐘を鳴らさなかった
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C4の設置
特戦群の工作員たちは
幹部の書斎・武器庫付近に、
高性能C4爆薬を極めて小規模に、配置した。
目的は殺害ではない。
恐怖を植え付けること。
数十分後、全員が安全圏に退避したのを確認し、
遠隔起爆。
深夜のスペイン本土に、
雷鳴のような爆発が轟いた。
邸宅の一部は吹き飛び、壁が崩れ落ちる。
しかし標的となった幹部は寝室にいたため無事だった。
混乱する衛兵たち。
近隣の住民が悲鳴を上げる。
その背後で、特戦群はすでに撤退していた。
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残された “手紙”
瓦礫の中から、一枚の封筒が見つかった。
表には “To the Commanders of Spain(スペイン指揮官へ)”。
中には、一行だけ。
「日本軍は、あなた方が眠っている間でも
本土・指揮系統・上層部へ精密攻撃を加える能力を持つ。
我々はいつでも交渉の席を開けて待っている。」
署名は日本国政府となっていた。
そして、誰もが理解した。
これは 脅しではない。本気だと。
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スペイン宮廷、完全崩壊へ
翌朝、王宮は大騒ぎになった。
•「日本の軍隊が本土に侵入した!?」
•「どうやって国境を突破した?」
•「上層部が狙われたのか!!」
幹部は恐怖で震え上がり、
ハプスブルク家の強硬派ですら沈黙した。
彼らは理解した。
日本は、やろうと思えば“本土の心臓”をいつでも止められる。
もはや戦争継続どころではなかった。
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さらに広がる恐怖 ― 捕虜からの証言
南米・南アフリカから送り返された捕虜たちが
町や酒場でこう噂していた。
•「日本軍は音もなく陣地に近づいてくる」
•「爆弾を正確に投げ込み、誰も気づけない」
•「上級幹部が狙われるのは時間の問題だ」
•「戦っても無駄だ。日本は我々より100年先を行っている」
噂は国中で膨張し、
スペインの士気は底を打った。
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スペイン王家、最終決断へ
ついに王が静かに命じた。
「……和平交渉の準備を進めよ。
これ以上戦えば、スペインそのものが滅ぶ。」
しかし――
ハプスブルク家は沈黙していた。
完全に恐怖で声すら出なくなったのだ。
ポルトガル敗北
ポルトガル密使、日本到着 ― “静かな降伏”
スペイン本国が混乱し、
王家とハプスブルク家が互いに責任を押し付け合う中、
隣国ポルトガルはもっと冷静だった。
「スペインにつき従えば、我々も滅ぶ。」
その恐怖は日増しに高まっていた。
なぜなら日本軍はスペインポルトガル領に対し各地で瞬時に上陸し、
海軍を消し飛ばし、南米・アフリカで圧倒的な進撃を続けていたからだ。
ポルトガルは決断した。
「スペインとは違う道を歩む。
日本と単独で和解し、同盟を結ぶ。」
そして極秘裏に、
選び抜かれた密使団が日本へと旅立った。
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日本の沿岸に、静かに近づく船影
ポルトガルの密使船は、
通常の外交使節とは違い、旗も掲げず、
ただ「日本との秘密交渉」のためだけに海を渡った。
警戒レーダーに映った小さな反応に、
日本海軍はすぐに対応。
護衛艦数隻が周囲を固め、船を誘導した。
港に降り立った密使団は、
日本側の異様な静けさと秩序に圧倒される。
彼らはすぐに日本の外交施設の元へ案内された。
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密室での会談 ― ポルトガル側の懇願
密使団の長は、深く頭を下げて言った。
「日本と、和平を。
そして敵対しない同盟を結びたい。」
明賢は静かに頷く。
「では、条件を示そう。」
ポルトガルの代表は息を飲む。
莫大な金、領土、賠償……
どれほどの要求が来るのか。
しかし提示された条件は、意外なほど穏当だった。
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日本が提示した和平条件
1.ポルトガルが保有する海外領土の一部を日本へ譲渡すること
(アフリカ沿岸の港、インド洋・大西洋の小島など、戦略的価値の高いものを中心に)
2.以後、日本に友好的に振る舞うこと
3.スペインが倒れるまでの間、日本と軍事同盟を締結すること
(対スペイン安全保障条約)
それだけだった。
密使団は驚愕した。
「……金銭的要求は、ないのですか?」
明賢ははっきりと答えた。
「君たちを貧しくして内戦を誘発しても、
我々の利益にはならない。
金品を君たちに求めるつもりはない。」
ポルトガル側は震えた。
日本の政策の裏側を見た気がしたからだ”に
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条約締結 ― “日本・ポルトガル友好同盟”
密室で条文が整えられ、
双方が署名する。
「これにより、ポルトガルは日本の味方である。」
密使団は深々と頭を下げた。
代わりに――
ポルトガルは多数の海外領土を日本へ渡すことになった。
•東南アジア沿岸の拠点
•大西洋の小島
•アフリカ大陸の港湾都市
•補給用の中継地
これらの地点はすべて
これからの日本の世界戦略にとって極めて重要な“海の道”の要所だった。
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ポルトガル密使、帰国へ ― しかし…
条約を結んだ密使団は日本の護衛のもと安全に帰国した。
しかし帰りの船の中で、誰もが理解していた。
「スペインはもう終わりだ。
我々は“正しい側”についた。」
この密約は後に、
ポルトガルの生き残りを決める“決定打”となる。




