表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
119/161

物語序章 第一版 119章

南アフリカ:日本軍、捕虜収容施設を完成させる


南アフリカでは日本軍による

巨大な捕虜収容施設がついに完成した。


・給水塔

・食料倉庫

・宿舎

・簡易病院

・監視塔


各国の16~17世紀の捕虜収容所とは比較にならない

“近代軍の完全管理型施設”だった。


日本軍はここに、

南アフリカで脱走・投降してきた

スペイン陸軍の兵士を順次収容していく。


捕虜たちはまず驚いた。


「我々は殺されないのか」

「むしろ……スペイン軍より食料が多い……?」

「病人も治療されている……」


これは日本軍の戦略そのものだった。


敵兵に“虐待の記憶”を残さず、

むしろ日本の秩序と清潔さを植え付ける。

その方が戦後支配が容易になる。



捕虜は適宜スペイン本国へ送還される


日本軍は捕虜の一部を

意図的にスペイン本土へ送り返した。


彼らが持ち帰る情報には

日本側の狙いが込められていた。


「戦っても勝てない」

「降伏すれば安全で待遇も良い」


この“口コミ”こそ、

どんな砲撃よりも強力な武器だった。


スペインの戦意は

急速に摩耗していく。


第百九章メキシコ包囲網


メキシコ前線:日本軍、巨大スピーカーによる“心理包囲攻撃”


メキシコ国境のスペイン陣地。

日々降り注ぐ砲撃の合間、

静寂が訪れると日本軍の“声”が響き渡った。


それは砲撃ではない。

銃声でもない。


巨大な金属製ホーンスピーカーから流れる

―― 放送 だった。


低く、よく通る機械的な拡声が

スペイン軍の塹壕の奥まで届く。



日本軍の放送:穏やかだが刺すような声


「スペイン軍の諸君。

君たちはよく戦っている。

しかし、聞いてほしい――

本国の“真実”を。」


司令官は眉をひそめる。

兵士たちは手を止め、砲撃よりも恐ろしい沈黙で耳を傾けた。


放送は“嘘ではないが、核心は言わない”

絶妙な情報操作で構成されていた。



【日本軍の放送内容】


「君たちに使われるはずだった軍資金は

いま本国の貴族たちが

祝宴と装飾品に使っている。」


「戦場に送るべき新兵や補給は

一部の上層部の怠慢で止められている。」


「スペインがこの戦争を始めたのは

国家の未来のためではなく、

貴族たちの“私利私欲”のためだ。」


「諸君には責任はない。

無責任なのは、諸君のもっと上だ。」


毎日、朝昼晩。

雨の日も、砲撃の日も、

必ずこの放送は流された。



司令官の弱腰と“兵士の不信感の爆発”


スペイン軍の司令官――

元々、前線より宮廷が大好きで、

戦場には極力出たがらない人物。


彼がしてきた数々の贅沢、

兵站の浪費、

軍資金の私的使用は

兵士の間でも噂されていた。


日本軍の放送はそれを“誇張し拡声”した。


兵士たちはざわめく。


「……本当なのか?」

「俺たちは飢えているのに」

「司令官はワインと肉か……?」

「補給が来ない理由が……これか?」


司令官は狼狽した。


「日本のプロパガンダだ! でたらめだ!

信じるな!」


しかしその声は震えていた。

その“震え”こそ、兵士たちの確信を深めた。



情報は刷り込まれていく


砲撃のストレス。

飢えと疲労。

連絡の遮断。

本国からの支援ゼロ。

死体の増加。

脱走の続出。


そして毎日3回の“同じ放送”。


兵士の精神に、

ゆっくりと、確実に刺さっていく。


「……もう戦う理由がない」

「俺たちは捨てられているんだ」

「殺される前に……降伏したほうがいい」


スペイン軍の士気は

底なし沼のように沈んでいった。


司令官は部下に背後から睨まれるようになり、

夜になると銃を向けられないか怯えて眠れなかった。



スペイン軍は限界を迎える


放送開始から数週間。


ある晩。

スペイン軍の塹壕の奥から

白い布が掲げられた。


一人、二人――

やがて数十人単位で兵士が塹壕から出てくる。


銃を捨て、

両手を上げ、

震える声で叫んだ。


「我々は――降伏する!!」


メキシコ前線は、

日本軍が突撃することなく

“心理戦で崩壊”したのである。


貴族派上級幹部の狂気 ――「敗北は許されぬ」


メキシコ前線。

降伏か、生存か、名誉か。

兵士たちの心が揺れ続ける中、

スペイン軍本部は“貴族の論理”で動いていた。


上級幹部――ほとんどが貴族の息子で、

戦場より宮廷での栄誉を好む者たち。


彼らは前線状況を聞くなり、

怒号混じりに机を叩いた。


「降伏だと!? 貴族の名誉を汚す気か!!」

「脱走者は全員処刑しろ! 見せしめにしてやれ!」

「我らの威厳を保てなければ、軍の存在理由がない!」


兵士の命ではなく、

ただ“家名”のために怒り狂っていた。



司令官への命令:


「降伏は禁止」

「退却は禁止」

「脱走者は射殺せよ」


名誉のためだけの命令。


しかし、それは前線で死線を歩く兵士には

“死刑宣告”と同義だった。



現場の兵士たち ―― 生き地獄の板挟み


前には日本軍の砲撃


毎日数百発の砲弾が降り注ぐ。

塹壕は崩れ、

仲間は破片で倒れ、

空は赤黒い煙で覆われる。


後ろにはスペイン軍警備隊


降伏の素振りを見せれば撃たれる。

脱走しようとすれば斬られる。

投降を口にした者は

その場で吊るされた。


兵士たちは震えながら噂した。


「日本に降伏すれば生きられる……」

「だが後ろのやつらが殺す……」

「どうすればいいんだ……」



放送の影響で“反貴族感情”が爆発寸前


日本軍のスピーカーは

今日も流れ続けた。


「君たちは悪くない。

悪いのは……彼らだ。」


兵士たちはその言葉を、

胸の奥で何度も反芻した。


本心では、誰もが気づいていた。


――日本の放送のほうが“本当のこと”を言っている。


上級幹部の贅沢。

本国貴族の怠慢。

補給の杜撰。

無意味な突撃命令。

死体の山。


兵士たちの心は、

少しずつ、確実に“貴族への敵意”へ傾いていった。



ついに限界が来る ―― 兵士の精神崩壊


夜になると、

塹壕の端々で兵士のすすり泣く声が聞こえた。


「死にたくない……」

「貴族の名誉のために死ぬなんて……」


極限のストレス、睡眠不足、飢え。

兵士たちは慢性的な震え、幻聴、錯乱を起こし始めた。


銃を握る手が震える。

仲間同士で言い争う。

衛生兵が足りず怪我人は放置される。


そして――

いくつかの塹壕では、

“上級幹部を処分して逃げよう”

と囁く声すら出始めていた。


小規模集団が続々と降伏を開始する


メキシコ前線。

砲撃の音が遠ざかり、塹壕から白い布が次々と掲げられ始めた。


最初は十数名の小隊。

次に二十名、三十名。

やがて百名単位が列を作り、日本陣地へ静かに歩み寄ってくる。


疲れ切った顔。

空腹で震える手。

目には涙を浮かべている者もいた。


「我々は降伏する!武器は置いた!」


日本軍は銃を構えたが、すぐに下ろした。


司令部からは明確な指示があった。


「降伏者は最大限に丁重に扱え。」



日本軍の対応 ―― “暖かい食事”は最強の兵器


降伏した兵士たちはまず武装を解除され、

次に仮設テントへ案内された。


そこでは湯気の立つスープ、白米と肉、

温かいパンと熱い茶が用意されていた。


疲れ切ったスペイン兵たちは最初こそ警戒していたが、

一口食べた瞬間、堰を切ったように泣き出す者も多かった。


「こんな……暖かい食事は何ヶ月年ぶりだ……」

「なぜ敵がこんなにも優しい……?」

「本国の上官より、日本軍のほうがずっと人間らしい……」


日本軍の意図はただひとつ――

**“敵に日本の圧倒的優位と人道性を植え付ける”**ことだった。



捕虜送還 ―― 「鹵獲したスペイン艦」で帰国


日本軍は鹵獲したスペイン軍艦を修理し、

それを“捕虜送還船”として利用した。


次々に降伏兵を乗せてはスペイン本土へ送り返す。

護衛には日本海軍がついた


船には日本軍の監視兵も最低限しか乗っていない。

扱いは非常に丁重だった。


スペイン兵たちは船室で休ませてもらい、

温かい食事を与えられた。


送還された兵士たちが本国で語った内容は――

もはや軍や政府が隠蔽できるレベルではなかった。



スペイン国内 ―― 噂は人から人へ、そして怪物に変わる


スペイン本国では、

送還された兵士が各地の町や酒場、教会、家族の前で語った。


「日本軍は怪物のように強いが、戦わなければ優しい……」


「降伏すれば食事をくれる」

「兵士を虐待しないどころか、風呂まで用意していた」


「砲撃は雷のようで、空気が震えた」

「彼らは海の彼方から悪魔のような船で来る」


これらの噂は尾ひれがつき、誇張され、

たちまちスペインの都市中を駆け巡った。


•「日本軍は空を飛ぶ兵器を持っている」

•「海の上を光の速さで走る船がある」

•「降伏しなければ村ごと焼かれる」

•「スペイン軍はすでに壊滅した」

•「南米では日本の巨大鉄の獣が走り回っている」


民衆は怯え、

兵士の士気は急落し、

出征命令を拒否する者まで現れた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ