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物語序章 第一版 118章

海兵隊の次なる任務


―― 「海を渡る影、島々を飲み込む」


南米・アフリカでの上陸作戦に成功し、

陸軍へ橋頭堡を引き継いだ日本海兵隊。


しかし、彼らの仕事は終わらなかった。


総司令部から新たに下された命令は――


「太平洋、大西洋に散らばる

スペイン・ポルトガル領の

全制圧」


これは海兵隊にとって

上陸作戦の“本番”とも言える任務だった。



日本本土での補給


海兵隊は一度日本へ戻り、

本土の補給拠点で消耗した弾薬・食料を積み込み、

水陸両用装甲車、舟艇、建設資材まで満載した。


日本の造船所は

戦時体制へ完全移行していたため、

補給艦や輸送艦の数には困らない。


士官は言った。


「スペイン海軍は壊滅状態。

もはや敵艦隊に妨害されることはない。

海は“我々の庭”だ。」


実際その通りだった。



太平洋の島々を次々と制圧


―― 「抵抗なき戦闘」


まず海兵隊が向かったのは

スペイン領フィリピンの周辺離島群。


そこにいた守備隊は本島陥落の知らせを受け、

ほとんどが抗戦する意思を失っていた。


島ごとの流れ

1.上陸用舟艇で海岸に接近

2.遠距離から偵察ドローンで状況を確認

3.スピーカーで司令官へ投降勧告

4.島の行政施設を押さえ占領完了


わずか数日で

フィリピン周辺の主要島々は全て陥落した。



太平洋中央部の島嶼も制圧


ポルトガル領の島々も状況は同じだった。


海兵隊が姿を見せるだけで

守備兵は白旗を掲げた。


理由は簡単である。


スペイン・ポルトガル側から見た現実

•本国との連絡網は壊滅

•補給は完全に断絶

•海軍は消滅

•日本軍はどこからでも現れ、すぐに島を包囲する


兵士は口々に言った。


「戦う意味が……もう無い……」

「我々は捨てられたのだ……本国に」


海兵隊はほとんど損害ゼロで

太平洋の島々を掌握していった。



大西洋でも同じ悲劇が繰り返される


太平洋制圧の後、海兵隊はそのまま

大西洋方面へ移動した。


カリブ海、アゾレス、マデイラ……

スペイン・ポルトガルの領有するほぼ全ての島が

日本海兵隊の上陸とともに次々と白旗を上げた。


海兵隊の指揮官は呟いた。


「敵海軍が消えれば、島国の植民地支配など脆いものだ……」


事実、海軍の喪失は

スペイン・ポルトガル帝国の崩壊そのものだった。



“島々の連鎖陥落”は本国へどう伝わったか


スペイン本国の王宮に

連日のように報告が届いた。


それは全て――


「○○島、陥落」

「△△諸島、降伏」

「守備兵全滅/投降」

「日本軍による占領完了」


国王は報告書の束を前に

青ざめた顔で言った。


「……島が消えていく……

我らの海が……消えていく……」


側近は震える声で応えた。


「日本海軍に対抗できる艦隊は……

もはや、この世に存在しません……」



こうして海は日本のものになった


海軍の壊滅は、

スペイン・ポルトガル帝国の“終わりの始まり”であった。


なぜなら――

海を失った帝国は、大陸の孤島に過ぎない。


海兵隊は任務を完遂し、

太平洋・大西洋に存在した敵領土をほぼ全て制圧した。


これにより日本は、

世界最大の島嶼帝国となりつつあった。


南アフリカ戦線


―― 「砂塵を上げる鉄の軍勢」


南アフリカ大陸では、

北と南から電撃のように進軍する日本陸軍によって、

スペイン陸軍は次々と包囲されていった。


日本軍は速度と機動力を最大限に活かし、

夜になっても前線は止まらなかった。


轟かせるのは

馬でも人でもない、

内部構造を秘匿された“鉄の馬車”。


スペイン側の記録には

こう残っている。


「我々が築いた陣地は

鉄製の獣たちに踏み荒らされ、

その背後から降る砲撃で粉々になる」


南アフリカ戦線では

スペイン軍の陣地が一つ落ちるたびに

残兵はさらに内陸へ押し込まれ、

包囲される恐怖を抱えながら後退した。


補給は絶たれ、

飲み水さえ満足に手に入らない。


士気は地に落ちていた。



メキシコ国境


―― 「終わらない夜」


メキシコ国境。

そこは南米戦線の“地獄”と呼ばれ始める。


日本陸軍は陣地に向け、

昼夜を問わず絶え間なく砲撃を続けた。


砲弾は空を裂き、

着弾のたびに大地が揺れた。


スペイン兵は塹壕にすくみ、

顔を上げることすらできない。


砲撃は軍事施設だけでなく、

司令部、弾薬庫、補給庫を正確に狙っていた。


スペイン軍の兵士は語る。


「夜が来ても、砲声は止まらない。

明けても、それは続く。

私たちはいつ眠ったのかも覚えていない。

砲撃の振動が止まない。

まるで大地そのものが怒っているようだった。」



指揮系統の崩壊


―― 「恐怖と孤立」


日々続く砲撃と、

補給断絶・連絡途絶により、

南米のスペイン軍司令部は

徐々にまともな判断を下せなくなっていた。


司令官は地図の前に立ち尽くし、

震える手で報告書を開く。


「……また陣地が……落ちた……?

いったい日本軍は何人いるのだ……?」


しかし、実際には

日本陸軍は数万人規模であり、

破竹の勢いは

“作戦の巧妙さ”によって生まれたものだった。


後方から迫る日本軍に

怯えた兵士は陣地に引きこもった。


指揮官は命令を出すが、

誰も動けない。


精神の限界だった。



膠着する戦線の裏で


恨めしいほど続く砲撃。

突撃はない。


スペイン兵は次第に

“日本軍は突撃の必要が無い”

ということを理解し始める。


「あいつらは、

我々を消耗させている……

ゆっくり、じわじわと……」


これは明賢の作戦だった。


砲撃による心理破壊


・睡眠を奪い

・補給を断ち

・指揮系統を麻痺させ

・戦う意志を削り落とす


突撃は最後の仕上げでしかない。


すでに南米のスペイン軍は

半ば戦闘不能状態だった。



そして、包囲網完成に近づく


スペイン軍が恐怖で動けなくなる一方、日本軍は――


すでに全包囲網を完成させつつあった。


メキシコ国境のスペイン司令部は

“何が起こるか”分かっていた。


しかし逃げる術も、

反撃する余力もなかった。


「日本軍は……なぜ来ない……?

なぜ突撃してこない……?

この静けさが……恐ろしい……」


スペイン兵たちの精神は

砲撃以上に、

“日本軍の不気味な沈黙”によって削られていた。


日本が“突撃を拒む”深い理由


―― 「静かなる包囲戦の真意」


スペイン軍の視点では

「なぜ日本軍は突撃してこないのか」

という恐怖が膨らんでいた。


しかし日本側には

明確な、そして戦略的な理由があった。



第1の理由:日本陸軍に無駄な被害を出したくなかった


・味方の死傷者ゼロを目指す

・敵の損害は最小限に、戦意を奪って降伏させる


この原則は1644年では異例であった。


突撃は確かに早く決着する手段だが――

味方の死者を生む。

その必要はなかった。


砲撃・包囲・兵糧攻め。

合理的に敵を無力化する戦法こそ

最も“科学教”に沿ったやり方だった。



第2の理由:突撃は武器の鹵獲につながる


日本の兵器は、

たとえ簡易版でも技術的には300年以上先のもの。


小銃も、弾薬も、光学機器も、砲も。

これらをスペイン軍に鹵獲されることは

欧州全体の技術加速度を一気に上げてしまい、

やがて脅威となる可能性があった。


そのため突撃による白兵戦は避け、

敵に銃や装備を触れさせない戦法が徹底された。



第3の理由:スペイン軍に“恐怖の記憶”を残すため


日本が恐れるのは、

戦後に欧州列強が結束し

逆に日本へ侵攻してくることだった。


だからこそ――


「日本に刃向かうとどうなるか」

その恐怖を“兵士の口”を通じて広めさせる必要があった。


突撃で全滅させてしまっては意味がない。

生き残った兵士が本国に戻り、

“日本の恐ろしさ”を語ってこそ意味がある。


砲撃されるが姿を見せない。

反撃しても当たらない。

理由も分からず突然包囲され補給が断たれる。


恐怖と絶望こそが

最も強力な外交カードだった。



第4の理由:捕虜収容能力が不足していた


日本陸軍は大量の捕虜を想定しておらず、

簡易的なプレハブ施設や現在の補給能力ではまったく足りなかった。


そのため南アフリカでは急ピッチで

捕虜収容所が建設されていた。


・給水

・食料

・衛生設備

・病棟

・警備網


これらを整えるのには時間が必要だった。


突撃してスペイン軍が一気に降伏すると

捕虜数十万人を収容できなくなる。


ゆえに“突撃しない”という選択は

兵站面でも必然だった。



南アフリカ:全方位包囲完成


南アフリカのスペイン軍は

ついに完全包囲された。


北の日本軍、

南の国境線、

西の内陸封鎖、

東の内陸封鎖。


補給路は一本残らず断たれ、

食糧庫は空になりつつあり、

飲み水も枯れ始めていた。


砲撃は止まない。

日本軍は近づきもしない。


スペイン兵は悟り始める。


「これは……殺すつもりではなく、

降伏させるための包囲だ……」


実際その通りだった。


南アフリカでは

日本軍が建設する捕虜収容所が

完成に近づいていた。


降伏すれば、すぐに収容し、

秩序ある管理を行うためである。



兵糧攻めの開始


日本軍は包囲を固めた後、

南アフリカ戦線で本格的な兵糧攻めに入る。


飲料水を断ち、

連絡路を封鎖し、

補給を遮断し、

時々砲撃で士気を削る。


スペイン兵の間では

食糧は1日で干し肉数切れ。

将校でさえ水を1日コップ1杯。


疲労、飢え、恐怖。


誰もが理解し始める。


「突撃は来ない。

日本軍は、我々が飢えて戦闘不能になるのを待っている……」


それが事実だった。


スペイン本国:戻ってきた捕虜が語る“絶望の前線”


スペイン本国には、南アフリカ・南米から

続々と捕虜や脱走兵が送還されていた。


彼らは皆、痩せこけ、

表情から完全な戦意を失っていた。


捕虜が語る内容はどれも共通していた。



「一方的に追い込まれている」


砲撃は昼夜を問わず続き、

日本軍は姿を見せない。

反撃の機会すらない。


―「敵影は見えないのに砲撃だけ落ちてくる」

―「砲は100発撃っても1発も当たらない」

―「日本兵は幽霊のようで戦えない」


スペイン軍は“戦場に立つ資格そのもの”を

剥ぎ取られていた。



「兵糧攻めで部隊が干からびていく」


前線では食糧は尽き、

水は濁り、

負傷者は治療もできず放置されていた。


―「戦って死ぬのではなく、飢えて死ぬ」

―「補給路という概念すら潰された」


スペイン本土の将軍たちは

あまりの惨状に言葉を失った。



「技術格差は戦争の形そのものを変える」


捕虜が語った“日本の戦い方”は

スペイン軍の常識から完全に外れていた。


・敵は姿を見せない

・砲は想像を超える遠距離から命中する

・日本軍は被害を出さない

・包囲→孤立→餓死ルートで降伏させる

・反撃の機会すら与えず、心理を折る


将軍の一人が言った。


「これは……“戦争”ではなく、

ただの処刑だ……」

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