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物語序章 第一版 100章

南の大地へ ― レアアース遠征隊出航


電力と電子が国家の血となり、文明は次の段階へと進もうとしていた。

しかし、電子を操るためには、まだ既存の領土では欠けた血管があった。

それが――レアアース(金属希土類)。


ネオジム、ディスプロシウム、イットリウム。

どれも電子機器・磁石・モーターに欠かせぬ元素であり、

国家の電化・電子化を真に独立させるためには、自らの手で掘り出す必要があった。


明建は、地図の果てに赤い印をつけた。

それはアフリカ大陸南端――ケープタウン。

未開の山岳地帯にレアアースの鉱脈が眠っていると報告が上がったのだ。



レアアース遠征隊の結成


東京湾に集結する艦隊群。

艦尾にはそれぞれ「地探一号」「地探二号」「白嶺」「高砂丸」などの名が刻まれ、

艦内には大型採掘機、重機、発電車、食糧、そしてプレハブ住宅がぎっしりと積み込まれていた。


明賢の命により、地質探査隊・南方遠征隊が正式に編成される。

その総勢は一万人を超え、技師、作業員、兵士、医療班が同乗した。

旗艦には通信機器と観測装置が満載され、まるで移動する研究都市であった。


目的はただ一つ――

南アフリカ・ケープタウン近郊にレアアース採掘基地を建設し、日本国の電子産業を支える資源網を確立すること。



太平洋航路 ― 羽合、山番市、そして汎名へ


秋の朝、艦隊はゆっくりと東京湾を出発した。

港に集まった人々は、遠征旗を掲げる艦隊を見送り、

新たな「地球の開拓」が始まったことを肌で感じていた。


まずは南下し、羽合ハワイで燃料と食糧を補給。

太平洋の中央に築かれた補給港には、すでに海上保安庁の哨戒艇が待機していた。


次に艦隊は東方航路を離れ、**山番市サンフランシスコ**へ寄港。

北米大陸を背に、西へ、そして南へ――

艦列は雄大な海流に乗り、汎名パナマ運河へと到達する。


運河の水門が開くと、遠征艦隊は一隻ずつ静かに大西洋へと滑り出していった。

巨大な輸送船の腹から響くエンジン音は、まるで地球の鼓動のようだった。



南アフリカを目指して


赤道を越え、風が変わる。

湿気を帯びた大西洋の風が帆柱を叩き、船体に塩を残していく。

日が落ちれば南十字星が浮かび上がり、

誰もが新たな大陸の匂いを感じ始めていた。


「この先には、地球の骨が眠っている。」


地質隊長の一人が、そう呟いた。


艦隊は嵐を避けながら慎重に進み、

やがて、はるか南方――ケープタウンの山並みが水平線の向こうに姿を現す。

それは、陽光を受けて赤く輝く大地。

この地で、新たな日本開発の火が灯ろうとしていた。


ケープタウンの赤土 ― 鉱山開発始動


遠征艦隊が大西洋を南下し、やがて目にしたのは、乾いた風に照らされる赤茶けた大地だった。

海は深く青く、山は鋭く切り立ち、その中腹に白い雲が流れていた。

そこが――日本が新たに足を踏み入れる地、南アフリカ大陸・ケープタウン。


港の造成班が上陸用舟艇で先に浜へ降り、砂質と地盤を測定する。

続いて、重機が次々と船腹から吊り下げられ、轟音を上げて砂を押し固めた。

岸壁の予定地にはすでに杭打ちが始まり、

初日の夕刻には暫定の係留地点が完成していた。



埋蔵地の特定


翌朝、地質調査隊は明賢から渡された鉱脈の地図と探査装置と試掘機を携え、内陸へと進軍した。

乾燥した草地を越え、花崗岩質の丘を越えた先、

地図にある鉱脈の採掘地点に到着した。


ボーリング調査を開始し試料が掘り出される。


「ここだ……希土の反応が出ている!」


報告が上がると同時に、司令部に設置された通信班が即座に本土へ連絡を送る。

「ケープタウン北東、鉱脈確認。即時開発可能。」


その言葉が発せられた瞬間、基地全体に歓声が湧いた。



鉱山の建設と発電・補給


基地建設班はすぐにプレハブ住宅を組み立て、居住区と作業区を分けた。

採掘班は採掘地点にてすぐさま露天掘りを開始、発電班は携帯型ディーゼル発電機を並べる。

燃料は補給艦からポンプで送られ、

掘削用重機のエンジン音が夕刻まで響き続けた。


化学班は採取した鉱石の成分を分析。

ネオジム、プラセオジム、ディスプロシウム、イットリウム――

すべて電子産業が必要とする希土類金属の高純度鉱脈が確認された。


「これで、電子国家の骨格が揃う……!」


明賢の言葉が、報告書の末尾に記された。



南緯24度 ― 国境線の設定


先遣隊の指令に従い、調査隊はさらに北上。

南緯24度線付近までの地形を精査し、

そこに暫定的な日本国南アフリカ領の国境線を定めた。


杭を打ち、鉄標を建て、測量線を結ぶ。

赤道直下の陽光の下で、日の丸が新たに掲げられる。


この地は以後――

**「南嶺州なんれいしゅう」**と名付けられ、

資源開発庁の直轄地として登録された。



レアアース帝国の胎動


採掘開始と同時にケープタウンの港には次々と輸送船が到着し、

採掘した鉱石は大型ばら積船に積み込まれ、

房総半島の精錬所へ向けて出発していった。


まだ街の灯りは少ない。

しかし、地平線の向こうでは

数十台の採掘機が一斉に稼働し、

夜を焦がすような光を放っていた。


それはまるで――

新たな文明の血液が、地球の奥底から湧き上がっていく瞬間のようであった。


南嶺州精錬港 ― 希土の炎


ケープタウン上陸からわずか数ヶ月。

日の丸がはためく丘の向こうに、巨大なクレーンの群れが立ち並び始めた。

南嶺州――それはもはや「遠征地」ではなく、

日本の資源供給の中枢となる新大陸の要衝であった。



港湾建設 ― 日本南端の玄関


南大西洋から吹きつける風を受けながら、

港湾局はケープ湾に沿って大型輸送船対応の深水港を設計した。


測量の結果、水深18〜22メートルの区画が選定され、

港口にはコンクリートケーソンと鋼管杭が打ち込まれた。

ドック2基、荷揚げクレーン4基、燃料補給桟橋、倉庫群――

それらが3ヶ月で一体化した軍民共用港湾として姿を現す。


「これで最大10万トン級の輸送船が同時に3隻は入れる」

― 港湾司令・稲垣技監


整備班は港背後に鉄道引込線を延長し、

採掘地と港を結ぶ鉱石搬出ルートを完成させた。



精錬施設 ― 希土を分離する炎


港の北区画には、

**簡易レアアース精錬プラント(第1期)**が建設された。

構造はモジュール式のプレハブ構造体で、

主要設備はすべて艦隊が運搬してきた。


構成は以下の通り:

区画主装置役割

第1区画粉砕・分級設備(ジョークラッシャ・振動ふるい)鉱石を粒径20mm以下に粉砕

第2区画酸浸槽(硫酸・塩酸系)希土類を溶解

第3区画溶媒抽出塔(有機溶媒法)希土類分離(Nd, Dy, Pr, Smなど)

第4区画沈殿槽・乾燥炉酸化物として回収

第5区画廃液処理・再利用装置酸性排水中和・再循環


動力源には**港背後のディーゼル発電所**を用い、

冷却水は港湾から取水して循環処理した。


施設の規模は小さいが、

月産レアアース酸化物 2000トンを安定供給できる能力を持つ。



鉄路と補給


ケープ湾から北東へ延びる鉱山鉄道は、

内陸の主要鉱脈地帯まで全長約280km。

線路脇には中継基地と整備所が設けられ、

輸送列車は24時間体制で往復した。


港には、鉱石専用のバルクローダーと自動積載システムが稼働し、

精錬済みの酸化希土は直ちに本土行き輸送船へ積み込まれる。



南嶺州の都市化


港の南には、急速に形成された住宅区「新嶺市しんれいし」が誕生。

発電所・給水塔・通信局・病院・学校が併設され、

約5,000人規模の鉱山都市が生まれた。


夜、精錬炉の煙突から昇る炎が、

海風に揺れて橙色の光を放つ。


それはまるで、

地球の奥底から文明を引き上げる灯のようだった。



日本総務省報告

•南嶺州第1期レアアース精錬施設:稼働開始1年

•月産:酸化レアアース合計約1800トン

•精錬回収率:92%(試験段階)

•港湾積載能力:年300万トン(鉱石換算)

•鉱石鉄道距離:総延長282km、運行時速45km/h、列車編成最大80両

•港湾都市「新嶺市」:日本移民約4,850名、技師320名

ついに100本目

とはいいつつ今のところ160話ぐらいまで書いています

誤字とか変な記号入ってることあったり

原案のままの文章が入っていたりしていて違和感があるところが多いと思います

試作版でなく正式版にする時に直すので大目に見てください

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