解説 1
おじいさんのありがた~い おはなし。
今回は、複数ある将門の首伝説、中でも滝夜叉姫の家来、蜘蛛丸が第5章からの伏線でした。これに複数の説話、伝説をもとにしています。歴史的事実と改変を混ぜています。
使いたい話、伝説が多かったので、ここまでで一番の長編になりました。
藤原さんばかりなので、表記は初登場回以外は、みんな名前呼びになっています。
ep1
・ 小式部&博雅with三人官女Ⅱ
小式部&博雅に大弐三位、小馬命婦を加えたユニット。小式部、三位、命婦の母がそれぞれ、和泉式部、紫式部、清少納言の某雛人形三人官女の二世であることから命名
・ 春の来ぬところはなきに白河のわたりにのみや花は咲くらむ
(春の来ないところなどないのに、白河のあたりだけ花が咲くのでしょうか。)
小式部内侍が、実際に教通から白河(京の)の花見に誘われた時に送ったものです。
この白河は後の伏線のつもりでもあります。教通は「土蜘蛛」騒動で小式部から、よい返歌がもらえるまで絶交を言い渡されています。ちなみに頼宗は出禁を食らっていますが、定頼とともに大弐三位に推し変しているようです(これは史実に基づく)。
・三舟の宴
これは「大鏡」にある「三舟の才」の話から、大堰川(現在の桂川、伏見で鴨川と合流して淀川にそそぐ)で行われたとされている。「大鏡」では道長が催したことになっているが、史実では円融上皇が、986年に催したもので、この時、公任は三舟に併せ乗った。この時期、道長も公任もまだ若手公卿であった。本話では2回目が行われたことでこの矛盾を解決した?「三舟の才」は、公任が和歌の舟で秀歌を詠んだが、漢詩であればもっと評判があがったと悔やんだという内容で、道長の時代には既に公任は和歌の第一人者でそこまで名を売る必要はなく、史実の若手公卿であったらあり得ますね。そんなわけで、二回目設定の本話では三つとも参加させました。
この大堰川(桂川)、後の藤原定頼の歌にも関わりますね。
ep2
・御堂関白
藤原道長のこと。道長は関白に就任したことはないが、そのように呼ばれていたため(既出)。
・四納言
道長政権を支えた公家。藤原斉信、源俊賢、藤原公任、藤原行成のこと
・藤原斉信
道長の従兄弟。史実では道長と最も親しかったとみられ、四納言で唯一大納言まで昇進した。しかし、若くして大臣となった頼通、教通兄弟と、90歳まで生きた長老である藤原実資がいたため、大臣になることはなかった。
・源俊賢
道長の義兄弟。道長の兄である道隆に仕え、道隆死後、その子、伊周を擁護しつつ道長との関係も良好に保つという温厚な人物。参議に昇進する際に13歳年下の行成を推薦し、これが行成のその後の栄達につながったため、行成は生涯、俊賢の上座に座らなかったと言われている。
・藤原公任
関白太政大臣であった藤原頼忠の長男、若手貴族の時代から、道長と行動を共にすることが多かった。もちろん当時の和歌の第一人者(既出)。
・藤原行成
摂政の藤原伊尹の孫、三蹟の一人として数えられる書家で、四納言の中で最も若い。
・源頼光、藤原保昌、安倍晴明、摂政頼通 第3章、第5章既出
・紫のサイリューム
道長は紫式部推しと言う設定です。
・七条河原
平将門の首がさらされたと言われる場所。現在の七条河原町付近
獄門の最も古い記録になる。
ep3
・三大怨霊、三筆、三蹟
本文記述通りです。
・季武の赤子
こうなると、なんだかわからないが、霊的なものなのか?
ep4
・滝の音は 関五にかかる ことなきや 名こそ流れて なほ聞こえけれ
(公任様のアドバイスは、教通さまに与えられることはないのですか。道長様の面目が失われて、無能だといううわさが流れてしまいますよ。)
「滝の音は絶えて久しくなりぬれど、名こそ流れてなほ聞こへけれ」の本歌取り
滝の音-公任の言葉、アドバイスのこと、作者の創作です。
・小野道風
三蹟の一人、平安中期を代表する書家。花札の雨で傘をさしている人。行成が心の師と仰いでいた人物で、行成は夢で指導された語っているのは実際の伝説。
・天神様、菅原道真
讒訴して陥れた藤原時平を呪い殺したと言う伝説があり、北野天神を建て供養を行い、それ以降、天神様として学問の神様として信仰されるようになりました。
ep5
・将門の伝説
全て実在する伝説をもとにしています。
・恕羅魂玉
まああれですね。
ep7
・貴船神社
和泉式部の説話がこの章全体のベースになっています。
貴船神社は丑三つ時にお参りをする丑三つ参りが流行り、そのため石段に灯篭が並んでいると思われる。
ep8
・歌舞伎などの題材にされている「滝夜叉姫」の話を援用しています。時代的に五月姫は老婆となっています。
・築土神社
津久戸村に造られ、現存する神社。江戸時代まで将門の首を入れた首桶があったといわれている。
ep9
・芝崎村
現在の将門塚のある場所。将門の怨霊に長く苦しめられたものを室町時代に封印したといわれる。
ep10
・御首神社
関東へ飛翔している将門の首を、南宮大社の隼人神が射落としたと言う伝説で、射落とされた将門の首が落ちた場所に建てられたといわれている。
ep11
・百鬼夜行
百鬼夜行説話を2種混ぜています。
・蘇我入鹿、蘇我蝦夷
乙巳の変で中大兄皇子、中臣鎌足らに謀殺され、屋敷は焼かれ蘇我氏は滅ぼされた。
・伴善男
応天門の変で、伴(大伴)氏の有力官人が排斥され、事件後に藤原良房が朝廷の全権を掌握するようになり、摂政の座に就いた。
・安達ケ原の鬼婆
これも有名な怪談を使っています。安達ケ原は福島県の安達太良山のふもとに広がる場所で、白河の関までも遠くないため、いろいろ使えました。
・安達太良山
智恵子抄もイメージしました。
解説も長くなっています。




