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椙山

おじいさんのありがた~い おはなし。

  翌朝、源頼義の馬に同乗して小式部は、椙山(すぎやま)を目指していた。

「頼義くん、椙山ってどこにあるの?」

「椙山という地名はないんだ。」

「じゃあどこなの?」

「多分、交野(かたの)のあたりの杉山だと思うんだよね。」

 頼義の家来もつれた一行は。交野の野に着き、杉山らしき丘を探し回わったが、それらしきものはいつまでも見つからない。

「もーっ、阿弖流為さ~ん!!!」

<アテルイノナ、ヨブオマエ、ナニモノ?>

「わっ!生首!!!」

「えっ、何があった。」

 前に乗る頼義が、声をかけ、馬を止めるが、小式部以外の人には見えないらしい。

「阿弖流為さん?」

<ワタシ、モレ オマエダレ?>

「私は、小式部内侍だよ。母禮(もれ)さんって、阿弖流為さんと一緒だった人?」

<アア、ソウダ。アテルイニ ナンノヨウアルカ?>

「悪霊たちが阿弖流為さんを利用しようとしているの。」

<ワタシタチ ヤマトシンジナイ。チカラカサナイ。デモ……。>

「でも?」

<アテルイモ、ワタシモ ウチニカエリタイ。アイツラカエシテクレルッテイウ。>

「もう来ていたんだ。で、阿弖流為さんは?」

<アイツラシンジテ ドウサガシニイッタ。>

「阿弖流為さんも首だけなんだ。」

<デモ、アイツラアクリョウ、アテルイモワルイモノニナル>

「そうね。あなたたちを利用して、あなたたちの故郷を支配するつもりだって。」

<ホントカ?アクリョウニナッテ コキョウニカエルノカ。>

「悪霊になって故郷に帰るか。このままこの地に縛られるか選べってことか。」

突然、頼義が話に入ってきた。

「えっ、頼義さん話が分かるの?」

「この八幡様のお守り持ったら聞こえた。」

「八幡様って武人の神様よね。さすがだわ。」

<ワタシ アノボウズ シンジナイ イヤラシイメシテル。>

「とりあえず、阿弖流為さんを止めなきゃね。」

「どこにいるんだ。」

<ムコウノヤマニ ドウガアルッテ ヤツラガイッテタ>

「向こうの山?なるほど、これだけ間があればと思ったんだな。」

 頼義がさす方を見ると、遠く北の方角に小高い丘が見える。

「じゃあ、急ぎましょう。母禮さんも一緒に行く?」

<カエリタイケド アクリョウニモナリタクナイ。トメニイク。>

 小式部たちは、北の山に向かって馬を進めた。



 三船イベント最終日、「和歌の宴」は当代を代表する歌人たちが一堂に会したものとなった。紅白に分かれ、将門の7つの玉を光らせた者が勝者となり、それ以外の場合は光らせた玉の数で勝敗を決めるように、当日ルールが発表された。

 白組はキャプテン藤原公任のほかには、定頼、頼宗、能因法師、若き俊英の藤原長家など10数名が、紅組にはキャプテンで大トリ、和泉式部のほかに、同じ女官組から紫式部、赤染衛門、伊勢、なんで自分が、って文句言っている清少納言ら同じく10数名が参加した。 

歌合戦は拮抗した勝負が続いたが、ほとんどが5つまでしか光らず、「これは!」と言う秀作でさえ、6つまでしか光らなかった。

「さあ、次は前半のトリ、東北の旅から帰ったばかりという能因法師さんです。」

  ー都をば 霞とともにたちしかど 秋風ぞ吹く 白河の関ー

 舞台の袖で、午後からの出演を待つ定頼のところにいた教通が、思わず突っ込んだ。

「それはないでしょ。私は7日で着きましたよ。」

「教通殿は飛ばされたからでしょ。」

「それにしてもかかりすぎですよ。半年かかってたどり着いたわけですか?」

「まあそれが歌の趣向でしょう。そのために日焼けまでしているのですから。」

「わたしは、日焼けなどしませんでしたよ。」

「だから、『設定』ですよ。」

 将門の星は4つしかつかなかった。将門もうそが嫌いらしい。それでも前半戦を終えて35対33と言う僅差で白組がリードして、昼休みとなった。

「ポイントは、将門公をどのように感動させるかじゃな。」

 公任が定頼のもとにやってきて、何やら話している。教通は公任の手伝いで、公任自身が選んでいた古今の歌人の歌を目にしていた。誰に向かって、誰を感動させる歌を作るのか。相手のことを考えることの大切さが教通にも分かり始めていた。

能因説話出ました。

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