事前の準備
おじいさんのありがた~い おはなし。
そのころ晴明は、綾小路通を四条に向けて歩いていた。将門の首がさらされた地に建てられた神田神宮は高名な空也上人によって将門の霊が供養され、封印された地である。この強力な封印は、誰にも解けないと思われることから、他の玉の確保を優先したのであった。
「ん、誰かつけて来てますね。葛葉さんお願いできますか。」
「任せて」
晴明は葛葉に処理をまかせると先を急いだ。
神宮と言われた小さな祠には、将門を封印した石が立っている。晴明が神宮に近づくと怪異の気配が強くなるのを感じた。しかし、神宮そのものは清浄なままのようであった。「なるほど、近づけないんですね。ああ、また蜘蛛ですか。」
と、いうと晴明は近づいてくる大小の蜘蛛を青い霊火で焼き払う。
「こんな開けた場所では無謀ではありませんかね。」
晴明は式神たちを召喚した。
「いいですか。怪異は食べちゃっていいですから。町や神宮は壊しちゃいけませんよ。」
十二神将は神宮の周囲に集まった怪異たちに一斉に襲い掛かった。
「やはり、ここの封印にはお前が来たか晴明!」
神宮の正面には若い僧形の男が立っていた。
「なるほど、あなたが蜘蛛を操っていたんですね。」
「よくもここまで邪魔してくれた。まあ、お前に封印を解いてもらおう。」
と、いうなり、蜘蛛丸は晴明の頭上に蜘蛛の糸を網のように降りかけた。
「お前を操れば、たいていのことはできるな。」
蜘蛛の糸に絡まれる晴明を見て、蜘蛛丸が不気味に笑った。
その夜、保昌が帰宅すると、言い争う声が聞こえた。
「だから、わたしが行く」
「あなた一人では危険です。もしものことがあったら……。」
「大丈夫、わたしが行かなきゃ。」
「せめて警護の人が必要よ。」
保昌が帰ってきたことに気付いた和泉式部が訴える。
「あなた。小式部が河内に行くってきかないんですよ。」
「阿弖流為か。」
「わたしが行って話してくる。」
「三船イベントで封印してから、みんなで行けば、いいのではないか。」
「早くいかないと阿弖流為さんが、利用されてしまうわ。」
「せめて私が付いていくって言っているんですけど。」
「ママは、歌イベのトリよ。いなきゃダメ。」
「晴明さんや、博雅さんは?」
「晴明さんは封印する人、博雅さんは管弦の主役。」
「頼光さんたちは?」
「滝夜叉姫退治で、道長様の護衛だ。わしは頼光殿の弟、頼信殿と会場の怪異担当だ。」
確かに河内の阿弖流為に人はさけない。人手が足りない。
「ん?そういえば……。」
「パパどうしたの。」
「うむ。河内と言えば、頼信殿の所領だ。相談してみよう。」
「この辺でいいだか。」
力持ちの金時が、玉を据える台を中央に据える。
「しかし、関白様のお屋敷にこんな部屋があるとは驚きですな。温泉も設置しましょうよ。」「うむ。これなら、上から弓も使えると赤子も言っておる。」
「これなら切れる。」
御堂関白の御座所は天井が高く、まるで道場のような作りになっていた。そして中央に据えた台座には6個の玉が置かれた。
「ふむ。これが玉か?俺には団子のようにしかみえないなぁ。」
「貞兄、しーっ。ナイショだぞ。」
金時が声をひそめて貞光にいう。
「いや、それにしても将門公の玉は素晴らしいですな。」
「わざとらしいと、赤子も言っておる。」
「切るぞ!」
「準備はできたようだな。」
頼光と晴明を従えて、関白殿が部屋に入ってきた。
「わしは、ここにいればいいのか。」
「いえ、関白殿は今日からのイベントの主役です。お出かけください。」
「ここはわれらが守ります。関白殿には、わが弟、頼信がお供します。」
晴明と頼光は、道長を頼信に任せ、館に残った。
そしてついに三船イベント一日目「漢籍の宴」が催された。
いよいよ三舟の宴開始




