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騙し合い?

おじいさんのありがた~い おはなし。

 その後、頼光たちが帰京して、直ちに御堂関白は主だったものを集めた。

「頼光が二つの玉を、更に保昌が一つの玉、これで残りは2つだな。」

「はい、そのうちの一つは、滝夜叉姫が持っているものと思われます。」

 頼光が関東での出来事を報告した後、摂政頼通が議事を進行した。

「よろしいですか。」

「おお、教通か。こたびは立派な働きだったぞ。」

「兄上、ありがとうございます。一点気になることがございます。滝夜叉姫は将門公の霊を復活させようとしています。残り二つを手に入れることも大切ですが、こちらが手に入れた五つの玉もしっかり管理しなければなりません。」

「それは、頼光、保昌、晴明がそれぞれ管理しておるから心配なかろう。」

 ここで、いつもとは違う様子で斉信が発言を求めた。

「それはいけませんな。そんな大切な玉、警戒が厳重な道長様の御座所で、まとめて管理するのが、よろしかろう。ガサツな武者や、陰陽師ごときに任せるのはどんなものかと思いますよ。」

 教通は、発言を求めずに言い返した。

「相手は悪霊です。退治する力があるのはこの御三方ですよ。」

「だから、一所に集めて、皆で守ればよいではないか。考えが青いな。」

「それでは、誰が残りの二つを探しに行くんですか。」  

「よろしいですかな。」

 晴明が、教通に目くばせをして発言を求めた。それに関白殿もにやりと笑った。

「そうですね。関白殿の御座所で管理して、私や頼光殿、保昌殿は残りの玉を探しに行きましょう。」

 斉信は満足そうにうなずいた。それから、保昌が、清水での一件を報告した。

「えぇっ、小式部さんが……。」

「多分、妖術ですね。」

教通は驚いたが、晴明の言葉で冷静に考え始めた。

「妖術を使うのは滝夜叉姫ですね。ということは話を聞かれてる可能性もありますね。」

「話?」

 頼通だけではなく、この場にいる者たち皆が、教通の変貌ぶりに驚く間もなく、その話に引き込まれている。

「阿弖流為の霊が封印されている場所ですよ。そこに必ず、悪霊たちも現れます。それから、残った京の玉も早めに回収した方がいいと思います。」

「そうだな。晴明、任せた。」

 頼通はそう晴明にいうと、晴明は頭を下げ、関白殿に何事か耳打ちして退出した。

 教通が続けた。

「一点、悪霊たちの狙いが、分かれているように思えます。滝夜叉姫は将門公の霊を復活させて悪霊としてかたき討ちを考えていますが、蘇我入鹿たちは、阿弖流為を復活させて東北で独立、反乱を企てて、朝廷の力を削ごうとしている。」 

ここで保昌が発言を求めた。

「これは、娘の小式部内侍から聞いたのですが、悪霊の間でも対立があるようなのです。」「また、小娘の話か。」

 斉信は、呆れた顔をしている。

「悪霊と言われていた玄昉殿が、あいつだけは許せないと真備殿の説得に応じたのです。」「あいつとは?」

「朝廷から見たら、最大の悪党。皇位簒奪者ですよ。」

「はっ、はっは~。小娘の戯言をまともに聞くとは、親バカですぞ。」

 ここで、考え深げに聞いていた俊賢が発言を求めた。

「道鏡も悪霊ということなのか。もうこうなると藤原氏の問題ではありませんな。」

「そんなことはないでしょう。道鏡様と蘇我氏、平将門、全く関係がないではありませんか。小娘の妄想に付き合うだけばかばかしいですぞ。」

 斉信があまりにも小式部を小娘呼ばわりをするので、保昌は思わず刀に手をのばしかけた。ところが、それより先に教通が強い口調で

「斉信殿、あまり言葉が過ぎませんか。小式部さんは霊と対話ができるんですよ。」

「ああ。それは私も証明する。道風様と話をするのを私は見ました。」

教通の言葉に行成も応じた。

「また、変な奴が現れたわい。行成殿は道風殿を見たのか。」

「いえ、夢で語ってくれました。」

「夢?あなたも妄想癖ですか。」

 ここで、ここまで話を黙って聞いていた公任が発言を求めた。

「私は教通殿のいうことに道理があると思うよ。まあ、話をまとめると、滝夜叉姫が将門の復活、蘇我馬子らが阿弖流為の霊の解放。二つの目的があるってことですな。それで、こちらは残りの二つの玉を集めて、異界の門を将門公の力で封印。それから阿弖流為のさまよえる霊魂を鎮めることですな。明日からの三船イベントが勝負ですな。」

「公任殿のおっしゃる通りです。異界の門を閉じれば悪霊の力も封じることができます。」

「しかし、道鏡は何を望んでおるのだ。また帝位か?」

 ここで、公任の言葉に関白殿が答えた。

「帝位だろうよ。東北の。」



 朝議が終わり、斉信はそそくさと退出していった。その後、関白殿は頼光と保昌を呼んだ。

「斉信の様子がおかしいと晴明が言っている。操られているかもしれない。しっかり見張ってくれ。」

「ということは、玉は?」

「ああ、わしのところは囮じゃ。ここで滝夜叉姫を捕える。」

「向こうから来てくれるってわけですか。」

「もし斉信から情報が漏れていれば、必ず来るな。」

「では、玉は?」

「晴明が都の一つを手に入れたら、悪霊たちの手の届かないところに隠すと言っておる。」「われらの屋敷も今夜は警戒ですな。」

「これも囮だって」

保昌の玉も、頼光の玉も、既に晴明の手によって回収されていた。


騙しだまされ

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