教通のお土産
おじいさんのありがた~い おはなし。
「わたし狙われてるの? もう~霊界でも大人気!」
保昌の話を聞いた小式部は、楽しそうに笑った。
「お前にもしものことがあったら、母さん悲しむぞ。」
「だって、これだけ怪異にあったら、もう蘇我でも、大伴でも、物部でも何でも来いよ。」
「物部はないぞ。」
「だって、教通さんの話って、何でもありって感じ。」
と、小式部は、教通から貞光を通して届けられた書状をひらひらさせながら笑った。
「でも、教通さんって記憶力はいいのよね。私の衣装見ていついつのって答えられるんだよ。この手紙の内容だと真備様が味方みたいだし、多分、玄昉さんは大丈夫よ。」
「うむ。聖武帝の仲間ってことか。」
「それに阿弖流為さんって、恨み強そうだけど、それって藤原氏だけの問題じゃないわよね。たぶん話せばわかるんじゃない。」
「おまえ、話すつもりなのか?」
「うん、私行くわよ。清水へ」
「それじゃあ、一寸法師連れていくか。姫のお供で清水へ♪って」
あまりに明るい小式部の様子に、つい保昌も冗談がでてしまう。
「一寸法師はいませんわよ。だから、私も行きます。」
和泉式部は、御首神社への旅以来、妙に元気が良い。
「じゃあ、また一家で行こうよ。水入らずで。」
「おまえ、遊びに行くんじゃないんだぞ。」
そういうわけで、保昌一家はちょっとお出かけの軽いノリで清水寺に出かけることになった。
その頃、遠江に着いた頼光一行は、やっと廃寺のあった場所にたどり着いていた。
「何もないぞ。切る!」
「いや、この辺りだったんですが。」
金時と季武はあたりを見回している。
「気配はするんだ。」
「ここだと、赤子も言っておる。」
しかし、教通が泊まったはずの廃寺は跡形もなかった。頼光は一つうなずくと
「教通殿、あれを使ってみてはどうですかな。」
「もう最後の一枚なんです。」
「今はわれわれがいるから、心配ありませんよ。」
教通は大事に持っていた護身の符の最後の一枚を使った。
「おや、こんなところに」
教通が、屋敷のあった所を見ると、何かを見つけたようだ。
「これ、赤福の入れ物だ。」
「まだありますよ。うなぎパイ、生八つ橋」
次々と、教通は拾い上げる。
「これは残っておるな。」
「修学旅行のお土産に、みんな買うから残るんですよ。」
「赤福は?」
「その日のうちにお食べ下さいって書いてあるから。」
「食べたのか。」
季武は、話しながら赤子に生八つ橋を食べさせている。金時はうなぎパイに夢中だ。
「でも、ういろうがありませんね。持って行ったのではありませんか。」
「持って行った?」
「あれは日持ちがしそうですし。」
「ということは、もう京に向かったってことなのだろうな。」
頼光は話をまとめると、一行は、京へ急ぎ戻ることにした。
「行成さ~ん」
小式部は、藤原行成邸を訪ねていた。藤原行成は取り次ぎを頼むと、すぐに出てきた。
「ああ、小式部ちゃん。おじさんになんか用かい。」
「おじさんじゃなくて」
と、小式部はすたすたと行成の書斎に向かうと。
「いたいた。道風さん。」
<おお、小式部さんじゃったのう。どうしたんじゃ。>
「道真様と連絡取れる。」
<とれるが、どうしたんじゃ。>
「清水に行くって、伝えてほしいの。」
<清水へ。って知ってるのか。>
「ええ、考えがあるの。会ったことないけど真備さんにもよろしくね。」
<吉備真備殿か。わかった話してみよう。>
「よろしくね。」
ちゃんと教通くんのこと見てるんだよ(小式部)




