四納言会議2
おじいさんのありがた~い おはなし。
「見つかんないだ。」
「うむ。赤子もここに玉はないと言っておる。」
大髑髏を倒した後、砦の中を捜索したが、蜘蛛の巣はあったものの、玉も滝夜叉姫も見つからなかった。頼光は地図を見ながら、滝夜叉姫たちが逃走したルートを考えていた。
「どこへ行ってしまったのだ。」
「あの、多分ですが、遠江のあの廃寺だと思うんです。」
「ん?何か理由でも。」
「あの時、確かに『将門はくるのか。あの娘今一つ信用ならん。』と、蘇我入鹿が言ってました。」
「滝夜叉姫が合流していると、考えるんだな。」
「ええ、それに対して蘇我蝦夷が『結界が解けたら』と言ってました。」
「この辺りにないなら、滝夜叉姫が玉を持って合流していると。」
「それに恨みを持っている霊が続々集まると。」
「よし、ではここから遠江に向かうことにしよう。」
頼光一行は、また川を下り、武蔵の国まで戻ることにした。そこからは、国府を訪ねて馬を乗り継げば、二日ほどで遠江には着くはずであった。
さて、一行と別れ、都を目指した碓井貞光は、宣言通り三日で都までたどり着いていた。早速、教通からの書状と、貞光の報告とを元に御堂関白は、四納言と武官の保昌、そして晴明、それから頼光の代理として貞光を招集した。いつも通り摂政頼通が議事を進める。
「以上が、教通からの報告である。質疑のあるものはあるか。」
早速、斉信が発言を求めた。
「いやぁ、蘇我入鹿?蝦夷?伴善男?源信?玄昉? 何って言いましたかな。そう見事な中2病ですな。藤原氏に恨みを持つもの?阿弖流為に藤原氏は何かしましたかな。小式部内侍を守れって、公私混同甚だしい。清水寺の結界? あれは坂上田村麻呂ですよな。道長殿、教通殿は何か悪い病気にでもかかってませんか?」
いつも以上に辛辣な斉信の発言に頼通を始め他の参加者も不快な表情になった。
「よろしいですか。」
「おお、保昌、発言を許すぞ。」
「はい。一連の怪異騒動は意図的に行われている形跡があります。現に御首神社の結界は、人の手によって破壊されていました。」
「人の側に怪異への協力者がいるというのか?」
「ええ、念のため祀られているところの封印が解かれた形跡があるか確認する必要があります。」
そこで、晴明が話を引き継いだ。
「結界や封印は、悪霊や怪異は自らの手で壊すことはできません。しかし、人を操ればできないこともありません。」
ここで、黙って聞いていた俊賢が発言した。
「つまり、悪霊としてあげられた人物の封印の確認、協力者のあぶり出しの2点ですな。」
相変わらず話を理解するのがはやい。俊賢が発言したので、やっと行成が発言した。
「これは、道風殿から聞いた話なのですが、現在霊界では藤原氏の繁栄にに恨みを持つ霊たちが集まっているようで、かなり勧誘があるようなのです。ただ道真公のように恨みはあっても神格化された者たちはそれに応じず、対立しているようなのです。」
「またここにも、おかしな者がいる。夢の話じゃろ。自分に特別な力があるって思うのも中2病っていうんだ。もっと目に見える証拠を上げて話してほしいものですな。」
またも、斉信が否定的な発言をするが、ここで御堂関白が
「わが藤原家も、もう400年以上の長きにわたって政治の中枢にいて、相当の恨みも買っているだろうな。400年のほとんどが他家排斥の歴史じゃ。まあ最近は兄弟、親族での争いになってしまったがのう。」
ここで公任が発言を求めた。
「わが藤原氏の繁栄のために犠牲となった者たちの慰霊、封印のための寺院を創建するのはどうですかな。今回の三船イベントで悪霊を祓った後なら効果的だと思いますぞ。」
「それはいい考えかもしれんのう。今の時代の総力をあげて立派なものを作るとよいな。」
頼通が、本題からそれそうなので話を戻した。
「まず、話に上がった6人の結界の確認を急がせましょう。貞光、お前からは何かないか。」
「はい、特に清水寺は厳重にしてほしいとの教通殿からの御伝言でした。」
「だから、公私混同っていうんだな。中2小僧にも困ったものだ。」
またも斉信がまぜっかえすのだが、ここで俊賢が発言を求めた。
「いや、教通殿が言いたいのは、阿弖流為の封印が解けたら、蝦夷の蜂起が起こる。ということなのではないのか。道の奥まで行った上でのことだ。軽く見ない方が良いのではないか。」
「いやいや、そんなことはあるまい。あの教通殿ですぞ。」
ここで公任が口をはさんだ。
「斉信殿は最近教通殿と話されましたか。男子三日会わざれば、ですぞ。阿蒙の故事を御存じないのかな。私は今の教通殿の言葉は信じられますな。」
「いいですか。」
ここで、保昌が、斉信をにらみつけながら、発言を求めた。
「清水寺には私が参ります。それでいいですよね。」
その後、飛鳥寺近くにある蘇我入鹿の首塚に破損跡が、蘇我蝦夷、伴善男は祭祀が不足で、源信は祭祀や死後贈位が行われ、玄昉は藤原仲麻呂に左遷された後、藤原広嗣の怨霊に害されていることが判明した。教通が廃寺で聞いた話で、あの場にいた入鹿、蝦夷、伴善男と、清水に工作をしている玄昉は、悪霊となっている可能性が高いことが判明した。
明らかに怪しい奴がいる。




