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温泉巡り、最短ツアー

おじいさんのありがた~い おはなし。

 白河の関を抜けた教通は、那須高原に入ると那珂(なか)川に向かって進んでいた。川を下る舟に乗れればと考えたのだった。さて、その那珂川続く(ほうき)川に近づくと川端から湯気が立っている。国司がつけてくれた案内人の説明によるとこの辺りは塩原といって、10数か所も温泉が湧き出ているところがあるとのことであった。

 教通は早速、河原へ出ると、岩場の温泉で休息することにした。

 

 河原にある岩風呂にゆっくり浸かりながら、教通は遠江からの出来事を思い返していた。

 教通は、記憶力には自信があった。

ーあそこにいたのは、蘇我入鹿、蘇我蝦夷、伴善男。それから話に出ていたのが源信、

乙巳(いっし)の変」「応天門の変」だな。それから、道真公は「昌泰(しょうたい)の変」で大宰府に左遷後死去、玄昉も筑紫に左遷後死去だったな。まあどれも藤原氏に恨みがあるってことだろうな。「将門が来るのか。あの娘~」って言ってたな。これって滝夜叉姫のことなら、これから下総相馬に行ってもいないかもしれないな。それから清水の封印って清水寺って確か、坂上田村麻呂が、蝦夷征伐の後に立てた、蝦夷の……阿弖流為(あてるい)、小式部ちゃんが狙われている。とりあえず一日も早く、都に戻って報告しなきゃ。でも、頼光さんたちに会わなきゃ、お使いもできないのかって言われそうだしー

と、お湯に浸かったまま、教通が考えていると、


「さあ、ここが5つ目、ここには11カ所の温泉があるんですよ。」

「貞兄、おら肌がすべすべ通り越して、つるつるだぞ。」

「越後に抜けて舟に乗るって、温泉巡りしたいだけじゃないかって、赤子も言っておるぞ。」

「とりあえず、早く切らせろ。」

「で、貞光よ。この後どのようなコースになるんだ。」

「塩原11湯はいって、山越えて鬼怒川温泉、それから白根山越えて、私の故郷、私が見つけた四万温泉、草津温泉、湯沢温泉と通って越後に入りますよ。」

「貞兄の故郷はわかるけど、他はみんなまた温泉か?」 

「これって、本当に最短ルートか?」

「ああ、北関東から越後温泉巡り最短ルートだな。」

「温泉巡りって今、言ったな。」

 なんだか、騒がしい集団が温泉に入ってきた。

「おっ、先に入っている人がいるぞ。」

「失礼しますね。」

 教通は入ってきた集団の中に見覚えのある人物がいるのに気が付いた。

「あの、もしかして頼光殿では?」

「ああ、そうだが……。」

 頼光は、先に入っていた裸の若者をじっと見た。

「ん? あなたは教通殿か? なんでこんなところに?」

「藤原家の御曹司が、こんな遠くの温泉まで来るなんて、温泉好きですね。趣味が合いますな。」

と、うれしそうに貞光が口をはさんだが、無視して教通は、お使いの目的と、ここまでの出来事を頼光に話した。

「滝夜叉姫か。」

「下総まで戻るんですか。次は鬼怒川温泉ですよ。」

 貞光が文句を言っているが、金時と季武は顔を見合わせて、

「やっぱりもう一つあっただ。」

「あの辺が怪しいと赤子が言っておったんだ。」

「それにしても、藤原に恨みを持つ怨霊か?これは早く都に知らせるべきだな。」

 お仕事スイッチが入った貞光は、さっさと温泉から出て、地図を確認している。

「鬼怒川温泉まで出て川下りする方が、早いようですな。」

「貞兄、やっぱり鬼怒川温泉か?」

「これは真剣だ。ここから那珂川入るより早いはずだな。」

「じゃあ、今まで真剣じゃなかったのか?切るぞ!」

 綱が怒りながらも真っ先に旅支度を整えた。


 一行は半日で鬼怒川温泉にたどり着いた。

「ここから、都と下総の二手に別れるべきだな。教通殿が都へ戻られますかな。」

「一日でも早く、都に知らせを出したいですね。とても私の足では……。」

「私の温泉ルートなら5日程度で都まで着きますぞ。」

「ふむ、貞よ。お前の足ならどうなのだ。」

「私なら3日ですね。」

「わかった。じゃあ貞はここから都に使いに行ってくれ。」

 そこで、頼光は教通に書かせた書状を貞光に持たせて都に急がせることにした。

「貞光殿よろしくお願いします。」

「貞兄、温泉でゆっくりしすぎるなよ。」

 貞光は、白根山を目指して、走り去っていった。


温泉巡りルートやってみたいw

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