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白河のわたりにのみや花は咲くらむ

第7章開始です。

「みんな!盛り上がっていくよ!」

 今日は、「酒呑童寺」の復興ライブ、小式部&博雅with三人官女Ⅱのライブは超満員、最前列の元厄介オタもお行儀よく、みんなと一緒に盛り上がっている。

 今日も博雅のギターサウンドが冴え、式神バンドも絶好調。

「それ、ないし!さんみ!みょうぶ!」

「よっしゃーいくぞー!」

「たいがー!、ふぁいやー!、さいばー!、ふぁいばー!、だいぱー!……。」

 会場全体が揺れている。

「今日は、新曲いくよ!」

 ワーッと場内から歓声が上がる。

激しいビートが響き渡る。


 うっぜえ!うっぜえ!うっぜえ!(うっぜえ!うっぜえ!うっぜえ!)

うっぜえ!うっぜえ!うっぜえ!(うっぜえ!うっぜえ!うっぜえ!)

遠回しの陳腐な言葉(だっせい!だっせい!だっせい!)

 花見に来いって、何言ってんの(だっせい!だっせい!だっせい!)

 うちの庭にも、咲いてってんの

 春の来ぬ(春の来ぬ!)ところはなきに(ない!ない!ない!)

 白河の(しらかわの!)わたりにのみや(ない!ない!ない!)

 花は咲くらむ 花は咲くらむ 花は咲くらむ(いぇー!)


ヒートアップしている会場の中、教通は顔を真っ赤にして聞いている。


 うっぜえ!うっぜえ!うっぜえ!(うっぜえ!うっぜえ!うっぜえ!)

うっぜえ!うっぜえ!うっぜえ!(うっぜえ!うっぜえ!うっぜえ!)

つぎはぎのド下手な短歌(だっせい!だっせい!だっせい!)

 勝手に愛って、何言ってんの(だっせい!だっせい!だっせい!)

 あんたの気持ち、押し付けんなよ

 春の来ぬ(春の来ぬ!)ところはなきに(ない!ない!ない!)

 白河の(しらかわの!)わたりにのみや(ない!ない!ない!)

 花は咲くらむ 花は咲くらむ 花は咲くらむ(いぇー!)



 小式部たちが会場をでると、お見送りにきちんと動線を確保して、定頼たちが、集まっている。

「おつかれさまです。」

「あっ、あさぼらけおじさん。今日は三位ちゃんばっかり見てなかった?」

「そんなことありませんよ。箱推しですから。」

「範永も公成も元気になったみたいね。」

「今日はノリノリでしたね。」

「小式部ちゃん……。」

 声をかけようとする教通を小式部はすーっと無視して、義父である保昌を見つけると。

「あっ、パパもいたの。もう、言ってくれればいいのに」

「いや、今日は公任さんと関白殿のところに行った帰りに会ってね。」

「おお、小式部ちゃん。心に刺さる歌じゃったぞ。」

「ありがとうございます。」

公任も最近は息子同様にライブに顔を出すようになっていた。

「でも、お体は大丈夫なんですか。あんなに飛んだり跳ねたりして。」

「いや、小式部ちゃんの歌や、博雅くんの音色を聞いていると元気になるのぉ。」

「公任殿にそうおっしゃられると恐縮です。」

 博雅もさすがに公任にほめられるとうれしいようであった。

「いやな、関白殿とも相談して、船上のライブを計画しとるんじゃ。鴨川に船を浮かべてな。歌と演奏、それに唐からのゲストも呼ぶんじゃ。もちろん出てくれるよな。」

「大イベントになりますね。楽しみです。」

「夏フェスね。衣装も考えなきゃ。」

 小式部たちが楽しく話しながら帰っていくなか、教通は一人ぽつんと取り残されていた。

「教通くん、歌はできたのかな。」

「いいえ、なかなかうまく書けないんですよ。」

「それで、いろいろ誘ったりしているんですね。」

「定頼おじさんにはお見通しなんですね。あの歌、僕への返事なんですよ。」

「ふ~ん、歌の問題だけではない気もするんだけどね。聞かせる相手への思いやり、心配り、テクだけじゃないんだよ。」

「僕に何が足りないんですか?」

「まずは、頼宗くんと違って、君は出禁になっていないこと、いい返歌がもらえたら許してあげるっていう小式部ちゃんの言動の意味を考えることだと思うよ。」 

「意味?」

 教通はその場でしばらく、考え込んでしまった。


藤原教通の物語かなw

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