2.先端フェチ
「何故…───三角さんは阿古野なんかに好意を抱いているんだ!?」
「坊っちゃま───三角様は相当な顎フェチなのかと……」
「……白金、それは本当なのか?」
校内の茂みから、怪しい人物が2名─────
学園1の金持ち──角野崎財閥の御曹司・角野崎 月国と、執事・白金。
阿古野をストーキングするこのみを、ストーキングしていた。
そう……角野崎 月国は三角 このみに惚れていたのだ。
「許せぬ!!阿古野 薫!!僕の三角さんは誰にも渡さんっ!!!」
お昼ご飯を買いに購買に行く途中───寺内 友華は見た
(今日も変態しかいねぇ~なぁ)
つまりそれは、平和という意味である─────
。
。
角野崎財閥の御曹司の僕に、手に入れられないものは無い。それは生まれる前から運命られていたからだ。
金も権力も女も何もかも全て……
「きゃー!角野崎さん~!」
「ねぇ、今彼女居ないって本当~?」
「えぇ~!私…立候補してもいい~?」
「あはは、こんな魅力的な方達から選べないな…」
「きゃーーー!!」と、黄色い歓声が教室内に響く。毎日飽きもせず、クラスの女子生徒&校内の女子生徒は月国にモーションをかけていた。
(…笑顔を振りまくのも飽きたな───ウザったい。大体…、対して美しくもない庶民が…僕に話しかけるなよ…穢らわしい。)
内心は黒く、ドロドロとしていた角野崎 月国。
その整った凛々しい顔からは想像もつかないくらいの腹黒さを秘めていたのだ。
「阿古野く~ん!!待ってよぉ~!!今日こそ一緒にお昼ご飯食べよーよ~」
「だから……俺に近付くな。」
(まだあの女子生徒には声をかけていなかったな……。後、無駄に秀才の阿古野 薫か…。ふ、…少しからかってやるか…)
「もし良かったら、僕と2人きりでランチしない?」
「え?」
「……」
月国が爽やかスマイルでこのみのハートを射止めようとしたが……
「───ごめん、今日は阿古野くんと食べるって決めてるから!」
「なっっっ………!!!?────」
ビシャシャーンッ!!!!と、月国は全身に雷を浴びたかのように身も心も痺れていた。
今までこのスマイルで射止められなかった者は居なかった───……だが……
(この女性はどうして……、僕に靡かないんだ?)
「あ、でも……もし良かったら一緒に食べる?。みんなで食べた方がもっと美味しいよね!。ね?、阿古野くん!」
(更に気遣いが出来る女神だと……!?)
「……知らん。」
「き、貴様!!阿古野 薫!!。この方に対して何たる無礼な態度を───」
「三角さん、別にこの間の事だったら気にしなくて良いから」
(さ……三角さんと言うのか…この美しい女性は……───!?この間の事とはなんだ!?!?)
「勿論その事もあるけど……、あたしが個人的に阿古野くんと仲良くなりたいの!!」
彼女の真っ直ぐで揺るぎのない思いは、自分に対してではなくても伝わってくるものがあった。
(…阿古野が羨ましいと、思うような日が来るとは……)
角野崎 月国────
人生で初の「恋」を見つけ、「愛」に目覚めた瞬間だった。
そして彼も、そこそこの先端を持っているが
何故か誰も気付かないでいた。