三:微睡みつつ
これからは12時頃に投稿をしていく予定なのでよろしくお願いします。
side:????
腹ガ減ッタ
動キタクナイ
我ニ全テヲヨコセ
アイツラガ妬マシイ
全テアイツラノセイダ
全テノ者ヨ我ヲ愛セヨ
我コソ天ニ認メラレタ者
『起きなさい』
ギュオオ゛オォオウオ゛オオウゥオォオオ゛オオゥオオ゛オオゥオオ
怪物は長い咆哮を上げる。
ドス黒く、ところどころに見る者を欲に堕とす金色の斑点がある龍のような体を持ち、悪魔のような異常に発達した四肢を付け、血の色をした骨でできた翼とそれの全てを吸い込む虚空の膜を付けている。
見せつけるかのような牙と爪はいずれも灰白色で、触れたものは否が応でも引き裂かれる鋭利さと破壊する質量を持つ。
その怪物は竜の顔をしていて、右目には蝿、左目には髑髏の印が刻まれている。
『エントリー個体識別システム起動』
『loading……loading……loading……読み込みが完了しました』
『個体識別番号77645の生命活動の再活性化を確認』
『個体識別番号77645の『ラストサバイバル』へのエントリー申請を受理』
『個体識別番号77645の名称付けを行います』
『今から個体識別番号77645の名称を「セヴン・デッドリー・シンス」へ設定』
『「セヴン・デッドリー・シンス」の情報を開示します』
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〜〜〜〜≡≡≡≡≡≡≡≡「 セヴン・デッドリー・シンスの能力」≡≡≡≡≡≡≡≡ 〜〜〜〜
名称:セヴン・デッドリー・シンス 種族:怪異種シンスドラゴン 職業:変異種
無抵抗時最大生命力 ライフ:0 (+999999)or(ー999999) / (+999999)or(ー999999)
成長値 レベル:Lv . 1
保有特典数 ポイント:0pt
能力値:
*瞬間最高物理出力 パワー:999999 (+999999)
*5秒継続最高物理防御 ガード:999999 (+999999)
*瞬間最高加速 スピード:666666 (+333333)
*最高活動時最長持続兼最大保有体力 スタミナ:∞
*戦闘時武器親和度 ウェポンコネクション:0
*瞬間最高魔法出力 マジックパワー:999999 (+999999)
*5秒継続最高抗魔法力 マジックガード:999999 (+999999)
*最高活動時最長持続兼最大保有魔媒素量 マジックスタミナ:∞
*無抵抗時最高魔法親和度 マジックコネクション:0
*活動時最高幸運 ラッキー:0
*成長率 アップグレード:999999 (+999999)
*累積能力値相対化段位 総合ステータス段位:EXー2位/5体中
発動可能魔法一覧 スキル:戦闘系ー 「対象間障害物貫通」 、「戦闘成長Ⅰ」、
「吸収成長」、
「『EX』ワープダークブレス」/計4個
生産系ー 「エネルギー停止結界」 /計1個
支援系ー 「悪魔の取引」、「枯れ散る回復」、
「憤怒強化」、「傲慢強化」/計4個
操作系ー 「金色の神経操作」、「罪竜領域」、
「怠惰(極)」 /計3個
個人能力値:*発現特異魔法名称 ユニークスキル:「即死眼」、「腐食眼」、
「時空把握」
(「(未発現)虚空纏」)
(「(未発現)即時再生」)
*進歩可能進歩先ー[なし]
*称号ー《大罪王》、《ラストサバイバル参加者》、《変異種》
*総使用器ー なし
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『セヴン・デッドリー・シンスの『ラストサバイバル』へのエントリー申請の受諾を確認しました』
『ダンジョンが破壊される恐れはないものの、損傷の可能性があるため、ダンジョン近くに怪異湧き場を設置』
『セヴン・デッドリー・シンスを移転させました』
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「ここが雲穿塔か……」
ロベリア輝石を探しにきた俺だが、まず雲穿塔のその姿に畏怖のような感情を抱いてしまう。
しかしいつまでもそうしているわけにはいかないため、500ベルク(1ベルク約20円)も奮発して手に入れた「{新人向け}採掘用ツルハシ:耐久値1500」を手に、いざ橋を渡る(この人は出落品の取得の仕方を知らない)。
第一階層に足を踏み入れてから、俺はまず第一階層の構造を見る。
辺りの観察は癖っていうか昔からずっとしてきたことだから体に身についている。
ぱっと見円形闘技場に天井と照明が着いた感じで、大体半径50ジェン(1ジェン約2.5メートル)もある。
また、照明は銀色松明なのだが、これが想像以上に明るい。
そして最も重要なところ、それはちょうどこの層だけで1つの部屋になっていて、中心には怪異サピエンが約5体居座っていることだろう。おそらくこいつらを倒せば上の層に行ける。こういうのは感覚で解る。
あともうひとつ注意点がある。こいつらの周りには触ると壊れる結界があり、触れると怪異に気づかれる仕組みになっているのだ。結界と怪異は30ジェンぴったり離れている。
俺がそれに気づいた瞬間、
『熟練度が一定に達したことにより、スキル「看破」を取得しました』
と、機械のような音声が頭の中にあり響いた。
なるほど、これがスキル取得の時の感覚なのか。
まあなんか使えそうだなーとは思うけど俺は別にこれをいつも行っていたわけだから、別にわざわざこんなのを使う必要性を感じない。
でも常時発動らしいというのが感覚でわかるからこのまま放っておくか。
「さて、まずはこいつらを倒さないといけないみたいだな。覚悟しとけよ。お前ら」
俺は結界に自ら触れに行ってわざと壊す。
その瞬間サピエンたちが襲いかかってくるが、そいつらが陽動であることは横を走っている奴を見ればわかる。
正面のサピエンが3ジェンもの跳躍力を見せて飛びかかってくるが、俺はツルハシをしまってその真下に「黎明」をスタンバイさせてサピエンを待つ。
サピエンが爪のついた腕を振るう瞬間、常時発動の「看破」が弱点を把握、「黎明」の位置を調整してそのまま振り上げる。このサピエンはザシュッと顎を貫かれて絶命する。
息を吐く暇もなくすぐ後ろのサピエンがスキルを発動。「看破」で「砂生成」であることを認識。
このサピエンに「黎明」をブンと投げつけながら「念動Ⅰ」で調整しつつ頭を貫いて絶命させる。
瞬間、砂がかけられて目を瞑るが、サピエン2体が俺を挟み撃ちにしているのは分かるので、「呼び戻し」を発動。「黎明」を回収し、前方のサピエンに向かって突っ込む。
それにより片方のサピエンは絶命。
すぐさま頭を下げて後ろから振りかぶられた腕を避け、後ろを向いて刀を斜め上に振り上げる。そのまま前に着地する。
シュパッと骨肉を断った感覚がダイレクトに手に伝わったので、そのままサピエンが絶叫する前に心臓を一突きにして絶命させる。
「看破」が発動、右のサピエンがスキル「石の鏃生成」を発動したのを確認。
目はまださっきの砂が目に入って見えないものの、「俊足Ⅰ」を発動させ、右のサピエンの投げた石の鏃をヒョイと避ける。
続いて「やる気」を発動。
「やる気」を発動したことにより全身体能力が上がったのがわかる。
再び「俊足Ⅰ」を発動。左のサピエンに向かって「黎明」を再びブンと投げる。「看破」発動。絶命を確認。
これで狙い通りの場所に最後のサピエンがスタンバイしてくれている。
「残念でしたー。そこには俺が仕掛けた地雷があるんだぜ」
と、ちょっとキザなセリフとドォオオオオンという爆発音をバックに俺は「黎明」をしまってツルハシを取り出す。
後ろに顔を向けると、爆散した怪異の残骸が転がっていた。
「辺り一帯全部血溜まりってのもキツイな。次からは最小限の攻撃で仕留められるように精進するか。もう勘が鈍ってるな。というか、「看破」って意外と使えるもんだなあ」
戦闘を振り返りつつしばらく待つと、怪異の残骸が地面に吸い込まれた。その場には怪異の残した出落品、黒油が入った小瓶2つと銀のマッチ1本、木の棒2本が残ったため、それを鞄に入れる。
知らない間に「黎明」は綺麗になっていた。
「へえ、上層に行く階段があるのか」
これって死んだ怪異の残骸の魔媒素を使ってやがるな。一定時間したら消えるタイプか。
残念ながらロベリア輝石は第三階層の怪異からドロップするとしか書かれてなかったため、とりあえず第二階層へ向かおう。これで戦闘の勘もある程度は取り戻せただろうしな。
第二階層といっても怪異の種類が変わるわけではなく、ただサピエンが3体になった代わりに「鉄のスコップ」と「木の胸当て」、「木仕込みの腰巻き」を装備している。
「とりま俺の糧になれ!」
今度は数が少ないため、ヘイト寄せの鈴を真ん中に設置。
サピエンが寄ってくると同時に「やる気」、「俊足Ⅰ」、「『EX』目眩し斬」を連続で発動、そのままサピエンの首を掻っ切る。
1拍置いてザーッと血が首から噴く。
「ふむふむ、今回は「黎明」に血が付いてないな。やっぱスキルってすげー」
そこで、ふと首を傾げる。
「あれ?スキルなのか?まあ、いいか」
俺は戦いを振り返りつつ自分の体を調べる。
「俺の金髪に血はついてないと、中肉中背の体付きも今まで通り……。もう少し身長欲しいなあ」
そして肝心の出落品は……うぅむ、ビミョー。なんかよう分からん石が10個出てきた。
これは綺麗ではあるけどロベリア輝石なのか?
おっ。そういえば黒油があったな。
これを鞄に入ってる予備のタオルに染み込ませ、木の棒に巻きつけて銀のマッチで火を灯す。
銀のマッチって無限に使い続けられるみたいだな。
無事、青みのかかった白色の光を生み出す黒光の松明を完成させた俺は、それを出落品の1つに近づけると、明るく光りながら石は熱を帯び始めたので、銀のマッチの後ろで擦って火を消す。
「あれ?ロベリア輝石って発光したっけ?まあいいや。とりあえずもう18コク(1日24コク)だから帰るか。結局ツルハシ使わなかったな。」
雲穿塔って実は1人かパーティ認定者しか入れない。
そして、それぞれが別の異空間に飛ばされているっていうのを研究で証明された。
なのでそれぞれが繋がってる雲穿塔で採れるものが違うのだ。
雲穿塔の近くには挑戦者ギルドというものがあり、これは雲穿塔と同時に出現したのだが、受付員に採集した物や出落品を提出すると、採集したものに応じてお金がもらえ、資源はその人が住んでいる国へ送られるという。
あるいは依頼なるものも出され、依頼品に見合ったお金を出すことで挑戦者が依頼を受け、欲しいものを手に入れられる。また、国からも依頼が定期的に入る。
普通の挑戦者ならこの手の依頼をいくつもこなしつつ上層を目指す。お金の入りがいいからだ。
が、それはあくまで普通の挑戦者の場合である。
「よしっ。依頼で体も慣らしたし、明日から最上階目指そう!強いやついるか知らん」
こういう愚か者もいるわけである。
雲穿塔の各階層にある回帰ボタンを押して地上に戻ってきた俺は、挑戦者ギルドと書かれた看板を付けた立派な建物の中に入る。
受付の人に出落品を提出すると
「お〜。すごいですね。これは最上級ロベリア輝石ですよ。はい、依頼達成です。こちらが報酬の500ベルクに、品質分の100ベルクを追加した600ベルクになります」
と、少し驚かれた。
「ありがとうございます」
と返して俺は飛空車に乗り込む。どうした?俺は20歳だから飛空車の運転免許もう取ってるんだぞ。
第三浮遊島ブーリンングにある俺の家に辿り着いた。
これからのプランを立てる。ちなみに雲穿塔では腹が空かないのだ。
「明日から本格的に雲穿塔に登るから、とりあえず鞄に詰め込むものを決めよう。と、その前に解析玉で今の能力を確かめよう。今日はスキル使いすぎたな…。反省だな。回復するとはいえ、回復できない例外もあるかもしれないからな」
今日は初めての雲穿塔なので、精神的に疲れた。まだ20コクなのにもう微睡みつつある。明日からしばらく家に帰れないのは厳しいな。まあ自分で決めたことだし、しょうがない。
早く寝たいから早速解析玉を使うとしよう。
……もっと簡単に自分のことが知りたいと思うのは高望みだろうか。
ご指摘や作者への応援があれば喜んで承ります。