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十八:七草が


 右手の甲のすぐ上に金属の塊が現れる。

 瞬間、金属が皮膚の中に潜り込…………む前に「電光石火(黒)」発動でその場から離脱。さらに、隠蔽之魔術シークレットスキル遊場ゲーム創生クリエイト」発動で遊場ゲームに張られた結界を操作し、金属の塊と右手の甲を遮断。

 この結界を操作する方法は1つ前の戦いで覚えた。



 左腕はまだ「修復」で修復したばかりの状態だからなんとも厳しい。まだ感覚が通り切れてない。GF46-Bは片腕でどうにかできるとは思ったが、流石に今回はどうにもできなさそうだ。



 「図鑑」発動。サユノマサ召喚。

 「図鑑」発動。レンジュア召喚。

 「図鑑」発動。GF46-B召喚。



「っよし!」

 GF46-Bが召喚できるかどうかまだ確認してなかったからな。ちょっと不安だったんだが、成功してよかった。



「おうおう、吾輩こそが24クリエイツにして守護を司る守護者ガーディアン、GF46-Bだ!よろしくだぜ、新たな主人よ。」

「主が私を戦いで呼び出すなどよほど状況が悪いのか?初めてだと思うのだが」

「おっしゃ、我の初陣であるぞ!」



「キュイキュイっっ(早く準備して)!!」

「今回の敵はやばいぜ。かなり」



「「「あ、はい」」」



 先ほどの金属の塊からは大量の棘がついた触手が出ているが、「遊場ゲーム創生クリエイト」のおかげでここまでは到達できてない。



 そして、ニゲルの能力だが、こいつはその場に応じて結界を創り出し、それを操作できる。先ほどまさに俺に向かって来た攻撃を防いでくれた。

 また、本人(獣?)は元からユニークスキルを持っているはずなので、それも結界関連のことだろう(これはまだ確認できてない)。



 さて、能力の解説はここまでにして()の迎撃と行こうじゃないか。



 彼の者は、紺色の外套と木の枝が捩れたような杖を所持し、顔には髑髏の仮面を被り、杖を所持していない方の手には…………白い物体が浮いている。



 彼の者は喋り出す。いや、独特な節の詩を紡ぎだす。

「それは終」

「光り輝く」

「古き星のなりの果て」



「星も終わりを迎える」 「終焉スーパーノヴァ爆発エクスプロージョン



ドゴォーーーーーーーーーーーーン



 強烈な光が襲い、直後に大爆発が起きる。

「まだ攻撃が来るぞっ!」

「キュゥイ(らじゃ)!」



謎の人物は再び詩を紡ぐ。

「それは黒でしかなく」

「それは虚でしかなく」

「それは全てを吸い込む」

先ほどの爆発の残骸が一点に集まってゆく。



「顕現せよ 重力の究極」 「重黒穴ブラックホール



 ヒュぅうっゥウウウオオオ ゴゴゴゴゴゴゴごごごご



 1歩先も見通せない闇の怪物の口が現れる。そしてそれは、()()()飲み込む。



 「終焉スーパーノヴァ爆発エクスプロージョン」によってついた()によって脆くなっていた「遊場ゲーム創生クリエイト」の結界が、さらに崩れてゆく、いや、吸い込まれてゆく。



 怪物の口は形を変え、謎の人物の外套の上から全身を覆う。

 それは全ての攻撃も通さない、というより、()()()()()()()()()()最強の鎧と化す。



「……主よ」

「サユノマサか?お前ならあれをどうにかできるか?」

「違う、もはやそんなレベルではない。あれは私と同等かそれ以上の力を持っている」

「ってことはあれはEXランク相当なのか……」



「吾輩、あれに吸い込まれたのになんで生きているんだろ」

「キュッ(今はそんなこと考えない)!」

「はい、すみません……」



「あれは我の前の主人よりも強いぜ。なるほど、かなりやばいな」



「………………」

「主、どうした?」



「はっはっはっはっはっは!最高だ!!」

「どうした主人、怖がってるのかは知らんが、今は逃げる方法を探さないと……」



「何を言っている?強敵が目の前にいるんだぞ、()()が。戦うしかないだろ!」



「は?」

「そういえば主は戦闘狂バトルジャンキーだったな……」

「吾輩何も知らされてないのだが」

「キュキュきゅ(ご主人様かっこいい)!」



 よし!いくぞ!久しぶりに血わき肉踊る戦いができそうだぜ!!

 「挑戦権」発動。格上であることを確認。状況を参照した結果、能力を5倍にする。



「それすらも糧として見せる。とりま俺の糧となれ!」


⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥


side:セヴン・デッドリー・シンス


 さて、塵はチリ捨てでゴミ箱に入れるとして、あの少女、かなりの使い手だな。

 修練時間は僕よりも遥かに長く、ただし僕よりも弱い奴らはいくらでも見たことがある。

 この女の子もそうだ。だが、その練りが美しい。この子は近いうちに開花する。それだけなら僕を大きく上回るだろう。



「こんな能力を無駄にするなんて、よっぽどジウノ帝国は見る目がないようだ」



 さて、さっきなんか「殺されて当たり前」みたいな言葉を聞いたんだよね。

 親の八光り(こんな感じの言葉だったはずなんだけど上手く思い出せない)?みたいなものかと思ったけど、ようやく気がついた。



 僕とこの女の子は、ジウノ帝国において一切の権利を保有しない。だから、どんな扱いを受けようとも文句を言ってはいけず、それでいて逆らえば即座に殺される。



 さて、これで

「魔王ヲ殺ス理由ガデキタネ、アハハハハ!」



 渡りに船だ。ついでにこの国ごと滅ぼしてみるのもいいかもしれない。

 まあ、まずはこの女の子をどうかしなければ。

 僕の推測だとこの女の子はさっきのリーダー(笑)の奴隷かその家の奴隷の娘なんだろう。となると親はいないはずだ。



 おっと、まずは「人化」で人に戻ろう。

 何事もまずは話し合いからだ。



 そういえばこの女の子の髪は黒色だな。

 僕と同じ色だ。



 「怠惰(極)」解除。さて、起きるまで待つか。




〜1日後〜


「ん……いきてる?」

「あ、ようやく起きた?おはよう」



「キャアアアアアアアアア」



 バタん



「あれ、気絶しちゃった。僕の顔になんかついてたのかな?」

 どうしたんだろ。これでも顔は整ってる方だとは思うんだけど。

 なんかバケモノを見るかのような目で見つめられたんだが。



……この子最初から怯えてたよね?僕が知らない獣種だからだな。きっとそうに違いない!


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side:????


「ん……いきてる?」



 私は目を開けた。

 目に眩しい光が飛び込んでくる。



 もしかしてにげきれたのかな?



 なんて淡い期待を持ちながら私は目を完全に開いた。

 すると、そこには……バケモノがいた



 そのバケモノはなんと、

「あ、ようやく起きた?おはよう」

声をかけにきたのだ。



 あれは一目見ればわかる。身体中に悪がひしめき合っている。

 身体中がどろどろの悪意で満たされている。



 やばいやばいやばい



「キャアアアアアアアアア」



 私は悲鳴をあげ、そのまま倒れてしまった。

 まあいいや。どうせ生きたまま死ぬよりはマシなんだし。



 そう思いながら私の思考はゆっくりと闇に沈んでいった。



 そう。

 私は死ぬと思っていた。

 意識がゆっくりと覚醒してゆく。



 わたしはしんだはず、じゃあ、ここは

「しんだあとのせかい……?」

「んなわけないでしょー。急に倒れちゃって。ま、怪我がなくてよかった」



「ヒっ。いやだ、わたしをころさないで。まだしにたくない」

「いや殺さないから、なんでそんな物騒なことを」



「バケモノ!いや!ちかづかないで!だれかたすけて!」

「お兄さんすごくショックなんだけど……」



 あ、どうしよう。にげなきゃ。

 どこににげよう。どこかとおくのばしょへ。

 どうやってにげよう。おかねはどうしよう。



 とにかく、にげなきゃ。

「お腹空いてるでしょ、ガリガリだよー。僕が取ってきた木の実、食べる?」



 にげな……「グゥ〜」

 おなかへった。

 そういえば2日水以外何も口にしてないことを思い出した。



 いっこだけ、いっこだけ、そう強く念じながらそっと手を伸ばし……木の実を口に入れる。

「〜〜!」

「美味しいでしょ。これ僕が一番好きな木の実でモリリンゴっていうらしいよ」

「モリリンゴ……もういっこ」

「おっ?気に入った?もう一個あげちゃう」



 1個だけって決めたのに、その魅力に抗えず、私は再び禁断の果実に手を伸ばしてしまう。

 もしかしていがいといい、けものなのかな……と思いつつ、次々にモリリンゴを口に入れてゆく。



「忙しないなぁ〜、はい」

「ん……もぐもぐもぐもぐ」

 うま〜い。生まれて初めてこんな美味しいもの食べた……。



「うん。とりあえずこれでよし……どうした?」

 お母さんが言ってた。いいことをしてくれた人には「ありがとう」って言わなくちゃいけない。

 だから私も言う。私を助けてくれて

「ありがとう」



 あれ、急に眠気が……?

「意外と可愛い子だなあ。というか、体に疲労が溜まってるんだから安静にしとかないといけないこと言い忘れてた……」



 再び私の意識は闇に包まれて、でも、今回の闇は、とても安心した。



「くかー」

「庇護欲っていうのかな?こういうの。まさか僕がこんなことを感じるなんて……」



 彼らの周りには春の七草と呼ばれる草が花を咲かせていた。



 まだ、穏やかだった。


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