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十三:芽が出でて


「今日って雲穿塔に入ってから何日目だっけ」

「ふむ、3日目の1コクだな。主よ、一旦休むのか?」

「う〜ん。そうしようか」



 でもなあ、休憩はできれば最後の強敵ラスボスの直前がいいな。

「やっぱ先に第九十九階層攻略してから休憩しよう」

「わかった」



 そういえば

「ニゲルってどんな能力が使えるんだろうな……」

「キュキュイ?」

「お前どんな能力使えんの?」

「ピキュッ?」

「わからんかあ〜」



 最上階層からやばい気配をビンビン感じるぜ。

 流石に消耗したまま行きたくはない。

 あと、やっぱ俺1人の力だとこの塔攻略は難しいか……。



 パシッ



 いよっし!

 まずは目の前こいつを片付けてからだ。

 上の階層とか攻略とかあとで考えよう。



 さて、こいつはどんなやつなのかな?



 感じた感情はただ一つ。今までの戦闘で研ぎ澄まされた俺の感覚が告げる。

 ()()()()()()()()()()()



 目の前にいるのは目を閉じたまま足を組んでいる老猿がいる。

 その右手にはマゼンタ、シアン、イエローの数珠玉それぞれ3個が握られていて、左手には黒と白の、しかしどちらも濁った色をした布を人差し指と親指に巻いている。

 何より、その怪異モンスターから発せられる異様な気配は只者ではないことを伝えてくる。



 「鑑定」発動。


_____________________________________

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


名称:なし

種族:怪異モンスター種スペリオルサピエン

職業:特異ユニーク


詳細・・・・・・サピエンの最終進化先。云百年、云千年生きながらえたサピエンは世界を知り、さらなる高みを無意識に目指す。その両手にはスキルが一時的に使えるようになる玉と、擦ることによって効果を発揮する2枚の布が握られている。相手よりも()()()()()()()「知能更新」、相手に強いと感じさせる「雰囲気」、相手の作戦を()()猿眼モンキーアイ」を取得している。また、特異ユニークなので身体能力2倍。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

_____________________________________



「」「「「 「「「「 」」「」「 「」「 「」「「 「」「 「」「「 「」」 」」「 「」「「「 」「」」「 」」 「「」 」「 「「 「」「



「は?」



」」「「 」  」」」」 「「」「「 」「「「 「「 「」「「 「「 「」」「 」「 」「」 「「「 「「「「 「」「「



」「「」 」」「」」 」」 「」



」「「「 」」「」「 「「 」「「「」 」「」」「 」」」「 「「



 結界が壊れた……だと!?



 今までは怪異モンスターから動き出すことはなかった。

 もちろん結界を壊すところも見たことはない。

 さらに、()()()()()()姿()()()()()()()()()()()()()()()()()

 つまり、俺よりも早く反応できる。



「「雰囲気」っていうスキルだっけか?そんなん持ってなくてもお前は十分強者だよ」



」「「 」「「「」 」」」」 「「」「「 」「「「 「「 「「」「「 」」「」「 「」「」」 「「」 」「」」 「「」「「 」「「「」 「」「」」 「」「「「 」」」」 「「」



 ん?

「もしかしてお前、自我を持っているのか……?」



 やばい、本格的にやばくなってきた。

 自我を持つ、つまり、人間に対する()()()()()



「」「「「 「「「「 」」「」「 」「「「 」「」 」」「」「 」「」「 「」「「 「」「」」 」「」」「 「「」」 「」「「 「「」」 「「」



 笑っている。

 まるで遊び道具を見つけた子供のように純粋で、

まるで潰しがいのある虫を見つけた子供のように純粋な



()()



をその目にたたえている。



「ああ、いいさ。お前くらい、俺1人で倒して見せる!」



 ここは第九十九階層。



 最上階の1歩手前。



 挑戦者が塔を攻略することを阻止するための、最後から2番目の砦。



 もちろん、()()()


⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥


side:????


 少女は泣いていた。

 彼女の体は泥に塗れ、身体中にあざができ、血が滲んでいる。



「おーい。あの()()()()()()()()見つけたぞー」



 きた



 自分をこんなにしたやつらがくる。



 にげなきゃ



 せっかく見つけた隠れ家を追われてしまう。



「今度は逃さないからな〜?」



 ニタニタ笑いながら少年達が迫ってくる。

 ほら、もうめのまえに……めのまえに?



「つ〜か〜ま〜え〜た」



 いやだ!いやだ!いやだ!



「喚くんじゃない。この猿が。いや害()が」



 ……もうにげられない

 わたしにはちからがない

 あいしてくれるひともない

 もうなにものこってない


「ははっ、今日こんなことがあってさー」

 どガッ



「そうそう、嫌な奴がいてね〜」

 ボコっ



「そうだな。嫌なことは全部お前のせいにしてしまえばいいんだ」

 どが、ぼこ、どこ



 殴られ、蹴られるたびに身体中から悲鳴が上がる。



 彼女は悟った。

 もう逃げられない。

 何からも逃げられない。



 もういいや

 かぞくすらいなくなったんだから



 生きる気力がない。

 こんなことになるくらいなら逃げなきゃよかったと思い始めている。



 ああ、でも、にげなくてもおなじだよね

 彼女は脱力し始める。

 もうらくになっていいよね……



「おい、簡単に諦めるなよ。()()()()()がないじゃあないか」

「おらっ、おらっ、おらっ。早く泣けよ、で、みっともなく叫べよ。どうせ俺たちしかいないんだからなあ」



 なんでいきられないの?なんでしねないの?



 でも、だれにもめいわくをかけなくてもいいからいっか、と、最早彼女は考えるのをやめた。



「はぁ〜。後始末面倒だしぃ、殺しちゃおーぜ」

「そうだな。代わりなんていくらでもきくからな」



 その時に思ったのは、あっようやくしねる、ということだけだった。



「じゃあなぁ、くたばりぞこないの害蟲さん」

「わざわざ逃げ場を用意してやったのを感謝することだな。罠に釣られたとも知らずに」



 目の前には大きな石を掲げた、少年達のリーダーがいる。

 彼女の人生はここで終わる。



 もう死ねるのに何故だろう。



 ぃゃ



 心の底には生きたいという気持ちが潜んでいる。



 いやだ!



 どんどん生に執着してゆく。



 いやだ!いやだ!いや……だ?



「君達?んー、これはどういう状況なのかなぁ」



 そこには黒い衣服を纏い、怪訝そうな顔で首を傾げる獣種と思われる青年、いや、()()()()がいた。



 彼女の人生はここで終わる()()()()()


⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥


side:セヴン・デッドリー・シンス


 さて、「人化」にもようやく慣れてきたことだし、あの泣いてるのが誰なのか確認してこようか。



 草を掻き分けてある程度歩くと(といっても傍から見たら猛ダッシュよりも速いが)、泥が身体中に付着した少女がいた。いや、あった。



 最早周りの少年達は彼女のことを生き物として扱ってない。



「あの女の子はまだ生きたいって思ってる表情だなあ。



 そう、何度も怪異モンスターを殺してきた僕にとって相手の表情を読み取るのは簡単だ。

 もちろん怪異モンスターにも感情はある。

 そうじゃなかったら脅威が下がる。



 というわけで僕はあれを助けようと思う。

 弱いものは助けることにしたからね!



 ただ、厄介だなあ。

 あれって子供だけであんなことできないからね。

 どうせ親の権力なんでしょ。

 意味知らないけど。



 まあなんとかなるとは思ってる。

「君達?んー、これはどういう状況なのかなぁ」



 とりあえず声だけ掛けとこうか。

 さて、どんな反応をするのかがみものだねぇ。

 ここで親の話がうんちゃらかんちゃらとか話し始めたらしばき倒そ。



 少年の1人が応えた

「あ?当たり前のことをしてるだけだ。余所者は突っ込むな」



 あー。予想の遥か斜めを向いた答えが返ってきた。



 このまま見捨てるのも不憫だし、女の子から後で話を聞くとして、

「目の前の女の子いじめるのは当たり前じゃないと思うけどなぁ」

「は?害蟲は駆除するだけだろ。最後に俺たちが遊んであげてるんだよ。()()()()()()()()()



 おうふ。

 流石にそんな返しは想像してなかったよ……。



 ジウノ帝国ってこんな腐敗してるのかなあ。

 これで魔王を吸収する言い訳ができた。やったね。



 にしても迷うなあ。

 どうやって()()しようか。



「ふーん。そういうのには興味ないけど、とりあえずその子がさっき泣いてたから解放してもらうよ」



「うわっ、英雄気取りさんだ」



 ぶちっ



「あ゛?なんか言ったか?」

 よし、とりあえず殴るとしようか。「人化」一部解除、指定両腕。

 お前ら、許さんからな。


モールス信号の・を「、ーを」に置き換えてみました。

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