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十二:緑が香る季節なり


side:セヴン・デッドリー・シンス


 オ久シブリ、ミナサン。

 セヴン・デッドリー・シンスダ。



「おっほん。モゴモゴ」

 うん、やっぱりこっちの方が喋りやすいなあ。



 さて、話をしよう。

 僕は今ジウノ帝国へ向かっている。

 そう、魔王のいるところだ。

 まあ、強くなるとか言ったけど、準備なんて1日もかからない。

 ひたすら狩って狩って狩りまくるだけだからね。



 うん、とりあえずレベルは10000まで到達した。

 だから行くことにしたんだけど、ただ湧き出した怪異モンスターが変なところに逃げちゃったら良くないからね。

 だから「罪竜領域」は維持したままにして、そのままジウノ帝国に直行することにしたんだ。



「ふぅ〜、ようやく着きそうだね。まさか10ヒンもかかるとは」



 そう、ドラゴンの僕でも5ヒンもかかったのだ。

 そうだねえ、僕は大体毎ミョウ900ジェンもの速さを出せる。

 光の速さの3%くらいかな?



 それでも5ヒンもかかったのだ。

 いやぁ、意外と遠かったな。



 さて魔王はどこかな〜。

 ん?誰かの泣き声がする。



 僕は別にそれまで悪逆非道じゃないからね。

 えっ?あの人間を殺しちゃったことはどうなのかって?



 いや、あれはまだ外の世界のことをよく知らなかったもんだからさ、勘違いしちゃったんだよ。

 あの後あれが何なのかちょっと取得したスキルで調べてみたら人間種ってことがわかってさ、流石に手を出すのはやめることにした。



 ま、獣種なら大丈夫だろう。



 の前に、まずはこの泣き声の主を探さないと。

 人化したまま行こう。

 ドラゴンは怖がられることが多いからね。あとこの姿気に入ってるし。



 一応困ってる人は助ける主義にしたんだよ。

 その方が便利そうだし。



 でも、流石にこの時の出会いが僕の運命を変えることになるなど、僕は思いもしなかった。



 そろそろ緑が香る季節になってくる。


⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥∇⊥


「まず相手に触れていることがユニークスキル「狼虎痢」の発動条件だったっけ?」

 俺は「黎明」を手にしたままボソリと呟く。



 どこからどこまでが接触なんだろうね。

 難しいところだが、おそらく俺が直接相手に触れないと発動しないのだろう。

 そうじゃないと使い勝手が良すぎる。



 さて、隠蔽之魔術シークレットスキル遊場ゲーム創生クリエイト」を発動している状態であれば、相手の動きは全て把握できる。



 よって、俺は8歩前に出て、1歩後ろに下がれば良い。

 ただし高速で。



 もし、下がっていなかったら、



ぶおん



「あっぶねー。これ後ろに体引いてなかったら絶対お亡くなりだったぜ」


 今のやつに当たる。

 まあ当たる訳ないし、あとこれで相手の正面に陣取ったぜ。



 さて「石火Ⅸ」を纏って、「黎明」で切り掛かる。



 相手に触れた瞬間、ユニークスキル「虎狼痢」発動。



 しかし、()()

 これが何を意味しているのか。

 ()()()()()()()()()()()()()()がわかった。



「やっべ、動けねえ」



 「看破」発動。相手のユニークスキル「禁手」発動を確認。



 くそ、「操作返し」が対抗できてない。「状態異常耐性」が頑張ってくれてるようだが。

 まあユニークスキルと普通のスキルの違いだ。

 ここはまず「虎狼痢」発動を考えないといけない。



 ①相手に近づく

 ②相手に触れる

 ③離れて様子を見る



 とりあえず②までできてれば発動するが、さっきなんかレンジュアだっけ?が翼が生えた似非巨人を吸収したところを見たんだ……。

 これ近づくこと自体が難しいな。



 まあ、レベルもかなり上がった訳だからジャンプするだけなら別に問題はないんだけど、足場がない。

 「空間生成」を合成させたのは悪手だったか?



 はあ。ぐだぐだ言っていても結局はこいつを倒すしかない。



 「石火Ⅸ」を発動し、レンジュアの頭上に大量の分身生成。

 ただし、質量は持たせない。



 あいつが上を向いた瞬間、全ての座標を完璧に揃えた上で質量を持たせ、四次元となったことで相手の攻撃はすり抜ける。



 つまり今あいつは拳を前に突き出した状態で、俺の分身は全てあいつの頭上に待機していると。



 ここで1歩座標をずらすと、



どがぁあああああああん



 毎度恒例の大爆発だ。

 ただし、今のはあくまであいつ、似非巨神レンジュアを引き摺り下ろすためだ。



「その突き出た拳、めちゃくちゃ助かるわ」



 触れる。ユニークスキル「虎狼痢」発動。



ぐぎゃあギャグうぐぎゃぐあヴァヴァあっっヴァアああ!!!!!!



 部屋全体に絶叫が響く。

 体が痙攣し、嘔吐し、全身が苦痛を訴えているようだ。



 そして数ミョウ後、この巨神気取りは……息絶えた。

 本来なら一瞬で死ぬが、「白石」の効果ですぐには死ねなかったのだろう。



 今回の戦いでわかったことがある。

 これはおそらく最強の()()()()()だ。

 そして、状態()()()()状態に変えてしまう。

 そうでなければレンジュアはすぐ「白石」で回復してただろうからな。



「体力が常にめちゃくちゃ回復するレンジュアですら数ミョウで死ぬって……これすごすぎるだろ」



 さて、あと2だ。まあ、今まで戦ってきたやつらはある程度レベルを上げてから戦っているからそこまで苦戦はしてない。

 ただ、本当に勘なのだが、最上階のやつは全力出しても勝てないだろうから()()()に頼ることになる気がする。

 なぜニゲルなのかもわからない。



 そうだ、ニゲルについてわかったことがあって、あいつ、獣種なのに人化できないんだよな。



 普通、獣種なら人化できる。というか生まれた時から「人化」っていうスキルを持っている。

 獣種と人の関わりって、意外なところで深かったりするから獣種は6歳の時から人生の大半を人化して過ごす。



 だが、ニゲルは人化できないのだ。

 まあ、しょうがない。それは本当にしょうがない。

 別に俺がどうこうできる問題でもないし。



 あとそうだな、あのキタヒルビワは名称保有ネームドなのに召喚できなかったんだよな。

 もう一度確認してみるか。


_____________________________________

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


スキル名称:「図鑑」

スキル種類:生産系


スキル詳細・・・・・・今まで倒してきた敵、相手の中で、システムが強いと認識した者を記録する。ただいま記録されているのは「ヴァンエニサピエン(怪異モンスター種)」「ウィンディア『サユノマサ』(霊種)」「メモリア『ニゲル』(獣種)」「ヒト『キタヒルビワ』(人間種)」「カクゴ『レンジュア』(人間種)」。


「看破」による隠し情報開示・・・・・・このスキルの保有者が名称保有ネームド怪異モンスターを倒すと、自らの眷属として召喚可能(ただしキタヒルビワの召喚は不可能)。また、自らの眷属が縛られている場合、解放する。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

_____________________________________


 ん〜?やっぱり召喚不可能になってるなあ。



「主、終わったか」

「ああ、終わったぞ」

「ならどうしたのだ。眉間に皺が寄ってるぞ」

「いや、前に『キタヒルビワ』っていうサウザンドアモルフェスと戦っただろ?あいつがなんか召喚できない理由がわからなくてな」

「ふむ、あの不定形生物のことか」

「言い方……、まあ合ってるからいいんだけど」



「なら、その石が0になったらわかるのではないのか?その石もキタヒルビワってやつから落ちたのだろう」

「はっ、確かに。天才だな、サユノマサは」

「当たり前だ」



わしゃわしゃ



 意外と気持ちい。

「〜〜っ!?」



 さて、レンジュア召喚してみるか。

「無視するなっ。」



 でもカクゴ族って確か古の巨人の一族じゃなかったっけ。

 ってことは俺、かなりやばいやつを眷属に入れてしまったのでは……。



 この際、もう後は野となれ山となれだ!



 「図鑑」発動。レンジュア召喚。



 そこには、3ジェンの大男がいた。

 身体は純白の鎧で覆われていて、手には漆黒の盾と矛を持っている。

 鎧も武器も一眼見ただけでわかる業物で、武器は全て1ジェンを超えている。



「貴殿が新たな主人か。我は《カクゴ族の戦士》レンジュアだ。これからはよろしく頼むぜ」



 かっけー!

 すげー!



 こういうの憧れるよな。

「ん?新たな主人ってどういうことだ?」



 俺より前に支えてた主人って、名称保有ネームドって何かしらの事情抱えすぎだろ……。

 俺もそうだけど。

「我もそこまで覚えているわけではないのだが、前は確かカクゴ族の《不屈王》に支えていたはずだ」

「《不屈王》!?あの全土参確トライアングル戦争に参加したっていう!?ちなみにお前のランクはどうなんだ?」

「ランク?ああ、Zって言われたあれか?」



 こんな残酷なことって……。

 俺は頭を抱え込む。

「主は弱いわけではないんだけど、ランク的に一番弱いらしい」

「主人が?ありえんな」

「私もありえないと思うが本当のことらしい」



 まあ、俺が命じるまで戦いに参加しなけばいい。

 俺の眷属って全員何かしら事情があるらしいが、いつか知ってみたいものだな。



 さて、あと2階層あるわけだが。

 次の層はどんな奴がいるんだろう。

 ははっ、わくわくしてきたぜ。



『挑戦者の適正が雲穿塔を大幅に超えているため、()()()()()の進化を行います。Dptを1割消費します』

『許可が出ました』



『施行中』

『成功しました』



「よしっ、上あがろうぜ」

「うむ」

「そうだな」



 あるところに男がいた。

 彼には配偶者がいた。

 夫と妻は仲睦まじい夫婦として知られていた。

 夫婦に子供ができた。

 親はいつも元気に育ちなさいと言う。

 彼は親が鬱陶しくなった。

 そして彼は大人になった。

 彼女には配偶者がいた。

 妻と夫は仲睦まじい夫婦として知られていた。

 夫婦に子供ができた。

 親はいつも元気に育ちなさいと言う。

 彼女は親が鬱陶しくなった。

 そして



300アルク経った。

 彼は彼の子供として永遠に死なない。

 そしてちょうど300アルク目、彼は100歳だった。

 その時ばかりは子供も生まれず、彼はようやく死ねると思った。



 彼は300アルクしたいことをし尽くしたため、残りの生命の全てを魔法に注ぎ込んだ。

 魔法は魔術スキルではなく、魔法キセキである。

 彼は死ぬ間際、

「疲れた。寝たい」

 と呟く。



 かくして、彼は雲穿塔最後の強敵ラスボス……ではなく隠敵シークレットボスとなる。

 彼は自分が死んだわけではないと悟ってしまい、今日も生から解放してくれる者を求める。

 と、言われている。



「あと2階層、絶対に踏破してやる」

「うむ、主よ」

「ついてくぜ、主人」



 さあ、次はどんな相手がいるのかな?


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