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地獄の鬼自分の力を試す

洞窟での試練


次の依頼を受けた大嶽丸は、砦から少し離れた場所にある洞窟を目指していた。その洞窟には「ブラッドバット」と呼ばれるコウモリ型の魔物が棲みついており、周辺を通る旅人や商人を襲っているという。

「飛ぶ魔物か…少し厄介そうだな。」


洞窟に到着すると、冷たい風が彼の頬を撫で、内部からコウモリの羽ばたき音が聞こえてきた。洞窟の中は薄暗く、空気は湿っている。奥へ進むにつれ、ブラッドバットたちの影が次第にはっきりと見え始めた。


突如、大嶽丸を察知したブラッドバットたちが一斉に動き出した。鋭い鳴き声を上げながら、彼の周囲を素早く飛び回る。それは視界を遮り、攻撃の隙を与えないような動きだった。大嶽丸は棍棒を振り上げたが、ブラッドバットの動きはあまりにも速く、何度振っても届かなかった。


「このままでは埒が明かないか…」


彼は一旦攻撃の手を止め、冷静に状況を見つめ直した。ギルド嬢からは「魔法による攻撃が有効だ」と説明を受けていたが、自身にはこの世界の魔法に対する適性がないことを感じていた。周囲の動きに目を凝らしながらも、棍棒だけでこの相手に勝てるか自問自答する。


その時、大嶽丸の脳裏に、かつて平安の世で鬼として恐れられていた頃の記憶がよぎった。彼はその時、神通力を使い、敵を打ち滅ぼしていたことを思い出したのだ。特に「火の矢」を放ち、空を覆うように降らせていた場面が頭に浮かんだ。


「この力、まだ使えるのか…試してみる価値はありそうだ。」


彼は心を集中させ、その頃と同じように火の矢をイメージした。すると、彼の手のひらから熱が立ち昇り、まばゆい光が生まれた。次の瞬間、火の矢が実体を持ち、彼の手の中に出現した。


「やはり、この力は失われていない。」


彼はその火の矢を飛び回るブラッドバットに向けて放った。炎をまとった矢は凄まじい速さで魔物に命中し、瞬時に焼き尽くした。だが、討伐の証として魔物の体を持ち帰る必要があるため、次の矢は威力を抑え、対象を確実に仕留めるように調整した。矢を放つたびにブラッドバットは次々と落ち、彼の手には次第に討伐の証が増えていった。


「これで憂さ晴らしにもなったな。」


そう呟きながら、大嶽丸は討伐対象をすべて片付け、洞窟を後にした。


次なる依頼を受けるべく草原に向かった大嶽丸は、広がる緑の中を慎重に歩を進めていた。草原では「ウルフ」という群れで行動する狼型の魔物が出没しており、近隣の村を脅かしているという。しばらく歩いたところで、彼は周囲に広がる異様な気配を感じた。


「来たか。」


その瞬間、茂みから10匹のウルフが姿を現し、大嶽丸を囲むように取り囲んだ。低く唸り声を上げながら、一斉に彼を睨みつけている。


「数が多いな…だが問題ない。」


彼は棍棒を構えつつも、さらなる力を試すべく、雷のイメージを脳裏に浮かべた。すると、彼の手から青白い閃光がほとばしり、次第にその光は雷の形を成していった。


「雷もまだ扱えるようだな。」


彼は一瞬で雷を頭上に呼び起こし、その力をウルフたちに向けて解き放った。雷鳴とともに閃光が走り、数匹のウルフが一瞬で動きを止める。その後も手加減を意識しながら雷撃を放ち、ウルフたちを確実に仕留めていった。


最後の一撃で全てのウルフを倒し終えると、大嶽丸は討伐の証となる牙を回収しながら呟いた。

「今度は手加減できたな。」

 

砦に戻った大嶽丸は、討伐の証をギルドに持ち込み、ブラッドバットとウルフの依頼を同時に報告した。ギルド嬢は驚きの表情を浮かべながらも、その手際の良さと成果を称賛した。


「2件の依頼を同時に達成するなんて素晴らしいですね!これが報酬です。」


金貨とポイントを受け取った大嶽丸は、満足げに報酬を確認しつつ、この異世界での冒険者としての手応えを改めて感じていた。

「次はどんな相手が待っているか、楽しみだな。」


彼の視線は、ギルドの掲示板に貼られたさらなる依頼に向けられていていると突然背後から声をかけられた。

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