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お弁当のからあげが美味しすぎて胃袋を掴まれてしまった僕は、交際0日で結婚を申し込みました☆

作者: 梅花かえで

揚げたてアツアツの唐揚げを白ごはんと一緒に食べるのが何より幸せだった僕が、ある出来事をきっかけに一生一緒にいたい相手に出会えた奇跡の物語

「ピピッ」

アラームがお昼を告げると僕は足早に社員食堂へ向う。いつものように『唐揚げ定食』の食券を買い列に並ぶと、同期の山田に声をかけられる。

「お疲れ〜ってお前、また唐揚げ定食?飽きないね〜」

「ここの唐揚げは揚げたてを出してくれるから最高に美味いんだ!」

僕はいつも山田にここの唐揚げの魅力を力説するが、そんなもんかねぇ〜なんて言いながら蕎麦をすする。『お前こそ毎回蕎麦じゃんか!』なんて心の中で呟き熱々の唐揚げを頬張る。うん、今日の唐揚げも最高だ!やはり唐揚げは揚げたてに限る。薄衣のサクサクと肉汁のジューシーさが相まって食欲を掻き立てる。逸る気持ちを抑えごはんと唐揚げのバランスを考えながら、今日も定食を堪能する。

しかし最後の唐揚げを掴んだ瞬間、こともあろうか唐揚げが箸から逃げてそのまま床へ落ちてしまった。茶碗の中には、唐揚げ1つ分のごはんが切なく残っている。

あぁ、もう味噌汁も漬物も食べてしまっている。最後はごはんと唐揚げだと決めていたからだ。

肩を落とし落ち込む僕に、ひとりの女性が声を掛けてくれた。同僚の斉藤さんだ。

「私のお弁当の唐揚げで良ければ、おひとつどうぞ」

まるで天使のようだった。その優しさに甘えて唐揚げを頂く。一口食べると世界が変わった。

あれほど揚げたてが一番だと思っていたのに、この唐揚げは冷めているのに衣がサクサクで薄衣なのに味がしっかり、それでいて肉の旨味もしっかりと感じられる。あぁ、ごはんが進む。今までお弁当の唐揚げはいくつも食べてきたが残念な結果に終わることが多く、美味しいと思えるものに出会えたことはなかった。

「これ、斉藤さんが作ったの?」

僕が尋ねると

「うん…どうかな?」

と不安気に聞いてくる。

「美味しい、すごく美味しいよ。

今まで食べた唐揚げの中で1番美味しい!」

僕は夢中で答えていた。

彼女は安心した様子で、よかった〜と言いながら同僚のもとへ戻って行った。


午後の仕事中、彼女の唐揚げが頭から離れない。あの唐揚げ、揚げたてはどんな美味しさなんだろう…いや、あれはお弁当用に工夫された唐揚げなのか?

また食べたい…

出来れば毎日…いや、でもそれは…

頭の中でぐるぐると考えること数日。

気が付けば彼女を視線で追い、笑顔が素敵なところや丁寧に仕事する姿に胸が高鳴っていた。思えばあの時、声を掛けてくれた優しさに既に惹かれていたのかもしれない。



「僕と結婚してください」

一大決心して彼女に伝えた。結婚を前提に…と言うつもりが、心の深いところで望んでいたことが、言葉になって飛び出した。

恐る恐る顔を上げると、目を丸くしてきょとんとした表情の彼女が、小さくコクンと頷いた。



僕と彼女がその後どうなったのかは、また別のお話で。

彼女目線のお話『お弁当のからあげで彼の胃袋を掴むことに成功した私は、交際0日で結婚を申し込まれました☆』もよかったらご一読ください。

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