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スライスレモン

作者: マスヨーニ

スライスレモン


まだ愛とか恋とか知らない中学の頃の話である

その中学校は 団地に住んでいる家庭と農業を営む家庭が 一緒に学ぶ地域にあった


男の子には気になる女の子がいて そっと見つめたり目をそらしたり

そんなアイコンタクトで心が揺れ始め やがて会話するようになった 


男の子は無口で 通学中に今日は何を話そうか悩む様になった

しかしその悩みも だんだんと考える事すら楽しくなりだした

ある日 男の子は皮をむいたレモンの丸かじりが思ったより酸っぱくなく 美味しいと話した


女の子はタッパーに入れたスライスレモンを持ってくるようになった

砂糖の量を変えたり 蜂蜜を入れたりして男の子の好み味が近づけるようになった


学校のベランダから二人並んでスライスレモンを食べながら 校庭で練習している部員を見ながら いろいろな事を話すのが 放課後の日課になった

スライスレモンは甘酸っぱくて とてもおいしかった 

二人ともスポーツクラブには入っていないから スライスレモンが必要という訳ではなかった

そんなひと時が毎日続き 心が躍り楽しかった

その二人の姿は クラスの中でも話題になり始めた


ある日 掃除の時間に男の子は友達から教室の真ん中で大きな声で「女の子の名前を言い 付き合っているの? 好きなの?」って聞いた 

突然な事でパニックになり見栄もあり「あの女の子は田舎者だから嫌いだ」と 恥ずかしさもあり思わず言ってしまった 

友達は「え?」みたいな顔をした時 だだだだ~っと 女の子は走って教室から出ていった 

友達は男の子に「追いかけないの?」って聞いたが「なんで?」と言われた意味が分からなかった 


男の子は 優しさの温かみを感じていたが 時を重ねれば 二人の思いがどういう事か理解できる様になるだろう 優しさを裏切ってしまった あの時「好きだ」と言えない自分が情けないと気づくだろう 


女の子は 優しさが通じない人がいる事を知った 時を重ねれば 男は見栄やわがままの塊であることを知るだろう


今でも スライスレモンを見ると思い出す淡い記憶だ 


恋愛は 進行中でも振っても振られても 人を大きくする


昨日より素敵な明日に出来ますように





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