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第005話 案内


 俺が呪いの腕輪を装備して数日が経った。

 そして、色々な手続きが終わったらしく、明日から魔法学園なるものに通うことになった。

 そんなドキドキとワクワクな前日、魔法学園の校長先生であるグスタフ先生がウチにやってきて、何故か俺の部屋に両親と妹と共にいた。


 正直、この部屋に5人は狭い……って、こら、トウコ! ベッドの下を探るんじゃない!

 親と校長先生がいるんだぞ!


「せんせー、俺の部屋がどうかしたんです?」


 トウコの首根っこを掴むと、校長先生に聞いてみる。


「ええ。明日から学園に通ってもらいますが、今日は事前に学園の案内をしようと思っています」


 なるほど。

 確かに明日から通うというのに何も知らんからな。


「妹から転移で通うって聞いてますけど、どうするんです? 俺、転移魔法なんて使えないし、聞いたこともないですよ?」

「もちろんわかっています。ですので、アストラルに繋ぐ扉を設置します」


 扉?


「扉を抜けたら異世界?」

「そうなります」


 すげーな……

 どこで〇ドアか……


「扉を設置かー……あの辺ですかね?」


 空いている壁を指差す。


「では、そこにしましょうか……」


 校長先生は俺が指差した壁に歩いていくと、壁に触れる。

 すると、壁が光りだし、あっという間に黒い扉が現れた。


「すげー! トウコ、お前の部屋にもあんの!?」

「あるよ。掃除が大変だったね」


 最近はトウコの部屋に入っていないが、以前はぬいぐるみだらけの部屋だった。


「ふーん……この扉を抜ければ異世界?」

「はい。その前にこれを渡しておきます」


 校長先生がそう言うと、どこからともなく白い服を取り出して渡してくる。


「制服?」


 多分、学校の制服だろう。


「はい。制服です。実は学園には制服の着用の義務がないんですが、一応、あります」

「え? 着なくてもいいんですか?」

「ええ。普段は会社勤めの人もいますからね。その人達はさすがに制服は嫌でしょう」


 そういえば、そういう人もいるんだったな。

 確かにおっさん、おばさんが制服を着てたら嫌だわ。


「トウコは着てんの?」

「もちろん。制服はJKの特権だし」


 なるほど……


「俺も着るか……ニートさが薄れるし」

「そうしな」


 トウコがうんうんと頷く。


「制服は明日からで結構です。では、学園を案内しましょう。ツカサ君、扉を開けてください」


 校長先生がそう言って鍵を渡してきた。

 俺は鍵を受け取ると、ドアノブにある鍵穴に差し込み、捻る。

 すると、ガチャリと鍵が開く音が聞こえたため、ドアノブを握った。

 なお、ドアノブを握った瞬間から脳内に壮大なBGMが流れて始めている。

 多分、アニメなら第1話のラストでオープニングが流れていることだろう。


「俺の魔法使い人生の第一歩か……」

「かっこつけてないでさっさと行ってよ。そういうところがモテない理由だと思うな」


 うるせー奴。

 少しは浸らせろ。


 俺はドアノブを捻り、扉を開けた。

 すると、そこは摩訶不思議な魔法の世界……ではなく、どこかのしょぼい一室だった。


「え? どこ?」


 草原は?

 空を飛ぶ飛空船は?


「説明します。学園の生徒は一人一室、部屋を与えられます。そこで寝泊まりや魔法の実験をしたりしますし、あなた達のような外の人間のゲートを設置したりするんです」


 あ、そういうこと……


「ここから通う感じですか?」

「そうなります。ここは学園内にある男子寮ですね」


 ということはトウコは女子寮か……


「お前の部屋から女子寮に行けるわけ?」


 トウコに確認する。


「女子寮に男子が入ったら問答無用で投獄だよ」


 投獄かー……


「やめてくださいね。さて、ツカサ君、行きましょう」

「はーい」


 苦笑いを浮かべる校長先生に急かされたので扉を抜け、部屋に入った。

 部屋の中は10畳くらいで俺の部屋と広さは変わらない。

 しかも、クローゼットと作業机があるだけなのでやけに広く感じた。


「部屋の広さが2倍になったなー」


 やったぜ。

 こっちは漫画なんかを置く物置にしよー。


「では、マコトさん、ジゼルさん、トウコさん。ツカサ君を案内してきます」

「よろしくお願いします」


 父さんと母さんがそう言って頭を下げると、トウコがさっさと部屋を出ていってしまったので扉を閉めた。


「帰る時もここからでいいんですよね?」

「ええ。もちろん、ここで寝泊まりもできます。あっちがトイレと浴室です」


 校長先生が部屋の隅にある扉を指差す。


「なるほど。トウコの長風呂と長トイレが嫌になったらこっちに来ればいいわけか」


 あいつ、風呂でもトイレでもスマホを弄っているから長い。


「まあ、その辺りは親御さんと相談してください。では、寮を出ましょう」


 校長先生が部屋を出ていったので俺も続く。

 部屋を出て、廊下を歩いているのだが、人の気配がない。


「寮生っていないんですか?」

「いますよ。今日は日曜ですし、実家に帰っているか、町に遊びに行っているのでしょう」


 なるほど。

 俺も町に遊びに行きたいな。

 ちょっと気になるし。


 どうやら俺の部屋は2階のようで校長先生が階段を降りていく。

 階段を降りると、すぐそばに玄関があり、そこには長いプラチナブロンドの髪をサイドテールにし、白い制服を身にまとった綺麗な女子が立っていた。


「校長先生、こんにちは」


 女子は綺麗な姿勢でお辞儀をする。


「はい、こんにちは。待たせてすまないね」

「いえ……そちらが明日から入学してくる新入生でしょうか?」


 女性が俺を見てくる。


「ええ。長瀬ツカサ君です。ツカサ君、こちらは案内をしてくれる生徒会長のシャルリーヌさんです」


 生徒会長?


「あれ? 校長先生が案内してくれるんじゃないんですか?」

「私は調べ物があるんですよ。ね?」


 あ、俺の腕輪を調べてくれているんだ。


「えーっと、シャルリーヌさんについていけばいいんですか?」

「そうなります。シャルリーヌさん、後はよろしくお願いします」

「わかりました」


 シャルリーヌさんが再び綺麗なお辞儀をすると、校長先生は寮を出て、どこかに行ってしまった。


お読み頂き、ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
ベッドの下を探る描写のとこで、あの作者さんだと思ったらその通りだった。 あと、大事な話の前に兄のベットの下を確認するとかヤバい妹だね。
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