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バカと呪いと魔法学園 ~魔法を知らない最優の劣等生~   作者: 出雲大吉
第5章

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214/223

第214話 勝利


 戦いが始まると、対戦相手の男子2人は引きもせず、突っ込んでくることもせずにそれぞれ剣と槍を構える。


「3回目になるとちゃんとわかってるな……トウコ、モンシロチョウさんみたいに飛んどけ」

「あーい」


 トウコは飛行魔法を使い、上空に飛んでいった。


「ショーン。上の警戒は怠るな。でも、まずは正面のこいつだ」

「わかっている。真にヤバいのはこいつだ」


 男子2人はあくまでも俺に武器を向けてくる。


「よしよし。じゃあ、やろうか」


 そう言って、全身に魔力を巡らせていく。


「くっ! なんて魔力だ!」

「バケモノ兄妹か!」


 失礼な。


「トウコは無視していいぞ。来いっ!」

「モーリス、上を警戒していてくれ。俺がやる」


 ショーンがそう言って、前に出てくると、槍を向けてきた。


「さあ、来い。小回りの利かない槍は迎撃に向いてないから攻めないとダメだぞ」

「くっ!」


 ショーンが槍を突き出してくる。

 そのスピードは速く、鋭い。

 だが、イルメラにもロナルドにも及ばないので簡単に躱し、一気に距離を詰めた。


「速っ!」

「剣が前で槍が後ろだ、アホ」


 腕を掴み、膝蹴りを腹部にぶち込む。


「ぐっ!」

「ショーン!」


 後ろにいたモーリスが剣で突きを放ってきたので後ろに下がって躱した。


「な? 逆だろ?」


 突きは槍だ。


「クソッ! ショーン、いけるか?」

「ああ。2人でかかるぞ」


 上はどうした?


「ふははー。アブソリュートゼロ!」


 あのバカ……!


 俺は慌てて、バックステップをすると、相手の2人も距離を取る。

 俺達がいた位置はキラキラと光り出し、あっという間に凍った。


「まだこのレベルの魔法が放てるのか!?」

「バケモノか!」

「この程度でこのスーパーエリートウコ様の魔力が尽きるものか。何発でも放ってやろう!」


 いや、俺ごと攻撃するな。


「トウコー、大きい魔法を使うな」

「こっちの方がかっこいい」

「遅くて当たらんわ」


 無駄にMPを使うだけだ。


「では、逃げ場がないニブルヘイムを」

「俺も死ぬだろ。そこで大人しくしとけ」

「つまんなーい」

「いいから後衛してろ」


 ユイカと組む時もずっとそうしていればいいんだよ。

 トウコはそこにいるだけで良い。

 そうすれば、敵が勝手に警戒し、こちらへの集中力を弱めてくれる。

 トウコが出るのは最後だ。

 

「ショーン、行くぞ」

「ああ」


 2人が一気に距離を詰めてきた。

 正解である。

 あれだけ広範囲の魔法も距離を詰めればフレンドリーファイアーがあるから使うことはできないのだ。

 でも、それが俺にとってはありがたい。


「来い」


 今度は剣を持ったモーリスが前でその後ろに槍を持ったショーンがいる。


「行くぞ!」


 モーリスが剣を振り被る。

 これがフェイクなのはすぐにわかったのでわざと前に出るふりをした。

 すると、モーリスが振り被ったままサイドステップで右に避け、それと同時に後ろのショーンが槍を突き出してくる。

 しかし、俺は前に出ずにモーリスと同じように右にサイドステップしていた。


「残念」

「何っ!?」


 ワンテンポ遅れて攻撃する予定だったモーリスの腹部に掌底を当てる。


「がっ!?」


 腰を落としたモーリスの足を払うと、顔面を抑え、その勢いのまま地面に叩きつけた。


「モーリス!」


 ショーンの叫びもむなしく、モーリスはまったく動かなくなり、消える。


「クソッ!」


 ショーンが槍を突き出してきたが、フェイントも何もないただの突きなので軽く躱し、槍を掴んだ。


「ぐっ! 動かん!」

「ほら、もう一回やってみ」


 そう言って槍を離す。

 すると、ショーンがバックステップで距離を取った。


「舐めるなっ!」


 ショーンが俺の舐めプに激昂し、槍を構える。


「挑発に乗るなよ。上はどうした?」

「しまっ……あれ?」


 ショーンは慌てて上を見たが、そこにトウコはいない。

 トウコはショーンの後ろで飛んでいるからだ。


「バーカ!」

「なっ!」


 ショーンが慌てて後ろを振り向いたが、トウコはすでにモーションに入っていた。


「竜巻旋風脚!」


 トウコは身を翻し、空中後ろまわし蹴りをショーンの顔にぶち込む。

 ショーンはそのまま横に吹っ飛ぶと、地面に叩きつけられ、動かなくなった。


「はっはっはー! 長瀬さんちのトウコちゃんに勝てるわけないのだー!」


 ショーンが消えると、同時にトウコが着地し、高笑いする。


『そこまで! 第三戦はアイン魔法学校の勝利とする! これにて、勝ち抜き戦を終了する。アイン魔法学校の生徒は帰還するように』

「お兄ちゃん、ウルトラいえーい」

「ウルトラいえーい」


 トウコとハイタッチし、勝利を喜ぶ。


「よーし、帰ろう!」

「そうだな」


 俺達はゲートで帰還し、ホールに戻ってくる。

 すると、俺達以外の生徒が整列していた。


「2人も並んでくれ」

「「はーい」」


 俺達は急いで列に加わる。


「これにて、最後の競技を終了する。結果はアイン魔法学校の勝利となったが、両校はこの結果をもとに来年に向けて動いてほしい。また、この後閉会式があるので参加するように」


 帰りたいなーっと思っていると、モーリスが一歩前に出て、手を差し出す。

 ユキも前に出ると、その手を握った。


「完敗だ。なすすべもなかった」

「あの双子は異常だから仕方がない。また来年」

「ああ、また来年」


 ユキが良い子ぶってるわ。


「閉会式っていつー?」


 トウコが審判さんに聞く。


「1時間後だ」

「めんど。後は会長に任せよう」

「私は用事があるから失礼する」

「あ、私も美容院に行かなくちゃ……」


 女子3人は審判さんの言葉を完全に無視して、そそくさとゲートの方に歩いていった。


「参加する?」


 イルメラとロナルドに聞く。


「私はまともだから参加する」

「俺も」

「じゃあ、俺もまともだから参加する」


 シャルも参加するだろうしな。


 俺達は解散となったのでゲートをくぐり、ジェニー先生の部屋に帰還する。

 そして、皆で万歳をし、1時間待つと、他のメンバーもやってきたので閉会式に参加した。

 閉会式は開会式と同様にハンネスさんが長々と話をする。

 つまんないなーと思いながらも話は終わり、最後にシャルが賞状を受け取り、閉会式は終わった。

 そして、対抗戦は終わりを告げたのだが、ジョアン先輩の姿がないのが少し気になった。


お読み頂き、ありがとうございます。

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この双子相手にするなら余程の上澄みでないと相手にならないし、ツカサくんが本気出すような事態になったらどのみち相手は詰む!
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