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バカと呪いと魔法学園 ~魔法を知らない最優の劣等生~   作者: 出雲大吉
第5章

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210/212

第210話 完勝


 試合が終わったので元の教室に戻る。

 すると、階段のところでトウコと遭遇した。


「お兄ちゃん、いえーい」

「いえーい」


 トウコとハイタッチをする。


「上に2人いたの?」

「いたな。下に1人か?」

「うん。なんか同じ敵を3人倒した気分」


 荒くれ者A、B、C、D、Eだもんな。


「俺、対抗戦ってもっと競り合ったり、ライバルが出てくるもんだと思ってた」

「全然、出てこないね。ウチの学校の魔法大会の方が良かったよ。なんかすごい個性を持った子がいたし」


 ユキさんね。


「まあいいや。ちょっと休めるイベントとでも思おう」

「そだね」


 俺達は廊下を歩いていき、元の教室に戻る。

 教室には暇そうにしている3人が待っていた。


「30分で十分だったね」


 ユイカがそう言って拍手する。


「すぐそこの階段にいた。向かってくる敵は楽で良いわ。ちなみに、私は3人倒した!」

「すごいね。来年もあるかは知らないけど、もう双子だけでやりなよ」

「俺もだが、数人は何もしてないしな」


 ロナルドは1人倒しただろ。


「まあ、楽しかったからいいじゃないか。こういうのは定期的にやってほしいものだ」


 ユキがうんうんと頷く。


「ユキ、一番ノリノリだったもんね」

「私はこういうイベントが好きなんだ」

「だろうね」


 作戦会議も他のメンツはそこまでだったのにユキは積極的だったしな。


「よし、最高の成果だし、胸を張って帰ろうか」


 俺達はゲートをくぐり、ホールに戻る。

 すると、やはり対戦相手であるノイズ魔法学校の生徒達はおらず、審判さんだけが待っていた。


「戻ったか。まだ試合は残っているが、君達の1位は決定だ。他がどうあがいてももう君達を抜くことはないからな」


 2位は26ポイントで決定し、3位が8ポイントだったからどう頑張っても23ポイントだ。

 俺達の36ポイントは抜けない。


「審判、上の方と協議し、来年からは他所に本気になるように言ってくれ。話にならなくて不満だ。せっかく白川家の当主直々に出陣しているというのにこの体たらくでは自慢にもならん」

「それについては初日から毎日のように協議している。今回の対抗戦も急遽、決まったことだし、初めてのことだから手探りの面もあるのだ。それは君達以外の魔法学校もそうだろう。残念ながら最初からやる気に満ちているのは君達のところだけだ」


 皆、大人しいのかな?


「ふーん、優勝者のコメントとして相手に不足って発表しておいてくれ」

「それはしない。いいから帰りなさい。明後日の午後からペア戦に参加する者はここに来るように」

「我々だな」


 ユキが頷くと、審判さんの『お前かよ……』っていう心の声が聞こえてくる。


「ペア戦は各町でも中継される。くれぐれも発言には気を付けなさい。特にお前」


 審判さんがユキをガン見して注意する。


「そこは問題ない。私は白川家の当主。ちゃんとしている」

「ユキ、般若のお面でも被っていけよ」

「能面の方が良くない?」

「逆にアンパ〇マ〇にしようよ」


 笑えるなー。


「私はちゃんと目を閉じている謎の剣士というキャラがある」

「いいから普通にして、必要以上のことはしゃべらずに参加しなさい。わかったらさっさと帰れ」


 審判さんがついにしっしっと手で払ってきたのでゲートの方に歩いていく。


「なあ、明後日の試合だけど、俺、オスカーと替わっていいか?」


 一言も発せずに他人のフリをしていたロナルドが聞いてきた。


「何を言うか、ロナルド。我らは従兄妹だろ」

「俺、今、すごくイヴェール派に寝返りたい気分だわ」

「情けない奴だ。そんなにイロモノに見られたくないのか?」

「自分でイロモノって言ってるじゃねーか……」


 ユキがイロモノじゃなかったら何なのだ。


「戦場は目立ってこそだ。私は『絶対に薄目を開けている白川さん』という漫画のタイトルみたいな二つ名を持ったこともある」


 ちょっとえっちめのラブコメかな?


「俺は『お兄さんの方』という二つ名だった」

「私は『妹の方』」


 ちなみに、先生もそう呼んでた。


「それはちょっと違うと思う……」


 俺達はゲートをくぐり、ジェニー先生の部屋に帰還した。


「おめでとう! 完勝すぎよ!」

「お疲れ様です。素晴らしい成績ですね」


 ミシェルさんとジェニー先生が満面の笑みで迎えてくれる。

 さらにはシャルとイルメラもおり、笑顔だ。


「ミシェルさん、私は3人倒した!」


 トウコが自身満々に答えた。


「トウコさんはすごいわねー」

「まあね!」


 トウコは御機嫌そのものだ。


「シャルとイルメラはどうしたんだ?」

「リーダーとして結果を見に来たの」

「今日の結果で明後日が決まるから見学。土曜が休みにならなかったわね」


 3位なら土曜が休みだったんだよなー……


「トウコが頑張ったせいだな」

「お兄ちゃんも2人倒したじゃん」


 うっさい。


「おー! ツカサ、すごいわね」


 シャルが褒めてくれた。


「まあ、相手じゃなかったな」


 トウコ、ナイスだ。


「嫌な夫婦。それで1位は確定ってことでいいのよね?」


 イルメラが確認してくる。


「そうだな。帰る時に審判さんから1位が確定したから明日の昼に来いって言われた」

「会長、作戦は?」

「ここは最初から決まっている。ツカサとトウコさんを最初に出して、3勝してもらう」


 そう言ってたな。


「牽制?」

「そうね。ツカサとトウコさんが狙われているのはわかったけど、実力を見せて、抑止させるわ」


 そういう目的があるわけだ。


「逆に情報を与えることにならない?」

「そこは大丈夫。2人は特殊なことをするわけではなく、強大な魔力を武器にするシンプルな戦い方だもの。シンプルがゆえに対策できるものじゃない」


 シンプルイズベスト!


「2人共、体術がメインだものね。妹はお粗末だけど天才的な遠距離魔法もある。兄の方は遠距離魔法の才能は皆無だけど防御主体でクレバーな戦い方をする……」

「褒めてんの?」

「貶してんの?」


 俺とトウコが交互にツッコむ。


「あんたら、多芸ねー。褒めてるわよ」


 イルメラが口角を上げた。

 やっぱりイルメラさんは笑ってくれるなー。


「とにかく、ツカサとトウコさんが先鋒だから圧倒的な感じで勝ってちょうだい」

「任せたまえー」

「相手がわからんが、まあ、問題ないだろう」


 これだけは超得意だもん。

 もうずっとこういうイベントを続けてほしいわ。


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