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バカと呪いと魔法学園 ~魔法を知らない最優の劣等生~   作者: 出雲大吉
第5章

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208/212

第208話 美味しいのに……


 俺達は時間になったのでゲートをくぐる。

 すると、前と同じ審判さんと共にすでに相手の学校の5人が並んでいた。


「ほう……」


 ユキが5人を見て、声を出した。

 それもそのはずであり、5人は全員男子だったが、皆、身体が大きく、強そうだったのだ。

 しかも、目つきも鋭く、ぱっと見は荒くれ者って感じがする。


「アインの生徒も並びなさい」


 審判さんに促されたのでユキ、トウコ、ユイカ、俺、ロナルドの順で並び、ノイズ魔法学校の男子達と相対する。


「ふっ、女子3人に細い男子2人か。お前ら、よく21ポイントも稼げたな。相手高に尻でも振ったか?」


 ユキの前にいる男が挑発してきた。


「私語は慎みなさい」


 当然、審判さんが注意する。


「審判、少し黙るといい。こういうのも試合を盛り上げるためには必要だ。君は漫画や映画を見たことがないのか?」


 ユキが何故か、審判さんを注意した。

 でも、わかる。

 ちょっと盛り上がってきた。


「……トウコ、何か言え」

「見た目で実力を判断するのは2流よ。さすがはノイズの町ね。本当にノイズだわ」


 ひゅー。

 さすがは中学の体育祭でヤジを飛ばしまくって、放送委員に名差しで注意されたバカだ。


「このガキ……殺すぞ」

「私達は魔法で勝負するのよ? その無駄な筋肉を氷漬けにしてあげるわ」

「まあまあ、トウコ。この試合はお互いの力をぶつけ、切磋琢磨し合おうという趣旨のイベントだ。ケンカ腰になるんじゃない」


 このユキのセリフにはさすがの審判も眉をひそめ、『お前が言うな』っていう顔になった。


「ふっ、まあいいでしょう。汗臭そうだし、一切、近づかせずに終わらせるわ」


 スーパーエリートウコ様が髪を払った。


「もういいかね?」


 審判が眉をひそめたまま聞いてくる。


「どうぞ」

「ハァ……両校共にもう3回目になるから特に説明は不要だろう。ただ、一つルール変更がある。相手が降参した場合は即座に攻撃をやめること。また、降参は倒された扱いになる」


 コンテの町の何とかって女子が降参したからだな。

 ルールになかったんだ。


「良かったな、お前ら。俺も泣き叫ぶ女子を攻撃する趣味はない」


 と言いつつ、ニヤニヤするノイズの男子達。

 ホント、荒くれ者にしか見えんな。


「結構、結構。その意気や良し。降参などない楽しい殺し合いをしよう。ふふっ」


 ユキが笑い、目を開くと、荒くれ者共がビクッとする。

 殺気がすごいのだ。


「……ノイズの町の生徒はすぐにゲートの方へ」


 審判さんがそう言うと、ノイズの町の男子達は俺達を睨みながら歩いていき、ゲートをくぐった。


「ふふっ、トウコ、よくやったぞ。あれであいつらは私達が遠距離戦を得意とすると見たはずだ」

「策士トウコ」


 ユキとユイカがトウコを褒める。


「ふはは! 私はバカじゃないのだ! 遠距離魔法なんかいらない! ぶっ潰してやる! 暴力こそが正義なことを教えてやる!」

「うむ、そうだな! では、我々も楽しい戦地に行こうじゃないか! 審判、行っていいか?」


 ユキが審判に聞く。


「……ああ、行ってくれ」

「諸君、行くぞ! 誰が一番ウサギを狩れるか競争しようじゃないか!」

「私の勝ち確。狩りは得意」

「あんたは私に譲りなさい。私は森で何もしてないんだから」


 女子3人がゲートに向かって悠々と歩いていったので俺とロナルドも続く。


「何だ、こいつら……?」


 後ろの方で何かの声がしたが、スルーしてゲートをくぐった。

 ゲートを抜けた先は確かに学校だった。

 しかも、魔法学校のようなファンタジーっぽい校内ではなく、日本の学校っぽい。


「懐かしいね。魔法使いじゃなかったらこういうところに通ってたのかな?」

「ユイカ、ちょっと黙って」


 トウコがユイカを黙らせる。


「え? なんで?」

「いいから! ごめんね、お兄ちゃん」


 俺かい……


「高校受験に失敗したニートで悪かったな」

「ユイカも悪気はないんだよ」


 お前はありそうだな。


「俺のことはどうでもいいわ。それよりも敵はもう動いてるだろうし、こっちも動くぞ。ユキ、どうする?」


 リーダーであるユキに確認する。


「この校内はその名の通りフィールドは校内だけで外には出られない。敵には遠距離魔法が得意という印象を付けたし、速攻を狙ってくるだろう。返り討ちにしてやろう」

「じゃあ、当初の作戦通り、バラバラになって早い者勝ち?」


 ユイカが首を傾げる。


「まあ、そうだな。魔力はたいしたことなかったし、体術中心の魔法使いだろう。確か、ノイズ魔法学校のポイントは5。森、市街地では相性が悪かったんだろうな」


 じゃあ、ますますここでは攻めてくるな。


「じゃあ、始めようか」


 ユキが双剣を取り出した。

 すると、ロナルドも槍を取り出す。


「ちょーっと待った!」


 皆がさあやろうという感じになっているのにトウコが止めてきた。


「トウコ、どしたの?」

「トイレか? お兄ちゃんに連れていってもらえ」

「電気は消すなよー。この歳ではきついぞ」


 さっきの話ね。


「漏らしてないわ! ちょっとね、私に名誉挽回のチャンスをくれない?」

「挽回するほどの名誉がある? 返上すべき汚名の方が多いような……」


 ユイカは素直だなー。


「ある! 私ね、これまでなーんもしてない」

「あ、俺もだわ」


 使えない長瀬兄妹になってる。


「自分達でやりたいと?」

「1時間でいいからちょうだい。このままでは使えない長瀬兄妹になっちゃう。そして、会長にバカにされる。しかも、何故か私だけ」


 シャルは別にバカにしないと思うけど。


「わかった、わかった。血の気の多い兄妹だ」


 え? 俺も?

 というか、1年で一番血の気の多いお前に呆れられたくない。

 やれやれといった顔をするな。


「ユキ、ありがとー」

「ただし、1時間だけだからな。それまで私達はここで待機してる。それと向こうがこちらに来た場合は知らんぞ。あの程度の敵に背は向けられないんでな」


 こいつ、絶対に漫画とか好きだろ。


「それでオッケー」

「じゃあ、行ってこい。もし、倒されるようなことがあったらマヨネーズ納豆な」


 嫌だわー。


「問題ない! スーパーエリートウコ様に死角などないのだ」


 お前ほど死角がある人間もいねーよ。


いつもお読み頂き、ありがとうございます。

カクヨムネクストで連載している『その子供、伝説の剣聖につき』のコミカライズが始まっております。(↓にリンク)

そちらの方も読んで頂けると幸いです。


よろしくお願いいたします。

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― 新着の感想 ―
本当は仲の良い兄妹の共闘が見れるのでしょうか。
細身の男2人と女の子3人、でも血の気が多いのは女の子3人の方なんだよなー
ふむふむ これまでは姫だったけど、今回は暴力になるということか やっぱり暴力姫じゃないか(呆れ)
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