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第2話 ダレトクですがなにか?

 王立学園の入学式で、数日前に王都入りした際に挨拶を交わした第二王子のフレデリック様と再会し。


 半分政略で決められた婚約者同士とはいえ、幼い頃から何度か顔も合わせていたし、お互いに綺羅綺羅しい美男美女だもの、ほんのり好意めいた感情だってあったのよ、実は。


 でも、私が衝撃を受けたのは、そこじゃぁない!


 (イケメンがいっぱい、いる……)


 いや、確かにお父様もお兄様もめっちゃイケメンで、会えなくて寂しかったけど、別にイケメンだけだからじゃなくて!


 てか、別にイケメンに飢えていたわけじゃないの!


 フレデリック様だってイケメンだしっ!


 じゃなくて!


 (あのゴージャスイケメンは財務大臣マネール伯令息カーボン様よね? あそこで退屈そうにしてるのは数年後近衛騎士団最年少団長候補といわれる体育会系イケメンのオルソン様?! 壇上に控えてるメガネイケメンはひとつ上の学年で主席で宰相候補と言われるようになるグラス子爵家のキリル様! あ、今遅れて入ってきて偉そうにしてるのは、筆頭公爵家の不良息子でフレデリック様の従兄弟のオレ様イケメンのアラン様っ!!)


 次々現れる、《《見知った》》イケメン達。


 (きゃー! あれは攻略難易度星5つの、オネエイケメン! 落としたら激溺愛ルートのユリウス様ぁっ!!)


 尊い……。


 真面目に昇天しそうな勢いで至福を噛み締める私は、その時目覚めた。


 いや、思い出した。



 (ここって! 我が心のバイブル! 乙女ゲーム「薔薇色恋模様~王立学園の夢」の世界!!)


 この日から、私の学園生活は、薔薇色に染まったのである。


 とはいえ、同時に思い出したこともあった。


 (あれ? 私って、もしかして?)


 黒髪紫眼の伯爵令嬢、ミレーネは、ヒロインの恋路を妨害する、ライバルのひとりで……つまり、悪役令嬢。


 ついでに軽トラに跳ねられそうになって転んだとこまで思い出したけど、まあ、それはいいや。


 転生なのか憑依転移なのか分かんないけど、ゲームとマンガ以外に楽しみのない社畜で、事故が起きたのもブラック職場から20連勤明け疲労困憊帰宅中の出来事、という、思い出したくもない過去。


 跳ねられそうになった時の記憶もちょっとあやふや。


 ワンチャン、軽トラきたタイミングで倒れた説、あるしな。


 運転してたおじさん(推定)に申し訳ないことしたかも。


 まあ、過ぎたことは仕方ない。


 もし、これが夢だったら、目覚めた時にちゃんと証言しよう。


 悪いのはブラック職場ですって。


 それはともかく。


 (しかも、ミレーネってば、攻略難易度星1つの、王道攻略キャラの婚約者、だよね)


 つまり、フレデリック様も攻略対象、なのだ。


 しかも、チュートリアルでゲームを進めていくと、高確率で攻略ルートに入るという……チョロ過ぎるキャラで。


 (ってことは、3年後高等科に上がったら、浮気確定かよっ!)


 乙女ゲーム「薔薇色恋模様~王立学園の夢」、通称「薔薇恋」はヒロインが高等科に編入してくるところから始まる。


 平民育ちだけど才能を認められ特待生として編入してきたヒロイン、実は某貴族の、幼少期に誘拐された令嬢だと後々明かされるんだけど。


 攻略ルートによって、どこの家門なのか変わるんだよね。

 

 王道のフレデリック様ルートだと、それは侯爵家で。


 ミレーネは、階級的には上回る侯爵令嬢だと判明する前にヒロインに嫌がらせしていたこと学園主催の舞踏会で糾弾され、結果的に婚約破棄され追放、ということになってる。


 王子ルート以外でも、イヤミを言ったり、ライバルになる他の女子学生に味方したりで、追放まではいかないけどヒロインに謝罪させられたり。


 唯一ミレーネがハッピーになるルートがあって、全ルート攻略後に分岐可能な、ヒロインとミレーネが親友になるパターン。


 超難易度の隠しルートだ。


 ヒロインは、将来王妃となるミレーネの信頼厚い貴婦人になる、というルート。


 そう、王子妃じゃなくて! なんかフレデリック様、王位継いじゃうのだ、このルートだと。


 いや、ちょっと待てっ!


 



 




 

 

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