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神の下僕は自由になりたい  作者: D沖信
世界の理と外の世界
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コード“末”15

覚醒者組、社長の代替わりに加藤は感涙して戰の選手陣からはドン引きされて久坂は静かに竜司が用意した高級なお酒を染み染みとした様子で堪能していた。

そんな久坂に対して遠藤はお酒の味は分からないと会話の種を作る。

「仕事柄俺はよく社交で飲むからな、社長様々だよ」

「僕の院生生活では高級品とは無縁だったからなぁ」

新社長に乾杯と二人でグラスを鳴らす。

「しかし結局お嬢の狙い通り有力な男が妹様と結婚したな」

「あー、そっち?僕達彼には辛酸舐めさせられたねぇ」

「ふっ、今となっては彼は俺達の遥か上を行っているからな」

久坂は翔に憎しみの無い澄んだ瞳を向けるが加藤だけは納得がいっていない様子で会話に入ってくる。

「何を言うか!浜松めはいずれ必ず戰の舞台でコテンパンにしてみせる!」

遠藤が酒か怒りで真っ赤になる加藤を(なだ)める。久坂は直前のアキトと竜司の試合を見て力競べの無意味さを寄った勢いで口にする。

「あんなもの見せられた後で…まるでママゴトさ」

「違う!ルールの上で競う事に意味がある!」

加藤の熱意ある言葉に久坂は目を丸くするは。

「お前は外で良い顔するだけじゃないか!我々選手は常に技を磨き努力する。規格外と戦うのが目的ではない!…いや、勝ちたいのはそうだが!アキトはあの技をみだりに使えないと言っていたし」

言い訳をしつつ競技なのだとアピールする加藤に遠藤はウンウンと頷く。少し離れた位置で金森や葉山等集い外の人も頷いていた。

久坂は壇上の黒鴉をチラッと見てその通りだなと笑うのだった。

(お嬢、いや社長。今後はしっかり戰を競技の興行イベントとして大成する事を期待してますよ)


翔達は黒鴉と竜司から解放されて神鳴と玉藻前のいる卓に手招きされる。

「おめでとさん。参ったわーウチらさっきまでまっつぁんの家に残れなくなる言うて…」

「もう、しんみりする事言わないって決めてたでしょー」

二人の言葉に翔も黒姫も多少の困惑をする。

「そうか…皆が居ることに慣れてた…」

「そうですね。結局二人暮らしも短かったですし…これからの事、実感湧きませんね…」

多分姉も今まで通りの感覚でいると黒姫は壇上で照れてる姉を見る。そっちにすぐ行くからと黒鴉は手を振ってくる。

神鳴は寂しそうに人差し指を突き合わせていじける。

「どうしようか?私…姉さんの所に身を寄せたほうがいいかな?」

「せやなぁ夫婦水入らずって方がええやろ?」

二人で勝手に話が進んで翔達はどうしようかと顔を見合わせ翔が案を思いつく。

「未来の俺達と家を入れ替えればいい。それなら寂しく無いはずだ」

「そうですね!神姫(ワタシ)もきっと乗ってくれます!」

二人は早速と未来テックの卓に向かうが目的の人物の姿が見えずキョトンとする。

その顔にクラウスは笑って祝福の言葉を投げ掛けてくる。

「ハハハ、君達がこっちに来るとはな。嫌われてると思ったよ」

「あれ?もう一人の俺は?来てないのか」

「ん?居たよ。任務あるって…」

クラウスは詳細は語らずマザーが気を利かせてコッチと手招きする。

「彼らからの伝言だ。長期家を空けるからアパートの掃除頼むって」

「そ、そうですか…」

あてが外れたと翔は肩を落とすがアパートは使えると黒姫と顔を見合わせる。

「新婚で暫く二人きりになりたいといった所か…?ふふ、若いな」

「若いですから!」

黒姫がふんすと鼻を鳴らす。その様子にゲラゲラとマザーとクラウスが笑われ黒姫はムッとする。

見兼ねた姉が飛んできて二人の耳を摘んで引っ張る。

「そんなヤツら相手にしない!」

「イテテ、わかったってー!」

神鳴達の卓に戻されて黒鴉からこっぴどくお叱りを受ける。

「まーったく!何で敵に挨拶してんのよ?順番違うでしょー!?」

「いや、一応客人だぞ」

「ふーんだ!」

駄々っ子剥き出しの新社長に黒姫はビジネス相手だと自覚を持つように説得して天狗になっていた黒鴉は辛気臭そうに俯く。

「お父様本当に向こうに移住する気みたい…御屋敷が伽藍洞(がらんどう)になるわね…」

「姉さん、その…」

今まで通りな事をイメージしている姉に申し訳ない気持ちになる二人、神鳴達は御屋敷もいいねと笑い合う。

「なんでアンタらが…」

「だって二人きりにさせてあげないと…」

「あ…」

黒鴉は一気に表情が曇る。

「そんな顔すんなら何でお父つぁんがくっつけようとしたとき拒否したんや?」

玉藻前が口を開いて黒鴉は苦しそうに胸を押さえて「そんな事…」と法律や周囲の反応というものがと落ち込む。

流石に黒鴉の落ち込み様に同情する黒姫は神鳴にアパートと浜松家を繋ぐ提案をする。

フリーパスのハブと化している実家に翔は頭を抱える。

居候組は家を出る気でいたがまだ暫く使う算段でいこうとなるのであった。

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