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神の下僕は自由になりたい  作者: D沖信
世界の理と外の世界
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コード“末”12

今度こそと竜司がマイクを握り締めるが神華が駆け付け小声で竜司に伝言する。

「しゃ、社長。まだ黒鴉様達が御色直ししてません…」

その報に眉を(ひそ)めてわざとマイクに声を入れる。

「なにぃ?全く…ちゃんと時間は作ったというのに仕度は済ませろと…」

「社長…マイク…」

「よいよい、皆を待たせた分、叱ってもらおうではないか」

パフォーマンスを続ける事で場を繋ごうと竜司がするので神華は無理があると周囲を見渡して困り顔になる。

「化粧もあるので厳しいですよ?」

「あー、確かに…先に結婚式の準備するか?」

「えぇ…」

先に結婚式の酒盛りしちゃうかと竜司は笑う。

食事や酒盛り出来るのかと観客席の人達は盛り上がる。

「酒乱も混じってますが…」

神華は自分の事は棚に上げて神楽が喜んでいるのを見て呟く。

「めでたい日だ。多少は許されよう」

無礼講と大笑いする竜司の合図にあわせて魔法のように舞台が宴会場へと様変わりする。

運ばれてくる品々にグルメ好き達は脅し文句にビビってたが来てよかったと歓喜するのだった。


外での盛り上がり等知らない黒鴉は着替えた格好に怒りと恥ずかしさに顔を赤くしていた。

急ぎ翔達を引っ張り父の待つであろう舞台へと向かう。

「お父様!この衣装はどうい…どういう事よ!?」

既にパーティが始まっていて黒鴉は叫びツッコミを入れる。

「おおー黒鴉か!似合っているじゃないか!」

「似合っ…!?何言ってるんですか!こ、これ…!私が去年プライダル企画で使ったウェディングドレスじゃない!」

「ん?そうだっけか?ハッハッハ!黒姫と一緒に用意させたからお前までドレスになってしまったか!まぁいいじゃないか!晴れ着には違いない!」

既に酒でも回っているんじゃないかと疑う黒鴉だったが竜司は壇上でマイクを入れて注目を集める。

「皆々様、主役の到着だ!」

既に酔っている神楽と神華が「ウェーイ」とお酒の入った杯を掲げる。

「ああ…もう本当に呑んでる…」

黒鴉は顔を覆って秘書の駄目姿に泣きそうになる。

ウェディングドレスについてツッコミがどこからか入り黒鴉はやっぱりと後ろに控えてる翔と妹を見てから父親に文句を言う。

「ほらやっぱりぃ!今の誰よ!?私が結婚するんじゃないわよ!」

「まぁまぁ…さて、新社長の娘の黒鴉だ。ここに居る面々は既に知っているだろうがな!」

殆ど知り合いと一部関係者しか居ないのにこんな事をするのはと翔は嫌な予感を覚えて黒姫と顔を見合わせる。

形式的な親子での肩書の継承が行われ竜司が呼んでいた記者達の前でパフォーマンスが行われ写真の撮影も行われる。

黒鴉も周囲の盛り上がりに合わせてノリノリに高飛車な振る舞いをするのを見て竜司は大きく頷いて次いで結婚する翔達を呼び付ける。

「双子の妹も結婚するのでな!ほら、上がりなさい」

目立つのは嫌だなと思い緊張した面持ちの二人が壇上に上がる。

過去に騒ぎになった姉妹と翔の姿に記者は混乱しつつ竜司に確認を取る。

「神藤さん。新社長は結婚…なさらないので?」

黒鴉の格好はどう見てもとスクープを求める人達の注目を集めて竜司は大笑いする。

「黒鴉、言われているぞ?なんなら翔君とくっつくかね?」

「ハァー?!!私が?!こんな奴と?!そんな事になるなら生涯独身、生涯現役を誓うわよ」

「言われているぞ?翔君」

焚き付けるなーと黒鴉は絶叫して周囲は笑いの渦に包まれる。


客人の中で一人複雑そうにその様子を見つめる者がいた。マザーだ。

「ふむ、やはり私はそういう道を選ぶか…少し煽ったが変わらなそうだな」

側のミレイが恐る恐る尋ねる。

「マザーも同じ誓いを?」

「誓い…と言うほどではない。私には彼等のような友は居なかった…だから天涯孤独だった」

遠い目をするマザー。ミレイは今は自分が居ますと少しズレた事を言ってマザーは苦笑いする。

「お前も早くイイ人見つけておけ。私が壊れるまで子孫の面倒を見てやるさ」

「も、勿体ない御言葉…」

ミレイは困惑しつつ好きな人は居ないと肩を落とす。

マザーは壇上の若々しいオリジナルの自分の行く末を案じて呟くのだった。

「後でもう少し茶化してやろうか…」


そしてもう一人ハンカチを噛んで伸ばして悔しがる男がいた。

「クロヒメくーん…おのれKぇ…!」

アルバートが号泣しているのをマークが呆れ顔で暴走しないように監視する。

「絶対に暴れるなよ?」

「クソー…ん?アンナの奴はどこだ?」

マークは目を逸らし未来テックよりアキトの子供達組を選んだ遠い子孫を憂う。

クラウスは隣の卓にマザーが居ることに嫌な顔をして早く帰りたいと溜め息をつく。

(二人してたまーに此方見るのやめてくれ…畜生、竜め…当てつけか?)

三人揃って悪い事は酒を飲んで忘れようと洋酒をおかわりするのだった。

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