コード“神”6
浜松家、全員が揃って夕食を取るが神藤姉妹は頭を抱えて現状を悩む。
居候組はそれを不思議そうに見つめて平然としている翔を怪しんで睨む。
「なんや?喧嘩したんか?」
玉藻前の言葉に翔はとんでもないと否定する。
「じゃあ何なんですの?」
「…隠し事良くない」
アミラとリョウからも詰められて翔は首を横に振る。
「俺は知らない。というか知りたくないから聞いてないだけだ」
誤解が生まれるような言い方をして翔はすぐに情報を補足する。
「塔の中が厄介な事になっているらしくて…緊急出動出来るように俺は仕事を残さないように集中する為に詳細を聞いてないんだよ」
三人はまだちょっと疑いの目を向けて来るが多少の納得をして今度は神藤姉妹に話し掛ける。
「水臭いやないか!ウチら仲間やろー?今回は三人だけやなくてウチらも協力するで!」
そうそうと頷くアミラとリョウ。黒鴉は微妙な顔をするが異世界人に地球の宗教の価値観等通じないしいざとなったら手数になるかと考える。
黒姫は地球の問題に巻き込むのかと姉の様子を見てツッコむが玉藻前が呆れながら黒姫に道理を説く。
「ウチらもカナリンの為に地球を守る戦士として頑張る覚悟くらいしとるわ!今更距離置かんといてーな」
「いえ、でも…相手が相手ですし…」
「なんやぁ?敵の正体知っとるんか?」
黒姫はしまったと口を押さえるが姉から渋い顔をされる。
「他言無用の機密情報をなんで知ってるのよ?」
「え…えっとぉ、神華さんから…」
「口軽ッ!?アンタ他に話してないわよね?!」
黒姫は慌てて当然ですと激しく頷く。
「まぁいいわ。戦闘するなら神威のドローンだろうし操作人数は多い方がいいわ。他に使えそうな人材いるかしら?」
「他の人を巻き込むんですか?!」
「異世界人なら問題ないでしょ?ゲーム感覚でドローン操作で地球を救おう!ってね」
無関係な存在なら忌避感も無く戦えるはずと黒鴉は役に立つ人が居ないか思案する。リョウが手を上げて推薦をする。
「ジンとミナさん。二人使える」
「あー、地球文化にどっぷりだけど…大丈夫かしら?」
「…多分」
少し自信が無くなったのかトーンダウンするが取り敢えず確保と黒鴉はオッケーサインを作る。
アミラもダンが使えないかと小首を傾げる。
「あー、重要な時にサボタージュしそうだけど…確保」
玉藻前も身内を使えると葛之葉や神斎を推薦する。黒鴉は微妙な顔をする。
「神斎は協力してくれるかしらね?」
「ゲーム感覚なら暇だし乗り気になるんとちゃうか?」
確保と指で丸を作る。
そんな会話を聞いて翔は黒鴉に質問する。
「ゲーム感覚か…詳細知らなかったら意外と誰でも受け入れちゃいそうな話しになるんじゃないか?命に関わらないとなると尚更」
「それがねぇ…相手が悪魔か怪物か…そういう類いならいいんだけどね」
黒鴉は言葉を濁して敵のデザインが良くないと話す。
「つまりグローバルなデザインで誰もが知ってそうなマスコット?」
「マスコットかぁ…シンボルって言った方がいいかも」
結構な答えを話すが翔は深く考えずに学友達を推薦してみる。
「皆呼べば来ると思うが…」
露骨に嫌な顔をする黒鴉、やめた方がいいと黒姫も首を横に振る。
「覚醒者も水戸は呼んでもいいかもだけど他はキツいわね…」
皆でメンバーの選出に苦心していると丁度良くツムギが物置から現れる。
「ヤッホー、ヨロズ博士から情報共有されてるって聞いたけど…なんか真面目な会議中?」
翔が代表して答える。
「そんなとこ、次の討伐作戦俺等も参加していいか?」
「んー?K達も参加したいの?」
ツムギは数を数えてドローンの準備がと悩むが黒鴉がニヤけ顔をする。
「念の為百台くらい準備してよ?」
「急に桁が増えてるぅ!?6人分じゃないのぉ?!」
「あら、相手が相手でしょ?人海戦術よ」
黒姫はそこまで集める話しじゃなかったのにと小声で姉を注意するが黒鴉は念の為と笑う。
ツムギは確かにと作るのは神威だしと納得して話を持ち帰る事にする。
「じゃー週末、皆動ける様にしといてねー」
納期の確認もせずに日取りをツムギはノリと勢いで勝手に決めてしまう。
さっきまで深刻そうにしていた黒鴉だったが色々と決まると奮い立って元気になって拳を掲げる。
「妥当魔窟の主!勝つのは私達よー!」
やれやれと思いながら全員調子の良い黒鴉に合わせて「おー」と音頭を取るのであった。




