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神の下僕は自由になりたい  作者: D沖信
世界の理と外の世界
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コード“塔”15

敵の存在に流石に一人残るのが怖くなったツムギは三人で行こうと明らかにビビった様子で二人に追従する。

仕方ないと三人で迷路を進み階段を昇ると大きく広まった階層に到達してそこに停泊している宇宙船の数々に息を呑み急ぎ身を隠す。

宇宙船のドックに並ぶ色んな形のソレについてアキトが説明する。

「アダムスキーに円盤、三角に葉巻型…UFOの見本市か?!」

「何ていうかぁ…古いねぇ」

ツムギの言葉にジェネレーションギャップを感じてアキトは微妙な表情になってしまう。

神威はその未確認飛行物体のデザインに舌を巻く。

「これでも空を飛ぶのか…スゴイな」

「いや、本物の宇宙人じゃねぇだろ…ここは魔窟、コイツら全員人間の意識の具現化の産物だ。そしてコレらはオカルト、まぁウソって事だ」

実在しない空想の存在と言われてツムギは嗤う。

「確かにー、こんなのが宇宙を航行出来るなんて変だもんねぇ…地球で言うなら戦闘機?飛行機?だけで宇宙の長旅に色々耐えられる訳無いもんね」

送られてきた映像を見てヨロズが小さく溜め息をつく。

「全くロマンが無いな、オーバーテクノロジーならワープ機能とかあるだろう?」

「そんな技術あるなら完全ステルスとかしそうだけど?」

素早い返しに流石に返す言葉も見つからず無言になる。

神威は最初は興味を示していたが会話から老頭児(ロートル)と知って残念そうに先に進む事を提案する。

「そうだな、ここで立ち往生ってわけにもいかないな」

アキトは二人の機体と顔を見合わせる様にし頷きあって目立たないようにUFOの裏を通って先に進む。

下手に大きな戦闘音を出せない為武装も消音の物を利用し暗殺まがいな戦法で道中の敵を倒す。

「グレイタイプにさっきのタコ型、レプティリアンまでいるな…」

「グレイは知ってる!目のデカいアレでしょ?」

ツムギは博識ぶろうと手を上げるがアダムスキーを知らないのによく言うとアキトに呆れられる。

「グレイタイプは未来にも残るくらいシンボルとして優秀なんだよ。あとアダムスキー?ってのも形だけは知ってるー」

シルエットだけは分かりやすく残るんだと説明を受けてシンプルなデザインを使った先人は偉大だと感慨深く唸るのだった。


何とか駆け抜けて反対側までやって来た三人は残りの弾薬とバッテリーを確認してまだ行けると先に進む事を決心する。

背後で敵襲に気付いてざわつく宇宙船団に外に出撃しないよねとツムギは少し不安そうにする。

この魔窟から外には簡単には出られないだろうと壁など修復する点を指摘する神威。アキトはサイズが塔と合わずに出られないと笑う。

「どの道コイツらは魔窟から出られない訳だ」

「となると宇宙船は宝の持ち腐れだねぇ」

様々な形のそれらが勿体なく感じられる。

「それにしても宇宙人だなんて…なんでそんな事になったんだろうねー?」

「オーパーツ、オーバーテクノロジー…そんなものは何時だって宇宙人説の(まと)ってヤツさ、直近でも神威が宇宙人扱いされたしな」

護衛依頼の時の愚痴を思い出してアキトはニヤけて答え神威は憤慨する。

「我は宇宙人などではない!あんな玩具の光線銃やら古臭い宇宙船など使わん!」

階段を昇りながらアキトはツムギと笑い合っていたが次の階層に移りアキトは目を見開いた後死んだ瞳になる。

ツムギはそのフロアの絢爛(けんらん)な装飾に目を見張る。

「うわぁ、スゴっ!ステンドグラスだー」

「ふむ、立派な柱と長椅子…絨毯の先の教壇?」

神威が実況するように辺りを見回し奥に立つシンボルを指差す。

「そして…十字架だな」

宇宙人騒動の先に待っていた騒動を思い出してアキトはしまったと頭を抱える。

「マズい…これは非常にマズい…」

「何がマズい?」

言葉に詰まりアキトが答える前に天井から人型の天使の一団が舞い降りてきてアキト達のドローンに指を差し向け一瞬で破壊してしまう。

通信が途切れブラックアウトしたVRゴーグルを外しアキトは大きな溜め息をつく。

「クッソ…マジかよ」

ヨロズが最後の瞬間辺りの録画映像を確認して鼻で嗤う。

「偶像崇拝も良いとこだな、見ろ」

茨の冠を乗せたウェーブがかった茶髪のロン毛にアキトは見間違いじゃなかったと確信してその名前を呟く。

「ジーザス・クライスト…具現化っつてもこりゃ手を出せないぞ」

「名前呼べない親父さんよりマシでしょ?」

ツムギの冷静なツッコミを受けてアキトは苦笑いして頷く。

「流石に宗教は無理…神様騒動起こしたから神様が中に住んじまったよ…」

「我の責任だと言いたいのか?!」

神威は怒りを露わにするが偽物なら倒すべきと本物の名誉を盾にするような物言いをする。

「まぁ世間に知られる前に魔窟ごと消せれば苦労しねぇよな」

問題は生身で侵入出来ない事だという課題を提示されてこの事実は内密にする事になるのだった。

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