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神の下僕は自由になりたい  作者: D沖信
世界の理と外の世界
706/783

コード“界”1

勝負も終わり敵は帰ってしまい微妙な空気感になるがやれる事はやったし解散しましょうと黒鴉は「この後編集あるから」とスタッフと相談しに行ってしまう。

消化不良気味な選手達も付いて行ってしまい翔は隣に立つ黒姫と顔を見合わせて帰るかと軽く伸びをする。

同意しつつ黒姫は相手が話していた勝ち負けに意味は無いという言葉に取り越し苦労だったのかと肩を落とす。

丁度アキトが観客席の神様達を連れて現れてその言葉の答えを告げる。

「予測はしていたが…してやられたな」

翔と黒姫はアキトの言葉に首を傾げ気落ちしている神鳴を見て何があったのかと尋ねる。アキトは二人の人の心の無さに呆れながら答える。

「こちらで居場所が出来た西園寺と存在そのものを否定されたヒロ、その差を自分が作り出した神鳴は責任を多少感じているようだな」

多少と言ったが相当参っているような思い詰めた表情をする神鳴に心に響かせる戦いの意味を理解して翔達はこの世界の行く末を憂いてしまう。

「そういうのってヒロさんだけじゃないんですよね?」

「おいおい、そんな事言い出したらキリがない。お前は地球や異世界全てに住まう人の事を知覚し理解し救えるってのか?正直言うとヒロは特例だ」

その特例が神鳴の心情に大きな傷を残した事には変わりないと神楽が話しすぐに結論は出ない話だとして暫く考える時間が必要だと神達も解散する事になるのであった。

翔は帰ろうとするアキトに声を掛ける。

「氷雨返しますね。どうしてヒロさんと最後まで会わなかったんですか?資格ないって言っても友人なんでしょう?」

「俺は…持ってる者が持たざる者に掛けてやれる同情や共感の言葉なんて無いからな…もっと酷い罵詈雑言が神鳴を襲うだけだ…」

アキトは神鳴を思ってと口にしたが本心は自分が傷付きたくないだけなんじゃないかと黒姫に指摘されてしまい頭を掻く。

「かもな…いや。その通りだ。俺が救えなかったあいつらの事を暴露されるのが怖かった」

今回現れなかった未帰還者の一人キヨと呼ばれる女性について翔は聞いてしまう。

「キヨってどんな人なんですか?」

「向こうの西園寺の親友、麻生清姫(あそう きよひめ)。どんな奴か…うーん、ミナみたいなおっとりとしたネーミングセンスがちょっと独特な奴かな」

懐かしむような顔をするアキトに反応してトウコが現れて素早くアキトの耳を摘む。

「アキト様?あんまり女の人の話をしてはいけませんよ?」

「イテテ!こっちの方がずっと嫉妬深いヤン入ってるだろ?」

伝承にあるそれより今の嫁の方がずっとそれだとアキトは苦笑いするがトウコは笑顔のままアキトを引っ張って行ってしまう。翔は頭にはてなを浮かべるが黒姫は渋い顔をしながら清姫という名前の重さを教えるのであった。


浜松家に先に戻った翔と黒姫と神鳴の三人は微妙な空気感の中会話を試みる。

「理の外、勝負には勝てたが本気って訳じゃなさそうだったよな…」

「そうですね、試してくるようなやり方でした」

翔の言葉に黒姫は頷き舐めプに近いものだと実感したと語り神鳴は悔しそうに唸る。

「うー!私の精神に攻撃した上で本気じゃないなんて仕込みも含めて姑息!…はぁ、自信無くしちゃう。並び立って世界を管理するって決めたのに…」

まだまだ甘いのかと神鳴は複雑な表情をする。三人揃って溜め息をつく。

暫くの沈黙の後に翔がボソっと呟く。

「神鳴、結局どうやって世界の昇華とか合一するんだ?」

「え?知らない。教えてもらえると…羽毛…もう帰ってる!」

三人は深く考えるのはやめようと晩御飯の準備に取り掛かることにするのであった。

三人で晩御飯の用意をしていると逃げるように物置からこっちの玉藻前が飛び込んできて翔の背後に素早く隠れる。何事かと驚く面々に玉藻前は口に指当てて静かにとして震える。

神斎が次に現れて料理中の三人をジッと睨み玉藻前が来てないか尋ねてくるが三人は知らないと首を横に振る。

「全く…あっちの玉藻みたいに強くしようと特訓させようと思ったのに…やれやれモールか?」

去っていく神斎を見送り玉藻前はホッと胸を撫でおろす。

「助かったわぁ…兄貴のシゴキなんて受けとうないわ…命幾つあっても足らん!」

翔は震える玉藻前の頭を軽くポンポン叩いて励ます。

「向こうの強さに感化されちゃったか」

「せやで!多芸になれ言うて無茶な事言い出すんや!まだ魔法覚えた方が健全や」

魔法ねえと神鳴が姉の所へ行くか提案するが勉強も嫌だと喚く。その声が届いたのか神斎が戻って来て玉藻前を見つけ捕まえる。

「逃げるな!ほら特訓するぞ!」

「い、嫌やー!まだ死にとうないわー」

ウルサイと尻尾を掴んでズリズリと引っ張られて行く玉藻前に晩御飯は好物用意してあげようかと神鳴が同情するのであった。

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