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神の下僕は自由になりたい  作者: D沖信
未来襲来
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コード“斎”15

黒鴉達が帰って来て諸々の作業を終わらせとある研究室で運び込まれた鬼女を前にツムギが気まずそうに神斎と竜司の会話を聞いていた。

「へぇーコレが?ボクの物真似するやつ?…で、死んでるの?」

神斎が不機嫌そうにツムギに確認する。モニタリングしていたツムギが真剣な表情で答える。

「生命活動は停止してるね…呼吸、脈拍共に確認できないよ」

竜司が生えている角に注目してツムギに何なのか尋ねる。

「あの奇妙な黒い角は…?」

ツムギが資料を手に取り淡々と答える。

「プロトタイプのちっちゃい角を知っているかい?あれと同じだね…神の力を得るために最初に開発された矯正器具だ」

神鳴の事が出て神斎が呆れたように確認する。

「なんでそんなプロトタイプのなんて使うんだ?」

「資源が無いんだろうね…しかも神を中途半端な再現…新しく作成も出来ないようだ」

竜司と神斎は上位世界の貧窮(ひんきゅう)に哀れみの目をする。

ツムギが苦々しい表情をして鬼女に同情する。

「こんな歪な改造…なりふり構わないってことさ」

「改造?」

神斎が首を傾げる。

実はとツムギが説明する。

「君達の暴動に忠誠心ある人間を直接神にする手段を画策したんだけどさ、まぁ実際には構想で終わったんだけど」

竜司は構想と聞いて研究データは残っているのかと尋ねる。

「あると思うよ…けど自我崩壊する可能性が高くてコントロール不可能って結論だったはず」

「そうか、そんな事が画策されていたのか」

竜司の呆れに近い言葉にツムギは空笑いして未来世界の現状を嘆く。

「取り敢えずこんな事が続くなら本当に悲惨だね…」

神斎は話を聞いて所詮は人間のエゴだとせせら笑いする。

「ふん、終わる世界の無駄な足掻きじゃないか」

「耳が痛いね、それでも長年耐えたのさ…」

ツムギは鬼女から取れたデータの資料を机に置きため息をする。

話を終えて神斎はツムギを睨み何度も言われている質問を投げつける。

「なんで復活してるのさ?」

「もうその手のは何回目かな?君達の情報が欲しくてクローンとしてだねぇ…」

「母さんが聞いたら有無を言わさず殺しに来るよ?前みたいに」

ツムギが震え上がり「勘弁してくれよぉ」と伝えると神斎はニヤニヤする。


―――


上位世界、研究の経過を確認して会議が行われていた。

ノイズが流れ誰のものかハッキリしない音声による報告が聞こえ通信が終わる。

「適合手術で作成したモノは失敗か…」

「まぁ構想段階のものだ、暴走は折り込み済みだ」

ガヤガヤと今後も同じようにやるのかどうかで口論が繰り広げられる中で機神を担当していた博士が手を上げる。

「ほほ、適合者量産するまでの繋ぎとして私が開発した小型機神をですな…」

「貴様、まだ拘っていたのか…貴重な資源をっ!…いや、待てよ」

無いよりはと言う諦めに似た言葉で使用許可を得る。

「ではテレボックスのアップデートと新規ボランティアを…」

「ボランティアは使わん、人的資源の逐次投入はしない」

「ほひ?機械だけばらまくと?」

博士達は口々に「文明の破壊は目標ではない!」「敵は神だけである!」という主旨の話をする。

「静粛に!安心しろ、我々の目標は変わらない…まぁ今までの結果を見るに機械にはあまり期待していない」

リーダー格の発言に機神担当の博士がガックリと肩を落とす。

「本命の準備が出来るまでの餌さ、コード“威”とでも名付けようか?準備を進めろ」

「はひ!畏まりました」

バタバタと会議室を飛び出して行く博士を見て他の全員が嘲笑する。

「奴はもう終わりだな、ところで本命とは?」

「フッフッフ、既に手は回している今は奴らに花を持たせてやる、勝つのは我々さ」

不穏な空気が流れる上位世界と新たな攻撃の始まりは近いのだった。

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