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神の下僕は自由になりたい  作者: D沖信
未来襲来
291/783

コード“決”6

壁が取っ払われて闘技場のようなシンプルなフィールドを前に翔は搦め手が使えないと少し残念な顔をするが相手が純粋な近接のみだと思い返して自信を持って一歩踏み出す。

(こっちの武器の情報は割れてるし、速攻で決めにいくか)

雷怨を呼び出し隣で待機させてじっと八坂の出方を窺う。距離に余裕がある八坂は調子の確認がてらグローブの絞め具合を確かめるように拳を突き合わせた後頬を叩いて気合いを入れていた。

「よし!浜松!行くぞ!」

わざわざ声を出してからゆっくり向かってきて翔は素直だなと苦笑いしながら自身も前進する。しかし八坂が違和感のハンドサイン的なものをして翔はピタリと止まり身構える。

(俺もやってたから分かる…何か…いる!)

見えない何かを警戒し八坂が雷怨の射程距離に入るまで待つ。

「どうした?足を止めて、怖じ気付いたか?」

「安い挑発だな、乗らないからな?」

八坂も立ち止まり目算で雷怨との間合いをはかりながらジリジリと摺り足で翔をこいこいと不敵に笑い挑発する。

(かくし球か何かあると本能が言ってるが…)

見えない何かに冷や汗を流しどうすればいいか思考を巡らせる。


もどかしい闘いに黒鴉は苦い顔をする。

「なんで駆け引きに乗っかるのよ、ドーンと行ってガーッと終わらせちゃいなさい!」

「確かにやけに慎重だな、ドツボにはまらなきゃ良いんだが…」

アキトも映像だけで何があったかは分からないと首を横に振る。

「野生の勘?本能?あの浜松がぁ?」

「…あのって何だよ?まぁお前と違って力押し一辺倒な訳じゃない、立ち回りには気を使うタイプなんだよ」

「んで、負けたと…」

ヨロズとの試合を引き合いに出してアキトはぐぬぬと唸る。


魔力には余力があると翔は一歩前に飛び出して雷怨の電撃を放つ。

(何を隠しているか知らないが!兎に角まずはソレを引きずり出させないと)

八坂も攻撃をまともに受けるつもりはないと縦横無尽に回避する。根気がいる試合になると翔も覚悟し、逃げる八坂を追い詰めようと攻め手を緩めないようにする。

翔が攻勢に出たことで盛り上がり歓声が起こる。

「何隠してるか知らないが出さなきゃ負けるぞ!」

翔の言葉に八坂は舌打ちしながら小声で何か呟いて雷撃を放つ合間に突進する。覚醒者特有の加速度に刀は下手に振れば折られると雄叫び上げながら拳で答える。

「深読みして拳で答えたテメェの敗けだ!」

「嘗めんな!多少は俺も鍛えてるんだよ!」

互いにノーガードで拳がぶつかり合い弾き飛ぶ。なぜ刀を使わないのかと観客はどよめくが武器の破壊は精霊使いとしては致命傷になりえると知っている面子はヒヤッとしていた。

吹っ飛びつつ受け身を取った翔はすぐに立ち上がり挑発する。

「何かあると思ったが見当違いか!?はったりだったなら残念だ!」

八坂も血の混じった唾を吐き捨てて言い返す。

「誰が!?何を!?深読みしてビビってる奴に言われたくねえな!」

啖呵を切られ翔はそれなら遠慮はいらないなと本気で攻めに転じる。

「奥の手無いなら…仕留めに行くぞ!」

牽制や追い込みの為の雷ではなく一撃に殺意の籠った雷撃を放つ。負けられないと八坂が雄叫びを上げる。

「ソレを!その殺意ある一撃を待ってたぁ!!」

不意に戦場に響き渡るカラスの鳴き声、現れたのは大きな鏡、放たれた雷撃は鏡に吸い込まれ二人の間には青みがかった色をした三本足のカラスが羽ばたいていた。

神話に出てくるその姿、翔はその名前を呟く。

八咫烏(やたがらす)…」

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